番外編 年越し前の吸血少女達
今回は番外編ということで、かなり普段とは違う話になっています。
・メッタメタのメタ
・出来の悪いショート漫画
・キャラ崩壊(謎の正月テンション)
・リンちゃん可愛い
以上の要素を含みますのでご注意ください。
……
…………
………………
「……あれ? ここで終わり? 絵がなくなったけど」
「どうやらそうみたい。手抜き工事」
「いやいや、貴方達は漫画を描く辛さが分かってないのよ。この3ページを描くだけで一体どれだけの労力を使ったと思ってるの?」
「……実際、作者は描いた後に見てみたら物足りなく感じたらしい。どうせならもっと長い方がいいだろうって。オチもなかったし。描き終わった後は『こんな苦行もう二度とやりたくねえ。漫画家の人を本気で尊敬するわ』とか言ってたけど」
「ちょ、ちょっと二人ともどうしたの? 漫画とか作者とか、わ、私、そんなの知らないから」
「ルナ、慌てなくていい。今日は無礼講らしいから」
「無礼講ってそういう意味じゃないよね!?」
「別にいいじゃない。折角のお正月なのだから楽しみましょうよ」
「本編ではもうすぐ夏だけどね」
「だからメタいって!」
「でも、その辺のお話をするのも良いんじゃない? 色々食べながら話しましょうよ」
「え? その辺って?」
「こっちの世界だと四季があるのかどうかーとか。色々伝えられてない情報ってあるじゃない?」
「それを認めちゃうと、私までメタ発言になる気がするんだけど……まあ、でもそうね。確かにそういうところあるかも」
「((……メタ発言って言ってる時点でメタなんだよなあ))」
「それで? 何から話す?」
「まずは四季でしょ。その話だったし」
「その辺はどうやら日本標準らしいわね。月も12月。ただ、日にちは30日間隔でぴったり360日みたい」
「……寒かったり、暑かったりとても大変」
「ははは。獣人族は気温の変化に弱いものね」
「私としては夏が嫌ね。フードで顔を隠せなくなるし。暑くて」
「あー、それは私も思うかも。太陽光が防げなくなるって意味でも辛いね」
「ルナは吸血鬼だものね。でも、振り返って見ると確かに太陽が苦手ってずっと言ってたのにどうして私気付かなかったのかしら」
「その辺はたぶん、常識と言うか先入観があったんだと思うよ。肌がちょっと弱いってくらいでイコール吸血鬼だなんて読める人はそうそういないと思うし」
「ルナは見た目がとても人族らしい」
「そうよね。私は見た目であんなに苦労してるってのに。ずるい話よ」
「うっ……それを言われると……ごめん」
「べ、別に、嫌味とかそんなんじゃないんだからね。ただ言ってみたかっただけなんだから気にするんじゃないわよ」
「あ、出た。アリスの『一見ツンデレみたいに見えるけど実はただデレてるだけ』。師匠の家に行ってた頃には良くその性格のお世話になったなあ」
「今は良いでしょ! そんな話は!」
「……見た目と言えば気になってたことがある」
「リン? 見た目って私の見た目でってこと?」
「うん。ルナの髪型、ちょっとバランスが悪く見える」
「あ、確かに。左側の前髪……って言うのかしら。横のところがちょっと長いわよね」
「これ? これは左が長いんじゃなくて右が短いんだよ。前に土蜘蛛と戦ったときにすっぱり切れちゃってね。不恰好だったから後で整えたんだけど長さだけ変になっちゃって」
「……土蜘蛛。懐かしい」
「思い出にするには強烈すぎるけどね」
「ちょ、ちょっと土蜘蛛って何? 私に分からない話しないでよぉ」
「ごめんごめん。でも、それなら何を話そうか」
「そろそろ尺も良い感じ。この一年を振り返るべき」
「ま、またメタいことを……私は絶対に屈しないからね!」
「この一年って本編のことじゃないわよね? 作品全体の一年ってことよね?」
「うん」
「…………」
「それなら……今回の漫画もそうだけど、挿絵が付くようになったのが大きいかしらね。暇さえあれば絵を描いてるらしいわよ、あの作者」
「友達がいないから……察してあげよう」
「というかイラストの話をするならリン。貴方ちょっと優遇されすぎじゃないかしら?」
「?」
「いや、? じゃないでしょう。二枚のイラスト両方とも貴方メインじゃない」
「……あれはタイミングが良かっただけ。これからは他の人がメインになるらしい。挿絵自体はもう完成してる」
「あらそうなの? なら後は本編の進みを待つだけって感じかしら。ん、んんっ、と、ところでその挿絵なんだけど……わ、私のってあるのかしら?」
「……アリスの一枚絵は……ある。かなり色付けに気合を入れたやつが」
「よ、良かったあ……」
「もうメタ発言を隠そうともしなくなったか。まあ最初からだけど」
「ルナは欲しくないの? 自分のイラスト」
「欲しいと言えば欲しいけど……んー、どうなんだろ。それより他の子のイラストが見たいかな。紹介したい子がいっぱいいるし」
「ルナのイラストは……二枚ある」
「二枚!? え? 私のは一枚なのよね?」
「うん」
「1対2対2……私の負けね」
「だ、大丈夫だよアリス。そういうのは気持ちが大事なんだから! 数じゃないから!」
「他には……ノア? って子の絵があるみたい」
「え? それは嬉しいかも。楽しみ」
「でもこれ……ルナとしてはあんまり嬉しくないかも」
「? どゆこと?」
「もう挿絵の話はやめましょう。どうしても嫉妬しちゃいそうだわ」
「あ、アリスの挿絵も凄く楽しみだからね?」
「……そういえば、挿絵について伝言があった」
「伝言?」
「うん。読者の皆に描いて欲しいキャラがいたら何かしらで教えて欲しいって伝えるように言われてた」
「ついに考えることを放棄したのね……」
「でも、それはそれで良いと思うけどね。私もちょっと気になるし」
「……ちょっとした人気投票?」
「って言えるほど数は集まらないと思うけどね」
「人気投票になったらあの作者、絶対リンに入れると思うわ」
「それは……うん。私もちょっとそんな気がするかも」
「? ……どうして?」
「リンは知らなくて良いことだよ。それより、話を戻そう。一年の振り返りだったよね?」
「ええ。と言っても、語ることなんて他にないと思うけど」
「そんなことないよ。感想が300件超えたときとか、累計PVが100万を突破したときとか凄い喜んでたもん。あの人」
「……ついにルナもこっち側に」
「あ……しまった。でも、いいよ。本当のことだし。これだけは私の口から言いたかったことだからね」
「仮にも主人公だものね。裏の主役が私なのは間違いないとしても……」
「えー、このページを読んでくださっていると言うことは皆様、この作品を楽しんでくださっている方々なのだと思います。まずは、そのことについて感謝を」
「む、無視……」
「ちょうど正月に読めなかった人も楽しんでもらえたなら嬉しいです。やっぱり読者あっての作品だからね。なかなか口にする機会はないけど、私も凄く感謝しています」
「あったら作品として終わってるでしょ」
「アリス、うるさい。それで……あー、なんだっけ? そうそう。私は読者の皆様に本当に感謝しているんだってこと。始めたのが去年の12月だから、実際一年ちょっとになるかな。これだけの間、たくさんの人に読んでもらえて本当に嬉しいです」
「なんだかんだでこの作品が一番長く続いてる気がするしね」
「それも読者の皆様の応援があってのことです。皆様、いつも本当にありがとうございます!」
「良い感じじゃない。でも、今日はその挨拶で締めるわけにはいかない。そうでしょ? ルナ」
「うん。分かってるよ。リンも……って、あれ。リン、寝ちゃってる?」
「お腹いっぱい食べたら眠くなったんでしょ。初日の出を見るまで寝ないとか言ってたのにしょうがないわね」
「なら……しょうがないか。二人で締めよう、アリス」
「了解よ。びしっと決めましょう。びしっと」
「ごほん。それでは……皆様。今年一年、私達の物語にお付き合い頂き本当にありがとうございました。また来年、出来ればこの作品でお会いしましょう! せーの……っ」
「それでは皆様、良いお年を!(ルナ)」「明けましておめでとうございます!(アリス)」
「「…………」」
「アリス……それ、新年明けてからの挨拶でしょ。今日はまだ31日だから」
「……ごめん。やりなおす?」
「いや……今更でしょ」
「……んん……ルナぁ……寒い……」
「ちょっとリン、まだ挨拶が……ああっ、もうっ! なんかすんごいグダグダになっちゃったけど、今後とも『吸血少女』をよろしくお願いします! 以上!」




