クラブハウスサンドイッチと天羽族
異世界移住初日の昨日、可愛い物好きな由楽と雅楽の2人は、歩き疲れた疲労とお城の可愛いさに興奮しすぎて、お風呂や大好きなご飯を食べる事も忘れて、気がついたら爆睡してしまっていた。
そして異世界移住2日目の今日。
昨日早く寝てしまったため、いつもは朝が少し弱い由楽が、気がつくと朝5時半には目が覚めてしまい。
寝ぼけ眼のなか、隣のベッドで寝ていたはずの雅楽をみると、もう目を醒まして部屋にいない事に気付き。大部屋に移動する。
「おはよう、雅楽。もう起きてたの早いねぇ。」
「おはよう、由楽。昨日早く寝たから目が覚めちゃって。」
「僕も!普段は、なかなか早く起きれなくて、目覚まし時計3つ準備して起きてるんだけど、今朝は、スッキリ起きれたよ。
なんか不思議~。エヘヘ
けど、早起きしても朝ご飯を作りたくても、まだ買い物してないから食材ないんだたね。
そうだ!早起きした事だし、僕達の服や食品を今から買い物に行こうよ!」
と由楽が雅楽を誘い。
移住のさい、神様一族から授けて頂いたチートの1つ。ショッピングチートを使い。
母親が海外遠征から日本に帰って来た時は、必ず一緒に買い物に行っていた都心の大型デパートの扉を実現化させ。
お店の中に入った由楽と雅楽は、由楽オススメの洋服店で、雅楽用の服や生活雑貨、食品等をドッサリと調達する。
ちなみに洋服の趣味も似ていた由楽と雅楽は、気づかずうちに由楽が持っている同じ服の色違いなどを調達していて
その2時間後、まるで双子コーデの用な姿を披露するのであった。
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「雅楽~♪朝ごはんできたよ!」
とチャチャとシャワーに入り。
少し遅めの朝ごはんを作っていた由楽が、自室で朝風呂と調達してきた服の整理をしている雅楽に声をかける。
そして、雅楽がやって来ると由楽にとっては1日ぶり、雅楽にとっては自身初となる食事をお腹ペコペコの2人は
「「いただきま~す。」」
と食事の挨拶をすると豪快に食べ始める。
「うわ~!この野菜が具だくさん入ってる赤いスープ美味しいね!
それにこんがり焼かれた食パンで、いろんな具材を挟んだサンドイッチみたいなの
パンはサックとして香ばしいし。中の具材はジューシーで、すごく美味しい!なんて料理なの?」
と初めて食べる食事に、少し興奮気味の雅楽は矢継ぎ早に由楽に訪ねる。
「それはね、スープが『ミネストローネ』て言う
トマトの水煮缶とベーコン、玉葱、人参、セロリ、マカロニを使った。
野菜の旨味が、たっぷり入った具だくさんのスープなんだよ。
パンの方がね、『クラブハウスサンドイッチ』て言って
トーストした食パンに蒸し焼きにした鶏のむね肉、ベーコン、レタス、玉葱、トマト、厚焼き玉子をケチャップとチリソースを混ぜたソースとバターと粒マスタードを混ぜ合わせた辛子バターをサンドして作った、食べごたえあるサンドイッチなんだ。
それにこの2つは、家のお父さんの得意料理で、よく作ってくれてたんだ。
あと、本当はクラブハウスサンドイッチの卵は、スクランブルエッグを使うんだけど、僕が卵好きだから、気がついたらお父さんが厚焼き玉子を挟んでくれてて。
だから家のクラブハウスサンドイッチは、元からボリュームなのに、さらにボリューム満天の一品なんだよ。」
と話をしながら、ボリューム満天の朝ごはんをお腹一杯食べ終えた2人は、その後の話で、昨日見れなかった外の庭園を見に行く事にする。
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エレベーター風な物で、1階に降りた2人は、早速庭園に出られる扉から外に出る。
庭園に出ると綺麗に手入れされた芝生や咲き乱れる様々な花達、動物の形に手入れされた木などの美しい庭園を楽しみながら、のんびりと探索していると
木の後ろで、モゾモゾと動く、真っ白な鳥の羽が見える。
「由楽、あの木の後ろに何かいるみたい。僕が見てくるから、安全が確認されるまでは、ここから動かないでね。」
といつもののほほんとした可愛い表情から一変。キリッと厳しい顔になった雅楽は、音もなく。その何かを捕獲する。
「お兄ちゃん達ダレ?僕、天羽族の天花。産まれてから、まだ10年のひよっこなんだ。
あっ、解った!お兄ちゃん達もこの実食べに来たんだね。
この実、見たこと無い果実だけど、みずみずしく甘くて、美味しいもんね!僕、もう3個も食べちゃったよ。」
と雅楽に両脇から抱えられ連行されてきた。
背中に真っ白な羽を生やした、淡い水色の長髪の髪と瞳を持つ10才ぐらいの少年は、のんきに庭園に生えている。
ソフトボールぐらいある大きな桃を両手に1個づつ持ち、無邪気な笑顔で話しかけてくる。
「えっと、はじめまして、天花君。僕は朝倉 由楽というよ。
僕達は、このお城に住んでる者なんだけど、天花君は、何処からここにやって来たの?」
と危険人物じゃなさそうなことが解り。雅楽から解放された天花と2人は、近くの東屋に移動し、ベンチに座り話し始める。
「僕が住んでる所は、この山の3つ向こうにある。
まだ少し自然が残った山で、昨日空の散歩中に、すごい光がしたから、ビックリして、慌てて家に帰っちゃったんだけど。
やっぱり気になって、今日 日課の空の散歩がてら、光の場所を見に来てみたんだ。
そしたら、昨日まで何にも無かった所に、巨大な湖と大きなお城が建ってるし。
見たこと無い沢山の種類の果実がいっぱい実ってたから、お腹すいて食べてたんだ。」
と庭園にいた訳を話してくれる。
そして、よくよく天花から話を聞くと。
もともとこの辺りは、天花達 天羽族の国があった場所で、昔は辺り一面を木々や草花が多い尽くし。
沢山の果実を実らせる天羽族の神木があり。
自然豊かで、豊富な水と、それはそれは、まさに楽園のような国であったらしい。
しかし、天使のような美しい羽と中性的な容姿、若さを保ったまま3000年は生きるという長寿を持つ珍しい天羽族と
資源豊かな土地に目をつけた近隣の国が攻めいってきて、争いを好まない天羽族の者は、大勢の者が亡くなり。捕らわれたりしたらしい。
しかし、捕らわれた者も天羽族特有の一族の者と一緒におらねば、死んでしまうか弱い一族で。
それを知らない者達のせいで、ほとんどのものが、王族や貴族、奴隷商の元にたどり着く前に。
捕らわれて約一週間以内には、全てのモノ達が亡くなったり。灰となって消えてしまったらしい。
天羽族は亡くなると灰になり、自分の生まれ育った里に帰っていくのだ。
そして、何とか逃げ延びた者達も天羽族特有の女性がおらず。
天羽族の神木の力で誕生する卵を神木下にある特殊な力が溢れた卵の部屋で、大事に世話して、新しい一族の子供が誕生するという不思議な特殊柄。
先の争いで、天羽族の力で保っていた神木や周辺の木々、草花達も争いで入ってきた邪気におかされ、手の施しようが無いまま枯れてしまい。
何とか卵の部屋だけは、残った者達の力を注ぎ、誕生しきれなかった卵ごと、時を止める魔法で封印したのだか、その後、新しい一族の者達も神木無き今誕生せず。
資源豊かな土地も今では見る影もなく、無惨なはげ山になってしまったそうだ。
ちなみに天花は、封印するさいに最後に誕生した卵の1つであった。
話を聞き終えた由楽と雅楽は、大粒の涙を流しながら、なんと卑劣な国があるのだと怒り。
亡くなった天羽族の無念や残った天羽族の今の生活を心配すら。
そして、天花に今の天羽族の生活ぶりを聞いてみると。
やはり、かなり厳しい生活をしているようで。
雅楽と顔を見合せた2人は、天花に天羽族の一番偉い人を連れて来てくれないかとお願いする。
いまいち意味が解ってない天花であったが、1つ返事で頷き。その場から飛び立って行った。
それから天花が大人の天羽族を連れてくるのを待ってる間にショッピングチートをサラッと使い。紅茶やお茶菓子などを準備して待っていると
天花と20代後半に見える美しい3人の天羽族が、空から舞い降りてきた。
「はじめまして、遠いところ ご足労いただきましてありがとございます。
私、この城の主人 朝倉 由楽といいます。
横にいるのが弟の雅楽になります。遠いところ疲れたでしょう。どうぞこちらに座って、紅茶でも飲んで下さい。」
と由楽が天花と天羽族の3人を東屋に招き。
雅楽が、手際よく庭園の桃を使ったフルーツティーをカップに注ぎ。4人に振る舞っう。
他にもテーブルの上には、2つのアスタヌーンティースタンドに乗せられたスコーンやマカロン・クッキー・プチケーキ・ミニカヌレ・サンドイッチ等のお茶菓子と庭園に自生してるフルーツの盛り合わせがのっている。
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そうして、その日 衰退の道を歩んでいた天羽族は、一筋の新しい輝ける歴史の第一歩を歩み始めたのであった。
幼い者達の教育を任された一族の者の中では年若い方の枇天は、その日 日課の空の散歩に出かける天花を見送り。
昨日遠くの森から採取してきた、わずかばかりの果実を天羽族のみが使える魔法を使いドライフルーツに加工していく。
すると何時もは、昼過ぎまで帰らぬ天花が、しばらくしないうちにニコニコと帰って来て
『お城に住む由楽と雅楽が話があるらしいから一緒について来て』と言い出した。
何事かと天羽族の長天飛と長老の天衣を連れ、天花の元に戻ってきた枇天は、詳しい話を天花に聞くと
天羽族の国があった跡地に一日で、巨大な湖やお城、豊富な自然が出来ていたと言うのだ。
そこで、小さな羽の無い者の由楽と雅楽という心優しい人物に出会い。
いろいろ話したら、天羽族の一番偉い人を連れてきてとお願いされたらしい。
始めは、幼い者が話すことだからと半信半疑になりながら、4人は天花が話す場所に飛んで行く。
すると、まるで国が栄えていた時の昔のような自然豊かな楽園と巨大湖と見た事がない光輝く神秘的なお城が存在していた。
あまりの事に言葉なく立ち尽くす私達に、天花の話していた由楽という人物が、丁寧に挨拶してくれ。
雅楽という人物が、見た事もない大変美味なお菓子を振る舞ってくれる。
そして、由楽達がこの世界に移住してきた経緯や天花との出会い。
天花から聞いた我が天羽一族の話を聞き。大変心を痛めた事などを話し。
もし、天羽一族さえ良ければ、お城の中の使用してない部屋やお城回りに由楽の魔法で、お好みの家を作るので、一族全員で引っ越して来ないかとの有難い話であった。
食事の面についても、話し合いの中で、我が一族の主食が果実がおもであることが解ると。
森の中や城に多数実っている様々な果実を好きに食べてもらって構わないといわれ。住むに辺り税金などもないとの事。
一度、他の一族の者と話し合うために村に帰り。
残りの者達と話し合ったら、皆直ぐに賛成してくれた。
その日のうちに天花と枇天はお城に戻り。お城以外に住む者の為の依頼を由楽に頼んだのであった。