第四話
崩壊する価値観と、堅持出来ない常識。
世代は変わりそして・・・
エルダー代行権限で連合脱退を宣言した後、ホームに戻ると、結構な人数が居た。
「ま、ここにいるって事は、気づいてると思うが、わが氏族はエルダー連合を脱退した」
「「「「「・・・・・」」」」」」
多くの人間はやっぱりという顔になった。
「で、どうすんです? サブマス」
「実際こまらんだろ? うちの場合」
生産保護の関係でかなりの人数の生産者が居るし、攻略は「西の迷宮」を使って訓練しながら進めていて順調だ。
プレイヤー店舗も、店舗総数の20%を誇る。
はっきり言えば、連合と取り引きできなくても全く困らない。
逆に、面倒な会議に出なくていいのが楽なぐらいだ。
「まぁ、親筋を変えたい奴は俺に言ってくれ。さすがに向こうが連合以外のPKを許可するとか言い始めたら、数の暴力で負ける」
・・・はずもないけど、その辺の逃げ道は残しておかないと可愛そうだよな。
ま、こっちはこっちで面白そうな方に河岸を変えるって事で。
「・・・面白そうな方って、まさか」
「そ、『氏族:斜め下』に友好条約を結びにいこうかなーとね」
自分の知ってる『氏族:斜め下』の武勇伝をはなすと、またまたーという顔になる氏族たち。
ま、そう思うよな、ふつう。
「信じられねーなら、共通掲示板の『氏族:斜め下』親クエ欄見てみな」
暫くして、ざわめきがホーム内に広がった。
「この親クエ、無茶ぶりすぎでしょ!?」
「つうか、これ、終了して死者ゼロってマジですか!!」
「まぁ、システム側の検証映像も一部ついてるからみとけ」
ということで、以前「女神の鉄槌」の前線にいた二人が居たことや、「ファング事件」親筋を切られたプレイヤーが居たのも驚いたが、その後ろで、小さなウサギ二匹と共にモクモクと熊をバラしている男の存在が一番際だった。
「・・・えーっと、もしかして、熊ってドロップしないんですか?」
「詳しい情報は俺も知ったばかりだが、さすがにこの場でははなせない。わかるな?」
つまり、自分がフレチャ、フレンドチャットで得た情報の重要性が高いため、解散する可能性のある氏族の前では話せない、ということだ。
モンモンとした空気の中、本日のログインはおしまいになった。
熊狩り、は盛況のうちに終わった。
つうか、熊は余裕ですよね、みなさん。
「「「いえーす!」」」
熊資金のお陰で、アホみたいな装備充実をしてるみなさん。
俺も一応ガンさんに作ってもらったんだけど、どう見ても空手着と鉢巻きとグラブとフットグラブなんですが。
妹は、なんとなくチャイナ系。
で、鶴見ちゃんは、こう、重厚な装備なんだけど精霊使いなのだそうです。
精霊使いで生産系。
そんなんできるの? とはいえない。
それもあり、が俺の感じた「ふれんず」なので。
「じゃ、今日から隣国探査って事で良いかな?」
「うん! 私東担当ね!」
「じゃ、俺が北だな」
「えーっと、じゃぁ、南とりました」
・・・俺は?
「親の仕事は地元とのネゴシエーションが一番です」
「隣国があたしらのシマって言えるぐらいに地域密着してね、お兄ちゃん」
「ま、人付き合いが以上にうまいお前なら何とかなるだろ」
ヒューマンアドベンチャーって俺は「ウルルン」かっての。
まぁ、がんばるけどね。
<氏族ホーム:上り坂荘 に 来訪客です>
「えーっと、だれ、管理人さん?」
「はい、氏族『破壊の剣』の親様でございます」
まさか、死客?
「それだけはないよ、お兄ちゃん」
確信を込めた妹の言葉を信じて来客の準備をした。
男の娘、と呼ばれる存在が居るとしよう。
第二次成長期の奇跡というか、なんというか。
まぁ、短期間で発生する夢のようなもの。
いわゆるメ○テルですな。
それはさておき、男の娘が万の数が居る中で、数少ないレア種族が居る。
男の娘の上位種、男聖である。
すでに性別を越えた中性(女寄り)と呼ばれ、機械システムも性別を誤認するレベル。
それがうちの父親。
もっとも浮気相手としてつき合いたい相手として、全国の支社から圧倒的な支持を受けた。
・・・男性社員から、並みいる女子社員を押さえて。
もちろん、性的思考は一般人の父は、面白い冗談だと流している。
流さざる得ないだろう。
それはさておき、この「ふれんず」においても、性別が誤認識されている父は、実に艶やかな女性である。
逆に母は「男性」認識されている。
それも、ごつい山賊系。
絶対に誰かの陰謀だと母は言うが、普段の姿を見ると「どこのZ団だ?」という母親なので、機械のリードミスじゃないと理解している。
その両親が「破壊の剣」の親とサブエルダーとして訪問してきたのだ。
「まずは、初めまして、かな?」
ガンさん以外は事情をしてるから、ガンさんハブれば話が早いので。
「ガンさん後で事情説明するから、黙って聞き流しててください」
「・・・あー、了解」
さて、と向き合って、一応挨拶。
「一応、初めまして。氏族「斜め下」のリュウジです」
そう名乗った後で、ぷっと吹き出してしまった双方。
「いやぁ、この氏族ホーム、いけすぎだろ?」
「管理用のアバターは『キョウコ』です」
「・・・なに! じゃぁ、普段は・・・」
「管理人さん、と呼んでいます」
「すまん、旦那。おれ、親筋変えるかも・・・」
「ちょ、ちょっと、話を先に進めさせてください!」
俺と山賊顔で盛り上がっているところ、男聖が介入、話の修正を入れた。
「じつは、私たちの氏族「破壊の剣」は、エルダー連合を脱退しました」
「「「!!!」」」
驚きの気配はあったが、全員押し黙った。
「とりあえず、安定が図れるはずの連合脱退の意図は?」
「はじめっから、どっかのダンジョンが落ちる間での限定参加のつもりだったんだよ」
曰く、一国の、というか一地域だけのコミュニティーなら、今の形態が望ましいが、他の国や他の価値観が輝くそのときに縋るのには心許ないというのが男聖の意見。
「それに、まぁ、リュウジくんが『ふれんず』を始めた時点で今までの秩序が崩壊するのは秒読みでしたから、だったら泥船から降りるのは当然の選択ですよね」
ものすごい笑顔で言ってるけど、内容は真っ黒。
「というわけで、氏族同士の友好系列を組んでほしいなぁと、思ってきました」
「いやー、お前を排斥してたのだって理由がないわけじゃないんだぜ? ある程度の秩序が安定してからじゃないと、お前なんか入れたらサービス停止だって有ったかもしれないだろうが」
両親の言葉に、心当たりがないわけではない。
三つほどMMORPGがサービス中止になった事が現実にある。
・・・いや、気がするだけだと信じたい。
「って、友好系列を組んで、こっちの利点は? 少なくとも生産も攻略も、たぶんこっちの方が上なんだけど」
「まぁ、そうだろうな。何でそうなってるかの秘密は聞かないが、少なくとも友好系列になれば、連合からのバッシングは減るぞ」
「活動拠点が隣の国になりますので、合うことすらない気もしますけど」
もちろん、向こうさんもドラゴンをちゃんと倒せれば、隣国に行けるんだろうけど。
あの感じだと暫く先の話なんだろう。
「ソーシャル系は繋がってるからな。いやらしい真似をされるぞ、これから」
「商人経由で『斜め下』の悪評を流すとか、圧力をかけるとか・・・」
「プレイヤーですら越えられない隣国への道を商人が通る? そして噂を広げる? あり得ませんね」
「でも、リアルに伝播させる、それが『ふれんず』だ」
・・・アホだ。
なんでゲームを詰まらない方向に進めて行くかな?
消極的な制限は賛成だ。
何でも出来るからって何でもするのはバカだ。
でも、ここはゲームだ。
ゲームルール内で精一杯遊ぶのがゲームだ。
それを積極的に制限して、出来ることの方が少ないような遊びを誰が楽しめる?
いや、そう言うことが好きなマゾいゲーマーも居るだろうけど、少なくとも俺は嫌いだ。
「無視、ですね。勝手にやってろ、です。そう言う執政官プレイがしたいなら、この場だけでやっていてくれって事で。俺たちはこのゲームがどこまで広がってるかを確かめますよ!」
俺がそう言うと、二人が大きく笑う。
「やはりそう言う結論ですよね」
「ああ、そう言う結論だと確信してたよ」
どうやら、本当の話はここかららしい。
「その結論を聞いて、こっちも覚悟が出来ました。ここに『破壊の剣』親として要請します。破壊の剣を斜め下の傘下に入れてください」
・・・へ?
「破壊の剣のプレイヤーは、およそ520名。その全ての承認がとれています」
「というか、このホームに部屋をくれ。おれも管理人さんと呼びたい」
「そうそう! あのエプロン! ひよこ、たまりません!!」
「ああ、あれいいよなー」
・・・あれー、ということは、破壊の剣って方々が、うちの氏族に入りたいと?
「簡単に言えばそうだ」
「なんで?」
「だって、絶対そっちの方が面白そうじゃないですか」
思わず納得。
「えー、現在の氏族諸君、許可、不許可?」
「「「許可!!」」」
というわけで、破壊の剣はうちの傘下になった。
「ところでよ、その短期間にアホみたいに強くなった秘密って奴を教えろや」
「たぶん、ホームダンジョンの関係だと思いますけど・・・」
そんな両親に、チュートリアルの考察をはなしたところ、そろって手を出した。
「「子IDをくれ(ください)!!」」
破壊の剣の検証班にもIDを回して、チュートリアルチートを検証するそうだ。
「つうか、そのトンデモ格闘、ほしいなぁ」
「私は魔法の幅が広がりそうなのが嬉しいですねぇ・・・」
というわけで、破壊の剣参加者520人が、その日を境に一週間ほど「ふれんず」から消えた。
いや、ログインはしていたが、他のギルド員たちが見かけることがなかっただけだ。
ただ、それだけだった。
氏族:破壊の剣 が エルダー連合を脱退したのはすぐに伝わった。
いや、早急に伝えられたと言った方がよかった。
その伝達はこのような形で行われた。
<告 : エルダー連合は 以下の氏族に対して不交流宣言を行う。不交流とは「不交換」「不売買」「不会話」を指す。 対象氏族:「破壊の剣」「斜め下」>
つまり連合を抜けた「破壊の剣」と「斜め下」とは関わるな、ということであった。
反発はあった。
すでに武器発注している関係者や資材発注している商人などであるが、違約金を連合側が負担することで不満を飲ませた。
そこから始まるであろう険悪な空気、は実のところ発生しなかった。
なにしろ「破壊の剣」も「斜め下」も目の前に現れなかったからだ。
エルダー会議に置いては「気まずくて町に来れないのだろう」とか「そのままログインしてこないに違いない」などの意見が大半を占めたが、実のところログインしていない訳ではないことは全員が知っていた。
何かが行われている、それも自分たちの意図できないところで。
それは実に恐ろしく感じられ、そして背筋の寒い思いをさせられることであった。
戦々恐々の中、それでもダンジョン攻略に向けた力が蓄えられ、東の迷路攻略に力を集結するエルダー連合であった。
氏族:斜め下 の下部組織となった破壊の剣は、その力を数倍にして帰ってきた。
帰ってきたが破壊の剣のホームには居なかった。
どこにいるかというと・・・
「ウォォォ!! 熊熊熊!!!」
というわけで、エルダークエスト2「熊殺は基本です」が発令され、万を越える熊を交代で倒していた。
基本、戦闘組は「トンデモ格闘」「超人剣術」を装備しており無双状態。
加えて生産者も、有り余る力と鑑定力で一撃必殺を実現しており、溢れんばかりの素材に対して感謝をしつつ分解していた。
「そこー、肝臓は薬になるからレバーブロー禁止ー」
「はい、背中は殴らない、当てない、切らないですよー」
「力任せなら顔面、脳味噌を狙ってくれー」
などと「斜め下」の無茶要求にも対応できるところが既にいろいろと乗り越えている証拠だ。
「くあぁーーー、熊ってこんなに美味しかったんだなぁ!」
「いやぁ、これだけの数が居ると、どこに撃っても熊に当たりますねぇ」
「そう言いながら、結構味方を巻き込んでるからな、旦那」
「それはいつものことですよ?」
などと恐ろしい会話をしつつ、峠越えが完了した「熊殺」達であった。
彼らが到着した隣国は、既に表裏の政府ともに「斜め下」に掌握されていた。
大量に流れ込んだ熊素材による稀少薬品などによる買収や契約で商人達を丸め込み、王と言うより領主と言えるトップと、ギャングと言うよりも子悪党といえる人々を、金と恐怖で縛り上げることに成功していた。
一応、市民議会というモノも開かれるようにされており、それこそが「氏族:斜め下」の業績のように市民階級には思われているが、実際は市民のガス抜きであることはあからさまであった。
そんな開放的な雰囲気の町にやってきた「破壊の剣」メンバーは非常に驚き、そして「斜め下」御用達の宿にさらに驚いた。
何しろ宿泊料金がバカみたいに安く、その上で露天風呂は何時でも入れるは食事はうまいわで、ネット内リゾートと言っていい出来であった。
「いやぁ、傘下に入って正解だったわ」
「そうですねぇ」
見た目は美女と野獣のコンビ。
実際は性別反転型鴛鴦夫婦。
後に「大空白」と呼ばれる時間の中、チュートリアルで得たおもしろスキルを楽しんでいた。
「さすがのリュウジだな、はっきり言って別のゲームになった」
「その上、存在しているNPC市民を実存の存在として扱っているお陰で、面白いほど交流できますねぇ」
逆に、向こうの国ではNPCと氏族の溝は深く、会話など無いに等しい。
こちらの国ではNPCからのメールがあったり、協力して訓練をしてやったりもしている。
それが又面白い。
そしてリュウジの言が思い返される。
「NPCって、彼らの方が先住民族でしょ? 敬うべきだと思いますよ?」
現実には、対人的には平和な世界にリアルの政治力や汚いやり方を持ち込んで圧倒している時点で、敬うとかそう言う話ではないのだが。
それでも、よく町中で出会う市民達は「斜め下」の関係者と聞くと非常に好意的になり、そしていろいろな話が聞ける。
まさに、市民も含めた社会構成が出来ている、そんな町だった。
「そう言えば、女神の鉄槌、またドラゴン戦で大敗したんだって?」
「はい、斥候の話だと、全滅前に回収役が全アイテムを回収して、あと自分のアイテムも収納して、真っ裸になってから死に戻ったそうです」
「全裸死に戻りって、すげー自爆だな」
装備がなければドロップもないという究極の死に戻りだが、全損が前提の作戦もどうかと思うと夫婦は苦笑い。
「前提レベル差はどのぐらいなんだ?」
「そうですねぇ、20:1ですね」
「そりゃ全滅するわ」
少なくとも、今の自分たちであれば、正面突破が可能であることは理解していた。
というか正面突破させられた。
この国の掌握が終わったリュウジは、西の迷路攻略に加わり、突破した後又弟子を増やした。
金角白斑「弟子三号」銀角黒斑「弟子四号」。
なんでも、ダンジョン突破後、後ろ戻りで遺跡を探査するとウサギが守りをしている宝物庫があるそうで、そこの守りをテイムしているそうだ。
正直、チュートリアルではじめに倒す相手のレア種だけに嘗め気味だが、実際に対戦すると熊の数十倍手強い。
それはともかく、西のダンジョンの先にあったのは海。
正直に言えば、破壊の剣は落胆したらしいが、リュウジは違った。
「ニューフィールドキターーー!」
そういって海に飛び込んで海洋生物を相手に戦い始めたという。
「あ、あのー、リュウジさん。前向きっすねぇ・・・」
「バカ言わないでください! 無限に広がるかのような海とくれば、孤島とか海底神殿とか海の家とか!!」
最後のは理解できなかったらしいが、逆に盛り上がったのは生産者。
海の家、つまり全力を出して海岸エリアに拠点を作ったり船を造ったりと熱中し、生産者レベルを猛烈な勢いで上げていき、面白可笑しく材料達と戦っていた。
その最中も海洋生物との格闘は進んでおり、もちろん熊に相当する「鯱殺」クエストも行われ、実に楽しげな、それで居て殺伐とした時間が過ぎていったのであった。
リアルでの話。
「ふれんず」OB OG というのはいる。
短い歴史ながら、約束してログインできなくなるほどリアルが重くなると、卒業して行くからだ。
そう言う意味では、リアルでの結束の強い「女神の鉄槌」や「破壊の剣」等は卒業にほど遠い。
しかしながら、同世代の人間の、それも同時期にプレイしていた人間からの相談となれば聞かざる得ない。
そんなわけで、某ファミレスボックス席で四人は向き合っていた。
現「破壊の剣」エルダーおよびサブエルダー。
先代「女神の鉄槌」エルダーおよびサブエルダー。
先代達は言いたいのだ。
自分たちが築き上げた秩序を、自分たちがログインしていたあの空間をなぜ壊すのか、と。
すでに過去のモノとなり、思い出としてしかとらえられない先代達にとって、現在の「ふれんず」は許し難い状況であった。
新たなる親による連合加入拒否。
大規模氏族である「破壊の剣」の連合脱退。
すでに崩壊という状態であると、彼女らは言う。
しかしながら、前提が間違っているのだ。
現エルダーおよびサブエルダーは言う。
あの秩序は、攻略を優先させるため、他の労力を分散させないための協約であって、攻略能力の低下を、足の引っ張りあいをするためのモノではなかったはずだと。
現実的な話をすれば、新親のログインにより隣国への回廊は二系統確保され、峠とダンジョンの道のりは、現エルダー達も往復していた。
さらに言えば、攻略の遅れていた西の迷宮も攻略され、新ステージといえる海洋フィールドが発見されている。
そう、東西南北の迷宮を攻略しなければ、なにも出来ない、だから全員体制で協力しよう、という時代は終わったのだと。
「・・・結局さ、プレイスタイルの違う奴らを秩序で縛ろうとするのが間違ってるんだよ。楽しい遊びなんだから、楽しい方向へ誘導すべきだろ?」
「・・・ふれんずは、ふれんずは! 社会的な接点を多く有するソサエティーであるハズですわ」
「それこそ、お前のプレイスタイルだろ?」
そう、プレイスタイルが違うだけ、そう言い切れてしまうのだ。
何しろ、ゲーム、なのだから。
「秩序側に回っていただけませんのね?」
「逆に聞くけどよ、現実と同じ縛りをネットに持ち込みすぎなんじゃねーか?」
「交わることのない意見、平行線ですわ」
「出発点は同じだろ? 楽しいゲーム、ふれんずってな」
「・・・いまの状況を楽しめないプレイヤーがどれだけ居ると思っているのですか?」
「あいつ等だけ隣の国に行けてずるい、か? 少なくともダンジョンを越えれば同じ立場だろ」
「プレイ時間、リアルのコストをそこまで落とし込めないと言っているのです!!」
「だから、おまえさんは卒業した。でも俺たちは元気に現役をしている。それがズルいって言うのか?」
ばん!とテーブルをたたく先代エルダー。
「まぁ、あれだよ。ゲームって言うのは決まった攻略法がないから面白いんだと思うぜ。あと、プレイスタイルも千差万別、色々とあるだろ? お前さんは昔から執政官スタイルだし、こっちは無法者。共に手を組んでいたのは敵が強大すぎたせい、違わないよな?」
飲みきったジュースのストローを振り回す、現サブエルダー。
「でも、それってヤクザと警察が仲良くしている状況だよな? 外敵がなくなれば崩壊するのが当たり前なんだと思うぜ?」
穏やかで、それでいて激しい言い争いは物別れで終わった。
「あ、そうそう、あの新親が言っていたんだがな・・・」
「・・・」
「連合ですか、すばらしい集金システムですね、考案者は名取りか何かですか? だってよ」
ぎりりと歯を食いしばる先代達。
二人は見事な和装訪問着を着ていたのだった。
続きは明日w
※教えて「ふれんず」
ふれんずにおける重要性は、キャラではなくリアルです。もちろん、キャラリセットをするとアイテムやスキルは失われます。そのため、ガンさんは氏族の共有スペースにアイテムを預けたわけです。(鶴見ちゃんや妹ちゃんも同じく)
で、キャラメールアドレスやフレチャリストはリセットされません。
加えて、一つの親筋からIDをもらうと、他のIDをもっていてもどちらかしか使えません。
ふれんずが親筋ゲーと呼称されるゆえんです。




