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「好きだ」と言えなくて  作者: 水城
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3、雅之【悪友からのまさかの発言】

 俺は今現在、十七年間生きてきて初めての体験をしている。腐れ縁でもある悪友の一樹からの『ホモ宣言』しかも相手は十四歳のガキで実の弟。驚きのあまり持っていたタバコを落としたくらいだ。こんな真面目に悩む一樹を見たのは初めてで、正直言って気持ち悪い。毎日毎日飽きずに弟の話を聞かされていたからブラコンだというのは知っていたけど。まさか恋愛対象に見ていたとは俺も気づかなかった。というより普通は弟に対してこんな気持ち抱くわけないからここまで重症だとは思わなかった。俺は恋愛に関しては自由な考えだから、これだけ世界に人がいればそういう変わったやつが一人くらいいても不思議じゃないと思うが……まさか、こんな身近にいるとは思いもしなかった。

 一樹は中学のときはバスケをやっていたのもあって背はデカいしガタイもいい。俺に比べて頭はそんなに良くないけど、女に好かれる容姿で優しくて根っからのホスト気質だからモテる。とにかく気持ち悪いぐらい女に対して優しい。そんなやつだから中学のときに女の先輩に目をつけられて、色んな初めてを知ってしまい、それからは影でこそこそと女遊びをしている。高校に入ってからは中学のときよりも女遊びが落ち着いた。それでも告られる回数は多く、モテるくせに遊ぶくせに特定の彼女を作らない。今まで何年もそれだけが不思議で仕方なかった。

 「なぁ! 俺どーしたらいいわけ?」

 知るか! 俺にはお前みたいな経験ない。

 目の前でデカい図体の男が情けない顔をして聞いてくるが、俺にもわからない。相手が女ならともかく、 同性で兄弟って誰に相談しても解決しなさそうだ。

 「陽人が可愛すぎんだよ!」

 おいおい、人のせいにするなよ。でもまぁわからなくもない。一樹の弟は俺も何度か見たけどたしかに可愛い。小さくて礼儀正しくて目がパッチリ。見た目は女でも十分通じる。

 「考えてみろよ。抱きしめやすい大きさで上目遣いで見上げる陽人!」

 「風呂上りのハーパンから覗く色白の足!! これだけでイケるね!」

 「おま……弟をなんてゆう目で見てんだよ。ヘタすりゃ犯罪だぞ、その発言」

 「そんなの、わかってるよ。だけど、あいつが可愛すぎる上に無防備すぎるんだよ」

 一樹がヤバくて心底アホだということは十分わかった。ブラコン通り越してエロ親父化とした親友に送る冷たい視線。

 「なあ、もしかしてだけど恋愛感情込みで陽人が好きなの?」

 同性愛や近親相姦に偏見はない。好きになったのは仕方ない。それにこんな一樹を見たこともない。だから、直球で聞いてみることにした。


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