どうやら珍しい依頼を受けてしまったようです。
間違えてもう一つのほうに投稿してしまった。
申し訳アリマセン。
それから約一時間後。
一部活が使うにちょうどいいサイズの部室の扉を開けて入ってきたのは、我が不肖の妹だった。
「たのもーーーーっ!」おまいは道場破りか。
「来たね、歓迎するよ。」と正。
「来てしまった…!!」と、俺。
持っていた歓迎用のクラッカー(正が用意した、アイツはこういうのが大好きなのである。外見と中身が少しズレがあるような気がする)の紐を引かずに投げつける。
コツンと音を立てて命中。何気に角が当たってしまった。
「いてっ!何するの!」
「彼はツンデレだから仕方無いのさ。それが彼の愛情表現って奴だよ」嘘 を つ く な。
俺がツンデレ、と聞いて目を輝かせる妹。ふざけんな。
「な、なるほど…じゃあいままでの行動も全部…!!」
そりゃ素敵な勘違いって奴だ。ただの思いやりってだけだ。
これくらいは兄として誰でもやるだろう。
「そ、それなら仕方無いよねっ!」とまさかの自身を前向きにさせる発言。
自分を慰めるのに人を使うな。
全く。
「お前ら好き勝手に言ってんじゃねーよ…?」
と怒りながら言っても無駄だった。
「キミも苦労してるんだね、黒斗の妹さん。」
「いえ!ツンデレなら仕方ないです!私はただそれを受け止める…のみ…っ!!!!」
妹がトリップしている。
こくとはこんらんしてきた。
さて、先ほどのカオス的状況から10分後。大分落ち着いたのを確認してそれぞれを紹介する。
「正、こちら妹の白菜。変態だから気をつけろ。」
「白菜。こちら部長の正、別の方向性で変人だから気をつけろ。」
「「いやあ」」ほめてねぇよ!!
「とにかく、よろしくね」「こちらこそよろしくお願いしますっ!」と、まぁ仲がよさそうだ。
「それでっ!お兄ちゃんの学校での調子はどんな感じなのですか!」
「あー、それはねぇー」ヤバイ。この話題は止めないと
とりあえず新たな話題を出してみる
「そ、それでっ!正、今回は何の依頼を受けるんだ?」
ちょっと焦りすぎたか?と思っていると、正はしっかり答えた。
「ああ、もう決めたんだ。ちょうどいい依頼を見つけたからね。」
ほう、ちょうどいいのがあったのか。
ここでのちょうどいいとは、『死の危険性が薄く、訓練になり、自己満足が十分にできること』である。
これがなかなか探しづらい。こういうので引っかかるのは大体が特殊な依頼だが……?
どんな依頼なのか聞こうとする前に彼は答えた
「言わなくても答えるさ。…ところで、デスゲームって知ってるかい?」
だが回答としては不十分だった。てかデスゲームってなんだよ。流行のゲームなのか?
これには俺は答えられず、代わりに妹が答えた。
「知ってます知ってます!ゲーム内に閉じ込められてログアウトできなくなって、しかも死んだら現実でも実際に死ぬっていうゲームですよね?」
「なんだそれ。ゲームとして成り立っているのか?」
俺の言葉に正が呆れた表情でこちらを見てくる。何だ、何かしたか俺。
「そういえばキミは本を読まない人間だったね。」
本を読むくらいなら戦ったほうがマシとは俺の言葉である。
それに本は苦手だ。
恐らくだが、デスゲームとやらは本来架空の物語なのだろう。
「あー、やっぱりそうですよねー」と妹。うるせぇ。
「それで、そのデスゲームが実際に起こっちゃったんだよ。」
ほう、本とかの枠を超えて実現してしまったのか。
人類の発展は現代においても目を見張るものがある。
VRゲームなんてものは十年近く前にはもう普及してたし、未だ世界各地にいるテロリストたちが使う兵器も生体兵器だったり核ミサイル搭載二足歩行兵器だったりと、時代の発展は凄まじいものがある。
今から百年前の日本は戦争に負けたばかりだったと言うのにな。
閑話休題。
「そのデスゲームは今日から始まったんだけど、これがまた面白い仕組みでね、現実での一時間は、ゲーム内での体感時間が1日になるんだそうだ。そのせいで今も分単位で死者が出ているそうなんだよ。」
効いたことがあるな。最新技術の一つで、『人間クロックアップ』…だったか?
脳の回路の一部を機械で代用することによって思考の速度を何十倍何百倍、理論的には10万倍まで引き上げられるらしい。
その代償として、クロックアップ中は動けないから長時間のクロックアップは危険・・・て、それってそのデスゲームとかいうのをしてる奴らは大丈夫なのだろうか。
「その上、その意識のクロックアップの影響もあるから、対応する政府は早いうちに救出したいらしい。」
「日本政府からの依頼ね。んで実際何をやればいいんだ?何でデスゲームになってるのかすらわからないんだろう?」
「いや、それ自体はもう分かっているんだ。AIの暴走。しかもAIの本体がある部屋が核シェルターになってて、その上厳重なロックで突破されていないんだ。キミたちがやるのはプレイヤーとしてゲームに参加して死者を出来るだけ減らすか、ゲームクリアしてAIの目的を達成させてあげることだ。」
AIに目的があるのか。…にしても、キミたち?
「キミたちってことは・・・お前やモートはどうするんだ?」
「僕とモートはAI本体のある部屋への突入の手伝い。今回はどちらかが成功させればいいのさ。」
なるほどな。
「…えーと、てことは…私とお兄ちゃんはゲームをプレイするんですか?」
「そ、機材は既に揃えてあるよ。時間も無いからさっさと準備しよう。」
そんなこんなで。
俺たち兄妹はどうやらゲームをすることになったらしい。
正直VRとか初めてだ。妹は知らんが。
というわけで次回からしばらくVRMMOモノになります。