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吸血少女は男に戻りたい!  作者: 秋野 錦
第1章 吸血幼女篇

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第3話 HEY、ベイビー!

 やあやあ皆さん、ごきげんよう。

 ポンコツ女神に強制転生させられてから、ようやく意識がはっきりしてきたぜ。どうもここ数ヶ月、意識に靄がかかっているみたいでうまく思考すら出来なかった。

 でも現状は理解できてる。


「ばー、ぶー!」


 俺、今赤ん坊だぜ!

 イエーイ! 無事転生できたっぽいぜ!

 言葉すら上手く話せないぜ!

 いやー……え? 何、これ。地獄?


「ばぶっ、ばぶぶばぶ……(訳:やばい、お腹すいた)」


 考えてみて欲しい。生後数ヶ月の赤ん坊は歩くことすら出来ない状態。

 こんな状態で自分の食事を用意できると思う?

 いやいやいやいや、無理っしょ。無理ゲーっしょ。

 かといって泣き喚くのも精神年齢16歳のプライドが許さない。

 さて、どうしたものか。

 というかね、この赤ん坊の体だと出来ること極端に少なすぎるでしょ。移動すら儘ならんわ!


「ばぶぅっ(訳:参った)」


 途方に暮れていると俺のいる部屋の扉が開き、ようやく両親(?)が様子を見に来てくれた。


「ばぶぅぅぅぅぅっ!(訳:キタァァァァァッ!)」

「×××、××××?」


 そっと俺の体を抱きしめ、やさしく微笑むのは俺の母親 (おそらく)だ。

 まだこの世界の言語に慣れていないから本当のところは分からないけどね。もしかしたらベビーシッターとかかもしれないし。


 俺をあやす母親の隣でむすっとした表情なのが父親 (たぶん)だ。

 無口な人なのかあまり話しているところを見ない。

 金髪碧眼というどこのヒロインだよと言いたくなるような美貌の母に比べ、どこかぱっとしない印象の父。雑な感じに伸ばされている茶髪から覗く顔立ちが結構イケメンだというところは安心した。

 母も美人だし、これは相当自分の顔に期待できそうだ。


「××××?」


 母は何事か呟くとおもむろに衣服を脱ぎ始めた。

 別にトリップショーをかまそうと言うわけではない。

 これから俺の食事のお時間なのだ。

 問い、赤ん坊の食事って何?

 答え、おっぱい!

 というわけではい、お父さんは見ないでね。流石にちょっと恥ずかしいし。


「×××××、×××」


 優しげな手つきで俺の頭を撫でる母。

 ふう、食事するのも一苦労だね。

 本音を言えば早く離乳食に切り替えて欲しいんだけど。

 昔なら、それなんて変態プレイっ!? と食いつくところだけど今は赤ん坊だしなー、しかも相手が実の母親となれば感慨なんて湧くはずもない。

 ただ食べなければ生きられないからしぶしぶ従っているだけ。

 いや、なんかこの考え方も赤ん坊らしくないな。

 転生者ってことはなるべく隠していくスタイルで行こうと思ってるから少なくとも不自然に見えない範囲で赤ん坊の真似はしないと。

 というわけで、


「ばぶーっ!(訳:ばぶーっ!)」


 きゃっきゃっ、と無邪気に喜んでみせる。


「×××××!」


 満面の笑みで頬ずりしてくる母。

 うん。これは顔見れば何て言ってるか分かるわ。

 絶対「可愛いぃっ!」だな。

 一つ言葉を覚えた。やったね! この調子で覚えていこう!



 ……

 …………

 うーん。暇だ。

 暇すぎて死にそう。

 動くことすら儘ならないこの状況ってある意味拷問だわ。

 何が出来るでもなく、ただつらつらと思考を重ねるだけ。これで何か面白いことがあればいいんだけど……あ。そういえポンコツ女神が何か言ってなかったっけ?

 確かシステムスキルがどうとか。

 うおっ! それってつまりこの世界はスキル有りの世界ってことじゃない!? ヤバイ、大発見! テンション上がってきたぁ!


「ばぶっぶっぶっぶ(訳:にぇっへっへっへ)」


 さーて、どうしたものかな。

 システムスキルってのが何か分からないけど、恐らく転生者の補助的なスキルのことなんじゃないかな。名前的に。

 となるとこういう場合、定番なのは『鑑定』かな?

 まあいいや。違ったら別のこと試せばいいし。

 ほりゃ、鑑定。

 近くにあった椅子に視線を向け、頭の中で念じる。

 すると……


【木製の椅子】


 出たー! 何か思ったよりしょぼい情報しか貰えなかったけどとにかく出たー! やばい、これはもう勝ち確ですやん! 古今東西鑑定がはずれスキルだった試しはないし!

 これはもう、自分を鑑定してみるしかない!

 えっと……とりあえず手の辺りを見ながら鑑定してみるかな?

 鑑定!


【名前:ルナ・レストン

 年齢:0歳 

 性別:女】


 …………………………え?

 性別、"女"?

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