表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血少女は男に戻りたい!  作者: 秋野 錦
第2章 迷宮攻略篇

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/424

第42話 レベルアップ。しかし、実感はほとんどなし


《経験値が一定基準に達しました。レベル上限を解放します》


「……どういうこと?」


 聞こえてきた懐かしのヘレナボイス。

 レベル上限? ……あ、もしかして。


「……やっぱり」


 ステータス画面を確認すると幾つか変更されている箇所があった。


【ルナ・レストン 吸血鬼

 女 9歳

 LV2

 体力:152/152

 魔力:5170/5170

 筋力:125

 敏捷:135

 物防:100

 魔耐:60

 犯罪値:212

 スキル:『鑑定(78)』『システムアシスト』『陽光』『柔肌』『苦痛耐性』『色欲』『魅了』『魔力感知(15)』『魔力操作(60)』『魔力制御(23)』『料理の心得(12)』『風適性(13)』『闇適性(21)』『集中(5)』『吸血』『狂気』『再生(6)』『影魔法(6)』】


 ずっと何の意味があるのか分からなかったレベルの表記が、LV1からLV2になってる。これはスライムを倒したからかな? 全然手ごたえなかったけど。


「ふむ……」


 どうやらステータスは全体が10ずつ上がっているみたい。

 スキルに関しても、『風適性』『闇適性』『影魔法』が5ずつ上がっている。熟練度は別にしても、ステータスが上がってくれるのは嬉しいね。感覚的にはまだ変化が分からないけど。

 まあ、元の数値から比較しても1.1倍程度の増え幅だし、それほど違いはないかな?

 どうせなら100くらい一気に増えてくれても良かったのに。


 ……ん?


 いや、待って。うっかり見逃しそうになってたけど……これ、魔力ステータスだけ100増えてね?

 ……うん、やっぱりそうだ。ずっと確認してきたステータスだから内容は頭に入ってる。間違いなく、100増えてますわ、これ。


 つかなんで魔力なんだよ!

 お前はもう良いっちゅうねん!

 どうせなら一番低い魔法耐性とか上げてくれよ!


 はあ……融通が利かないステータスだよ。まあ、多分これも『色欲』の影響なんだとは思うけど。

 ネトゲではバランス良く鍛える派だった私にとってこの特化型ステータスは何と言うか、落ち着かない気分にさせられる。

 魔法抵抗だけ二桁ってのもあるね。多分、吸血鬼の『柔肌』スキルのせいで魔法抵抗がダントツで低いんだと思う。

 私が唯一黒星をつけられた山賊戦だって、白魔法を使われたことが一番の原因だったし、魔法抵抗の上昇は今後の大きな課題になりそうだ。


 ……え? 土蜘蛛戦?

 あれは引き分け、引き分け。こうして無事に逃げ切r……【戦略的撤退】が出来たわけだしね。次会えば楽勝っすよ。もう二度と会いたくないけど。


 しかし……改めて考えると何なんだろうね、このスキルとかステータスっていうシステムは。

 私がずっとネトゲに入り浸っていたから、こういうステータスの見え方がするんだろうとは思ってたけど……今回のレベルアップに伴う、各種ステータス強化はいくらなんでも違和感が強すぎる。

 例えば日本での生活を例にして、素手で猪を倒したら筋力が上がるか? 足が速くなるか? 体力が付くか?

 そんなわけない。

 あくまでそれらは自分の努力の結果であって、誰かを倒したからといって上昇するようなものじゃないはずだ。

 なのにこの世界では実際にそうなっている。

 これは……違和感というよりは最早、不気味だ。

 この世界はどういう仕組みで動いている?

 この世界はどういう原理で回っている?

 この世界は……一体何だ?


「……考えても仕方ないか」


 もしここにヘレナさんがいれば教えてくれたかもしれない。

 だけど、実際ここにヘレナさんはおらず、私の中にも答えはない。

 答えが出ないなら考えるだけ無駄と言うものだ。

 ならば……進もう。


 結局、スライムは四散してしまって食料にはならなかったし。

 まあ、分かってたことだけど。もしかしたらウィ○ーインゼリーみたいな味がするかもと密かに期待するだけ無駄だったね。

 本当にもう……この世界はままならないことが多すぎる。


「……でも、いや、だからこそかな」


 にやり、と口角が釣り上がるのを感じる。

 ……楽しい。

 ──この世界は楽しい!

 まるで新作のゲームを買ってもらった子供のように私ははしゃいでいた。

 状況は絶望的。活路なんてどこにも見えない。

 だけど……無理ゲーを攻略してこその廃人ゲーマーでしょ?


「やってやんよ……ここまで徹底的な底辺に堕としてくれたんだ。後は上がるだけさ。どこまでのし上がれるか……見てろよ、ヘレナさん」


 ぴっ! と指先を天に突き立て、私は宣言する。

 この世界を攻略してやるという、その誓いを。

 見ているかどうかも分からない自称神様に向けて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ちょっと精神が強すぎるというか、あんなことあったら普通すぐ立ち上がらないと思う。
いやせめて家族の元に何がなんでも戻るんや!みたいな理由であってくれw それか裏切り者を探すとか
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ