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ぼた餅と小人族


「うわー!由楽。すごいね。何コレお菓子?甘くていい匂いがするね!食べれるの?」


「本当に美味しそうだっちねぇ!もう食べれるだっちか?」


由楽と雅楽が朝から大量に作った、いくつものお重いっぱいに詰まった粒あんときな粉のぼた餅を見た天羽族の天花と蜜稚族のチハが2人のまわりを嬉しそうに躍りながら聞く。


「これはね、ぼた餅と言う和菓子なんだよ。今日は、僕のいた故郷の春分の日だから庭の一角にある菜の花畑を見ながらぼた餅を食べようと思って準備したんだよ。」


「あれ?2人ともピクニックするんだよ。だから天花もチハも暖かい服に着替えて、準備しておいで。」


と由楽と雅楽の話を聞いてピンときてなかった2人だったがどうやら外ではじめて見る甘い匂いのぼた餅を食べれると解った2人は、また小躍りしながら家着から由楽達から貰った外用の暖かな服に着替えに行った。



===================



「うわー!城からも小さく見えてたけど、近くで見ると1面黄色の菜の花の花が咲き乱れて圧巻の光景だね。」


しばらくの間4人がはるか遠くまで続く黄色の絨毯のような菜の花畑を見ていたが、一瞬強い風が4人を襲い寒さで我にかえった由楽達は、急いで持参したキャンプ用品を並べ始める。


「はぁ~。テントの暖かいねぇ♪それに下に敷いてあるラグもふあふあで暖かい。ココアも美味しい。」


「本当だっちねぇ。ココアは美味しいだっち。それにビーズクッションは体にフィットして、菜の花畑は見えるし、最高のポジションだっち。」


と由楽達が急いで建てた風避けになるテントや魔法を使って心地好い温度に保たれたテント内に敷いた厚みのあるスポンジシートと長毛のふあふあで暖かなラグ、テーブルやクッション、厚手で大きな膝掛け等に包まれ、雅楽から貰ったマシュマロココアをのんびり飲みながら菜の花畑を見ていた天花とチハは、満足気味に話す。由楽と雅楽も持参したお気に入りのビーズクッションに座りながらのんびりと菜の花畑を見ていると、何処からか4人以外の話し声が聞こえてくる。


はじめは気のせいかと思っていた由楽と雅楽であったが、耳をすますと確かに小さな声であったがかすかに話し声が聞こえ、何やら困っているような様子だった。


由楽と雅楽の2人は、顔を見合わしテントから頭を出して辺りをキョロキョロ見渡す。すると4人のいるテントのほど近くに小さな赤ん坊を抱いたり、小さな子供や老人等の男女の小人が50人と真っ白な梟が4匹いた。


この世界に来てはじめて見た小人に驚き、声が出そうになった由楽達であったが、改めて落ち着き耳をすまし小人達の話を聞いていると、どうやら新たな新天地を探してココまで仲間の梟と一緒に空を旅して来たは良いがいきなり現れた自然豊かで、見た事もない立派な光輝く建物ばかりのこの土地はなんだろうや安全なのか、再びラグモ族の奴らが襲ってこないか我々小人族がこの場所に住んでも何か言われないだろうか等の話しをしていた。


小人族の話を聞きながら、どうやら あの小人達は長年の住みかをラグモ族と言う者達との争いで奪われた事や仲間の白梟達と一緒にココまで空の旅をして来た事等が解り、そして、小人族の者達は争いを嫌い平和主義の悪い者達ではない事が解った。

由楽と雅楽は、小人族の皆にこの場所に住んでもらっても大丈夫だと話して決めたが、いきなり小人族より大きな自分達が出ていって小人族の皆を怖がらせたり、驚かさないだろうか等と心配して、由楽達がまた黙って小人族の話を聞いると急に見知った声が聞こえてきて


「どうも、どうもだっち。小人族の皆さん、何やらお困りのようだっちね。私は、この朝倉王国の蜜稚族で執事のチハだっち。

小人族の皆さん、あなた達はとても運が良かっただっち。

何故ならば、この王国の王である心優しき由楽や雅楽があなた達の話を聞き王国に住む事を了解されただっちから。」


さっきまで同じテントにいた蜜稚族のチハが、いつの間にテントを抜け出し、小人族のもとに行ったのかと由楽達が驚いていると小人族に警戒されずにトントン拍子に話しを上手くまとめたチハが、ほどなくして小人族をテントに連れて帰って来る。


そうして、チハのおかげで警戒や怖がられる事もなく小人族や梟達と仲良く由楽達が持ってきたぼた餅やフルーツを食べながら、これからの事を小人族の代表者と話し合うことになる。


「美味しい。このぼた餅と言う和菓子美味しいですね!」


「こっちのきな粉味の方も美味しいよ。」


「いや!俺は、粒あんが好きだ!」


「甘い~!こんな甘いのはじめて食べるわ。頬っぺたが落ちそうだわ。」


と小さな体格の蜜稚族のチハの為にぼた餅は、食べやすいように一口大の小さめに作っていたのだが、それでも小人族の皆には抱えるぐらいの大きさだったので、皆 顔中を粒あんやきな粉まみれにしながら美味しそうに食べてくれる。小人族の仲間の白梟達も器用にぼた餅やフルーツを喜んで食べている。


そんな可愛らしい小人族の皆を見ながら小人族の代表者と話し合って、決まった事が住まいを由楽達が住むお城が建つ島とは、別に湖に浮かんでいる小さな小島に由楽チートで小人族サイズの家を建ててあげて、もともとしていた自給自足の生活をしていく事に決まった。


ちなみに なぜ小人族が小島に住む事に決まったかというと小人族の小ささに他の天羽族や蜜稚族や由楽達が小人族に気づかずに怪我をさせるんじゃないかと心配して決まったのだ。


その後、小人族を連れて小島までの真珠のような煌めきを放つ美しい人間サイズの橋を作り出し

小島に着いたら小人族サイズの家等を小人族の要望を聞きながら由楽の魔法チートを使い建てると、一瞬ピカッと眩しい光を放った後に由楽達が目にしたものは………やはり由楽チートは期待を裏切らないダイアモンドのような光輝く、どこか海外の昔ながらの田舎町に見えるミニチュアの町並みが完成していた。


あまりの美しさに小人族達は、小躍りしながら喜んでいると呆然と立ち尽くしていた由楽が


「……はぁー……やっぱり、僕のチートで建つ物はコレなのか………」


と、最近少し慣れてきた魔法チートを使って建てた建築物がダイアモンドや真珠のようなモノでしか出来ない事をポッリと呟く。

こうして、朝倉王国に小さく可愛らしい新しい国民の小人族が仲間入りするのであった。



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