すき焼きとキラキラ光輝く街並み
少々大掛かりな天羽一族の引っ越しも終わり。由楽は、お城の3階のバルコニーからキラキラ光輝く町並みを見ていた。
実は、天羽族の皆さんが自分達を救ってくれる由楽と雅楽の住むお城に住むなど恐れ多いいと。
ただ5人の例外を外して、残りの天羽族75人ほとんどの者が、湖のまわりに住む事になり。天羽族用の住居を由楽の魔法で造ることになったのだ。
そして、いざ天羽族の住居を作るために、天羽族の住居の特徴や構造を聞くと、なんと真っ白な巨大な卵の形をした物たという。
驚きはしたが、時間がもったいないと入居者の希望の場所に魔法で家を造ると。
なんと巨大な卵の形だが、お城の用なダイアモンドのような7色にキラキラと光輝く巨大卵ハウスが出来てしまったのだ。
失敗してしまった事に真っ青になり、住居主に謝ろうと後ろを振り向くと。
そこには、キラキラさせた瞳の住居主と手伝いをしてくれている天羽族の人がこちらをみていて。
そして、入居者からは
「こんな素敵な家を造っていただけるなんて、ありがとうございます。本当に夢みたいです。」
と満面の笑みで喜ばれ、手伝いをしてくれている天羽族の人からは
「こんな素敵なサプライズ素晴らしいです。天羽族はキラキラ光輝く物が好きな者達ばかりなので、みんな喜びます。」
と多いに喜ばれ。残り全ての家が、キラキラ光輝くダイアモンドのような巨大卵ハウスが、森の至るところにポコポコとたくさん完成したのであった。
そして、ただ5人お城に住む者が
一人は、教育係の枇天と他の教育係の3人の計4人の者達になり。(厳密にいうとお城の中の庭に住むのだが)
実は、枇天がお城の庭園の果実の木や種類を調べている時に、開けた場所に一際大きく力みなぎる大木を見つけ。調べると天羽族の神木であることが解った。
そうして、更に調べてみると木の下に入り口があり。
恐る恐る中に入ると、昔 時を止める魔法で封印した卵部屋が、昔のように正常に機能し、存在しているのだ。
まるで夢のような出来事に、枇天達が涙を流し喜んでいると。
更に嬉しい発見で、卵部屋にある天羽族の卵達が、後一週間もしない内に孵化し、新しい一族の者が誕生しそうだったのだ。
そのため、急きょ神木の近くにキラキラ光輝く巨大卵ハウスを由楽に建ててもらった4人は、そこに住み卵部屋や卵達の世話をする事になった。
そして、本当の意味でお城に住む事になった残り1人は、あの時に食べたお茶菓子と、お土産に渡した焼き菓子の美味しさにハマった食いしん坊の天花になる。
こうして、異世界移住2日目から、かなりドタバタした日々を過ごした由楽と雅楽達2人であったが。
これからは、天羽族の皆と楽しく暮らせそうな気がして、毎日が楽しみな由楽と雅楽であった。
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「由楽、お腹すいた!ご飯まだ~!」
と天花の声に、晩ごはんを作っていた由楽は、目の前の光景に笑いがこぼれる。
なんと、雅楽と一緒にお風呂に入浴していたはずの食いしん坊で、お腹が空いたらピョピョうるさい天花が、パンツ1枚の格好で、大部屋をゲラゲラ大笑いしながら走り回り、雅楽から逃げ回っているのだ。
「キャハハ~♪雅歌が来る!逃げろ~♪」
「裸ん坊の天花はどこかなぁ~?捕まえたらくすぐりの刑だぞ~♪」
と楽しそうに天花とおいかけっこみたいに遊んであげながらも、天花が風邪を引く前にちょいちょいと合間合間に捕まえては、雅楽は器用にパジャマを着せてあげる。
そうこうしているうちに、今夜の主役の鍋が美味しそうな匂いを部屋中に漂わせ始める。
そう!今夜の主役は、日本人大好きな『すき焼き』なのだ!
実は、昨日の深夜から小雪が降り続き。
とっても寒かったので、自分が大好きな昆布と鰹節の煮だしに、砂糖と醤油のコクのおくに、やわらかい甘みが漂うわりしたで煮た、牛肉や野菜を生卵と絡めて食べるすき焼きにしたのだ。
ちなみに城の庭に住む枇天達4人にも魔法で同じ鍋を届けてある。
「晩ごはんできた~よ。」
とご飯の準備ができた由楽は、2人に声をかける。
するとあれだけ逃げ回っていた天花が、あっという間に席につき。マイ箸を握りしめ、テーブルの真ん中にドン!と置かれたすき焼きの鍋の中を身を乗り出してのぞきこみながら、由楽に質問する。
「うわ~、美味しそう!これ、なんて料理?何が入ってるの?」
「これはね、すき焼きと言う鍋料理になるんだよ。
他の家ではどうか解らないけど。僕の家では、具材に牛肉、鶏団子、白菜、春菊、白ネギ、焼き豆腐、結び蒟蒻、うどん入りの大きな巾着をわりしたでグツグツ煮て、生卵と絡めて食べるんだよ。」
「天花、危ないからちゃんと席に座って、火傷しちゃうよ。後で、痛い痛い言って泣いても知らないよ。」
と由楽の説明や雅楽に注意されるなか、話を聞いてない天花は、由楽にすき焼きをおねだりし。
白い湯気あがる熱々のすき焼きを軽くといた生卵につけ、ハフハフ言いながら1人食べ始めている。
「美味しい♪この生卵に絡めて食べたら、よりまろやかになって美味しい!由楽も雅楽も早く食べなきゃ無くなちゃうよ。」
と、天花のあまりの自由ぶりに由楽と雅楽はお互いに顔を見合せクスクスと肩を震わせながら笑ってしまう。
そうして、3人仲良く晩ごはんのすき焼きを食べながら、今日あった事や楽しかった事等のとりとめのない話をいくつもしながら3人の充実した1日が過ぎていくのであった。