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吸血少女は男に戻りたい!  作者: 秋野 錦
第4章 王都学園篇

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第183話 閃きは突然訪れる

 アリスと貴族生徒の対立はたちまち学園中の知るところとなった。決闘騒ぎになるのなんて学園でも数年に一度あるかないかの大事らしく、その準備のために学園側が動き始めた。

 まさか一生徒同士の喧嘩からこんな大事になるとは……些かやりすぎだと思わないでもないけど、すでに事態は止められる段階にはない。


 決闘のルールに関してもどうやら学園側の規定があるらしく、それに則った形で行われることになった。その内容は大まかに分けて三つ。


①決闘は指定の訓練場にて行われる。危険性を考慮し、見学は禁止。

②対戦相手のリタイア、もしくは行動不能をもって勝利とする。

③また、不測の事態を防ぐために一人に限り助太刀を許可する。


 大体はこんな感じの内容だ。学園としてもなるべく被害を出さない方法で決着をつけたいだろうから、妥当と言えば妥当な線。一つ気になるのは三つ目の項目だ。

 助太刀を許可、ということは仲間を一人連れて行けると言うことだろう。確かに向こうのお嬢様がどれだけ優秀だろうともたかが学生。アリスに勝てないことは百も承知だったはず。


(となると、かなり強力な助っ人が現れることを覚悟しないといけないか)


 向こうは貴族だ。人脈も金銭も豊富にあることだろう。それを生かして優秀な冒険者でも連れてくればそれだけで勝利を手に入れることが出来る。


(問題はアリスが誰を連れて行くかだけど……これが問題だよな)


 今までの行動から見て、アリスは一人で決闘に行く可能性が非常に高い。アリスほどの魔術師なら簡単に負けることはないだろうけど、それでも不安は拭えない。相手の能力が未知数ということは、下手したらグラハムさんレベルの魔術師が現れる可能性もあるってことだ。もしそうなったらアリスに勝ち目はない。


「……というか、それこそグラハムさんに付いてきてもらえば最強じゃないか」


 あれ? もしかして必勝法を見つけちゃった?

 早速グラハムさんに助太刀要請をするため、私は授業の休憩時間に学長室へと向かったのだが……


「学長である儂が生徒同士の決闘に手を出せるわけがなかろう」


「ですよねー」


 普通に考えれば当たり前のことだった。平等に生徒に接することが求められる彼の立場で、アリスにだけ助太刀なんて出来るはずがない。そして、それは学園の教師である師匠も同じ。

 となると……


「やっぱり、私が行くしかないか」


 やれやれ。どうやら神は私に闘争の日々を送らせたいらしい。

 あれだけの地獄を生き抜いた私に、いまさら学生同士の喧嘩に手を出すなんて大人気ないにもほどがあるが他に助けてくれそうな人物に心当たりがないのだから仕方がない。

 早速アリスのところに行って、同盟宣言を……


「いらない。ルナの力は必要ないわ」


「そう言うとは思ったよ」


 アリスが一人きりになった瞬間を狙い、話しかけたのだがアリスの態度は相変わらずだった。いい加減、素直になればいいのに。


「私も忙しいからこれ以上付きまとわないで。それじゃ」


 そして、一瞬一秒でも私といるのが嫌なのかアリスは止める暇もなくどこかへ行ってしまった。まったく、はぐれメ○ルみたいな奴だな。


 しかし困ったな。肝心のアリスが私に助けを求めていない以上、私にはどうすることも出来ない。今回の助太刀にしても、事前に申請しておかなければならないらしく、いきなり決闘に割り込むことも出来ないのだ。


「……本格的に手詰まりになってきた」


 まだ動き始めたばかりだというのに、これはいけない。

 このままだとアリスは一人で決闘に向かうだろう。それを防ぐには一体、どうすれば……


「…………あ」


 思いついた……思いついたぞ!

 アリスの許可なく決闘に割り込む方法! そして、この方法ならうまくいけば決闘そのものを止めることが出来るかもしれない!


「だけど時間がない……急がないと!」


 私は急いでとある人物を探すことにした。

 自分の頭に降りてきた神懸り的解決方法を実行するために。


「待ってろよ……アリスっ!」


 ようやく見えた解決の糸口に、私は軽い足取りで目的地へ向かった。


「私が絶対に……助けて見せる!」

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