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新春番外編01「一個目」

新春特番、家族にもハブられるほどの事件って何さ、の内容の一部公開w

 とあるMMORPGの話をしよう。


 バランス性能がよく、各種族や職種に合わせた偏向も評判良く、正式公開版発表の段階でこれ以上のバランスは無いと高評価であった。

 しかし、開始から二年もたてば、似た様な環境でちょっと手を加えただけというものは乱立するし、逆にそちらのほうに流れるユーザーも少なくない。

 加えて、初期プレイヤーに比べて、二期・三期のプレイヤーはどうしても立ち遅れ、不公平感が増す。

 こんな状態で運営など出来るはずも無く、営業のせっつくままに開発は連鎖反応を起こす。


 そう、有料アイテムの追加である。


 これは、新規に始める人間からすれば敷居が低くなるが、長く続けていた人間にとってはモチベーションが下がる介入だ。

 今まで必死になって集めたアイテムがゴミになるようなものだと考えれば、古参の人間の解約が進むのは間違いない。

 今までの世界常識であった古参の撤退は、新規プレイヤーにとってはチャンスだが、古参のプレイヤーにとっては衰退の標準的な展開であり、再びゲーム離れが加速する。

 そんな加速の遠因になるのが「ガチャ」。

 低価格で福引的な要素でレアアイテムが手に入る「かも」知れない、そんなモノ。


 実は目的を意識した有料アイテムよりも、リアルラックを誇れる「ガチャ」の方が人気が高く、そのゲーム終了のアナウンスが流れるまで、一番の収入源であったともいえる。


 ただし、その「ガチャ」が某MMORPGの終焉を加速させた。


 リアルラックとは何か?

 基本的に運がいい人間のリアルアビリティー。

 懸賞を出せば当たる。宝くじを買えば当たる。

 何かの抽選に加われば当たる。

 そんな人間が「ガチャ」をすればどうなるかといえば、簡単に言うと、「大量に大漁」。

 次々現れる「レア」アイテムの山、となるわけだ。

 これには運営も黙っておらず、不正やクラッキングがあるものとして調査したのだが、一切不審な点が見つからず、あえて不問にするほかなかった。

 そんな中、運営は一か八かの手に出た。

 ガチャに「10億エギル」の要素を入れたのだ。

 この「エギル」という単位は、MMORPG内での通貨単位で、単純計算で100億円相当になると公式HPで発表されている。

 その金額を換金できるわけではないが、大金であることは間違いない。

 しかし、その金額を受け取れる可能性は天文学的な確率の彼方の話であり、基本的には「客寄せ」だという評判であったが、その金額を引き当てた人間が現れた。

 それも勿論「リアルラック」な人である。

 これには運営も驚いたが、シメシメと笑った。

 そう、これは確率に偏りつつも相手のリアルラックを一方的に信用した罠。

 

 彼に行われた運営の罠は、全く褒められた話ではない。

 逆に訴えられてもおかしくない「詐欺」であった。

 そう、彼に対して行われた詐欺の種別を言えば、どのような内容かは知れる。


 その名も、原野商法。


 すでにこの時点で運営の意図は知れる。

 ゲーム運営上に障害のある人物を排除し、延命を図る。

 これ自体が発覚しても、収支のあるリアルマネーではなくゲームマネーであることを考えれば非常に軽微な問題だろう、と。


 が、運営側は大いに勘違いしていた。


 プレイヤーにとって価値がない土地の所有を何のかんのといって放棄すると思っていたのだ。

 そして何の利用価値もないはずだった土地は、そのプレイヤーの熱い行動力により、点々バラバラ、スラムや地下部に指定されていた座標を大きく変え、ある森全体を覆う契約に変更されておいた。


 その名も「魔獣の森」。


 NPCにとっては、危険で危なくて進んで所有者になろうなんてバカはプレイヤーしかおらず、10億エギルの詐欺にあったこともあり同情的な判断が下り許可された。


 許可されてしまったのだ。


 これに驚いたのは運営。

 NPCにとっては価値がない土地でも、ふつうのプレイヤーにとっては経験値やアイテムを稼ぐ絶好の土地でありエリアであった。

 それが、何の因果か個人プレイヤーの「占有地」になってしまったのだ。

 突然、森から放り出されたプレイヤーたちは、困惑よりも怒りを、混乱よりも暴動に走った。

 さらに言えば、今回の騒動の大凡は大型情報掲示板にさらされていたため、運営の自業自得ではすまないレベルまで進行していた。


 ここで初めて、運営はリアルラックプレイヤーに泣きついた。

 なんとか森を開放してくれ、と。

 もちろん、真っ向から「だが、断る」と断るプレイヤー。

 所有地の掌握は権利であり、システムに求められた行動の範囲である、と。


 ぐうの音もでない運営は、ありとあらゆる難癖を付け、公式HPで後悔処刑のように経緯をねつ造してアカウント停止に追い込むことでリアルラックプレイヤーの排除に成功した。

 いかにも力業で頭の悪い行動は即時に広まり、古参プレイヤーの流出は止めようのないモノになった。

 加え、ねつ造された経緯についての裁判や、ネット内占有地の法的根拠、NPCを使用しての詐欺行為が表沙汰になってはもう「運営」などできるはずもなく。

 そのMMORPGは、開始当初の評判など吹き飛ばす最悪のゲームとして名を残すことになったのであった。


 これが、彼の「一個」めである。

事件や行動は極端ですが、ゲームの栄枯ってこんなかんじかな、とw


あと、12時に追加がありますw

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