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吸血少女は男に戻りたい!  作者: 秋野 錦
第1章 吸血幼女篇

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第14話 同性だけど愛さえあれば関係ないよねっ!

 あれから大変だった。

 突然キスしたのを親愛の証だと言って超強引にその場をまとめた私は実家に逃げるようにとんぼ返り。そして、そこでもこんな時間まで何していたのかとティナに説教くらい涙目に。

 はあ、今日は厄日だ。魔術教本の嬉しさどこいったし。

 それより何であんな私、暴走しちゃったのか確認しないと……


【ルナ・レストン 吸血鬼

 女 5歳

 LV1

 体力:62/62

 魔力:5056/5056

 筋力:66

 敏捷:92

 物防:66

 魔耐:38

 犯罪値:124

 スキル:『鑑定(66)』『システムアシスト』『陽光』『柔肌』『苦痛耐性(72)』『色欲』『魅了』】


 やっぱり。変なスキルが二つ増えてる。

 えっと、どんな効果かな?


【色欲:魔力ステータスを5000上昇。異性に好かれやすくなる。どうしようもなくムラムラすることがある】


 ……なにこれ。

 もう一度言おう。

 …………なにこれ。


 は、はあ? 何だこのぶっ壊れ性能は。もしかして魔力ステータスだけアホみたいな数値だったのってこのスキルのせい? いや、でも最初から私こんな数値だったし……もう意味わかんない。

 というか効果の二つ目と三つめ、これなんなの?

 異性に好かれやすくなるって私にとってはマイナス効果なんですけど?

 しかも、どうしようもなくムラムラすることがあるって……おい、コラ。さっきの暴走これお前のせいじゃね? いやどう考えてもこれ、お前のせいだよね?

 何してくれちゃってんの? 次から私、どんな顔してアンナちゃんに会えばいいの? ねえ、ねえ?


 くそ……色欲め。確かに色欲っぽい効果だけど……これってあれかな。前にあのポンコツ女神が言ってた罪がどうとかってやつ?

 最初からスキルとして鑑定できなかったのは、私がまだガキだったからってこと? ……どうもそんな気がする。システムメッセージも条件がどうとか言ってたし、普通のスキルとは違う隠れスキル的な扱いだったのかも。

 それなら最初から私のステータスが魔力だけバケモノだったのに納得がいく。熟練度がすでにMAXだし、多分これも種族スキルと同じ先天性のスキルだ。

 そして、次の『魅了』。こいつも多分同じ扱いのスキルだ。熟練度がこれも最大値になってるし。


【魅了:対象を魅了する】


 ……とういうかさ、これってもしかして吸血鬼の種族スキルじゃない?

 確か、吸血鬼ってこんな感じの能力あったよね。一度出来ないかなーって試して出来なかったのにがっかりしたのを覚えてる。

 だとしたら……やった! やったよママン! ついにまともなスキルがゲットできたんだ! 吸血鬼、お前もやれば出来るじゃないか! おっす、恐縮っす!


 へえ……へええ! いいね。うん、いい!

 これでやっと吸血鬼プレイが出来るじゃん!

 今まで特に吸血願望とかもなかったから忘れかけてたけど私吸血鬼だったじゃん! 太陽に弱いただのもやしっ子から卒業だ!


 ……いや、でもこれなあ。

 こいつら使える? うーん。どうだろ。かなり微妙な気がする。

 今のところ魔力ステータスが役に立った試しがないし、魅了ってこれもどの程度の効果があるのか分からない。

 ゾンビみたいな操り人形を量産するスキルとかだったら怖すぎるよね。うん。これは簡単には使えそうにない。


 特に『色欲』のスキルはデメリットが酷い。酷すぎる。

 特にムラムラって何だよ。

 思春期男子かよ。

 精神的には大体そんな感じだけどさ。

 でもあの自分が自分じゃなくなるみたいな感覚は凄く怖かった。今回はそれほど大事にならなかったけど、もしこれが頻繁に起こったら?


 ……駄目だ。考えたくもない。

 と、とにかく様子を見よう。

 別れ際のアンナちゃんの表情も気になる。

 あの恍惚とした表情はとても5歳児の見せるような顔じゃなかった。もしあれが『魅了』の効果なのだとしたら……ヤバイ。新スキル問題だらけだ。

 ただでさえ『陽光』の呪いを持ってるってのに、この上更に『色欲』と『魅了』だって? ははっ、どんだけ爆弾抱えてんだっての。笑っちまうわ。ははっ、はははっ……はは……笑えねえ。


 結局新スキルに対しては不安だけを残す結果になった。

 そして次の日。

 私は両親にお願いして、お手伝いを休ませて貰った。

 我侭を言う私が珍しかったのか、二人は驚いた様子だったけど最終的には了承してくれた。そして私は今、孤児院に向け、重い足を引き摺り歩いている。


 はあ……気が重い。

 アンナちゃん、私を見て逃げ出したりしないといいけど。

 もしそうなったらガチで凹む……。

 どきどきしながら孤児院の敷地内を見渡す。どうやら今は休憩中らしい。何人かの子供が遊んでいるのが見えた。そして……


「あっ! ルナちゃん!」


 あっさりと私はアンナちゃんに見つかってしまった。

 でも、心配していたような反応はされなくて良かった。

 というより……


「こっち! こっちきて遊ぼう!」


 ぐいぐい、と袖を引っ張り中に連れ込もうとするアンナちゃん。

 あれ……こんなに強引な子だったっけ?

 昨日会った感じは引っ込み思案な子って印象だったんだけど?


「ルナちゃんは何か用事あったの? 先生は今、出かけちゃってるけど」


「え? あ、うん。大丈夫。今日はアンナちゃんの様子を見に来ただけだから」


 魅了の影響で変なことになってないか確認のため。


「えっ、アンナに会いに来てくれたの? ……嬉しい」


 両手を頬に当て、照れてるアンナちゃん。

 うん。やっぱり可愛い。可愛いけど……何か怖い。

 人ってこんなに豹変するもんなの? これが魅了のせいだとしたら凄い責任感じちゃうんですけど……いや元からこんな性格だったんだ。そうに違いない。そういうことにしておこう。


「ルナちゃん良かったら中を案内してくれない? アンナまだ慣れてなくて……出来れば二人っきりがいいかな、なんて」


 テレテレ、テレテレ。

 あかん。可愛い。けど、そういうのは普通先生とか同じ孤児院の子に聞くべきじゃね? 私、完全に部外者なんですけど?

 なんて、そんな言い訳が通用するわけもなく私はその日一日アンナちゃんに引き摺られるように色々と付き合わされましたとさ。

 魅了の効果なのか、滅茶苦茶慕われてるのは嬉しい。

 嬉しいけど……なんだろう。何か凄く複雑な気持ちだ。

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