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begining ~動き出す刻~

※題から用語まで、ネーミングセンス皆無なのは仕様です←

悠翔はある意味呆然としてしまった。


ひったくりを倒したのが、少女だったという事もある。


剣術の大会等では、男女はわけられていない。


それは、勝敗は元の腕力より、レザルトの力をどれだけ引き出す事が出来るかにかかっているからだ。


だが、それでも圧倒的に男の方が強いのが現実だ。


しかし、ほんの数人、男に勝る強さを持った女性も存在する。


まさかこの人も……


自然と警棒を握る手に力が入る、と


「っ、誰!?」


少女が悠翔の隠れている壁の方へ振り向く。


気づかれてしまったようだ


元々隠れる必要もなかったので、悠翔は姿を現す。


「あなた……、誰?」


「いや、犯人を追って来たんだけど」

特に嘘をつく理由もないので正直に答える。


「そう、じゃあコイツのお仲間ってわけね……」


とんでもない勘違いをしていたっ!?


「いや、ちょっと待っ―」


「その警棒、警察から奪ったのね!」


「違うよっ!?」


「つべこべ言わないで! 神妙にしなさい!」


取り付く島もなく、少女は持っていた刀で襲いかかってきた。


「ああもうっ!」


あわててかわす。


本当は警棒で刀と打ち合う事も出来そうだけど……


へこむよな……これ……。


「まだまだっ!」


少女はさらに刀を振りかぶり、斬りつけてくる。


それをかわすことは、それほど難しいことではなかった。



確かにそれなりには早いものも、少女の刀捌きはただ無闇に振り回すだけで、太刀筋もなにもない。


それを避けることなど、造作もないことだった。


しかし


どう見ても素人だよな……


どうやってひったくり犯を倒したのか謎が深まるばかりだったが、それよりも―


「避けるばっかりなんて卑怯よ!」


「いや警棒じゃ打ち合えないって」


いつまで続くんだろ……。


長期戦になりそうな予感に、悠翔はため息をついた。



―――――――――――――――――――


「はぁ、はぁ、なんて人なの……」


ひったくり犯を捕まえて、初任務を無事に終えたはずなのに、なんでこんな事になってるんだろう……。


自分の運の無さに辟易する。


今、ひったくり犯の仲間が現れて、ソイツを捕まえようとしている最中だ。


ひ弱とは言わないけど、どうみても強そうな見た目はしていないのだけれど、意外に強い。


やっぱり、私じゃダメなのかなぁ。


そう思うと、涙が零れそうになる。


それをなんとか振り払い、元凶をにらめつける。


「泥棒のくせに、泥棒のくせに……っ」


「いやだから僕は仲間じゃないって」


まだあんな事を言ってる。


私が一生懸命刀を振っている時も、ずっとその一点張りだった。


警察が持ってるはずの警棒持って、こんな所に現れたていて、仲間じゃないはずがないじゃない。


「問答無用よっ!」

耳を貸す必要なんかない、捕まえる事だけに集中しよう。


そう思い、再び犯人の仲間に向かって駆ける。


一瞬


仲間が何かに気を取られた。


ここしかない、やっと見つけたチャンス!

刀を振りかぶって


「もらっ―」


「やりやがったなこのアマっ!」


「えっ……?」


気づくと、さっきまで気絶していたひったくりが、ナイフを振りかざしていた。


いつの間にか起き上がっていたらしい。


仲間の方ばかりに気を取られて気づかなかった……っ!


思わず目をつぶってしまう。


……ああ、私死んじゃうのかな?


私みたいな素人が、攻撃を受けたりしたら本当に死んでしまいそうで。


ただ、自分の弱さが恨めしくて


思わず、呟いてしまった。


「お姉ちゃん……」


私の憧れの人。


目標の人


大切な人


ごめん……ごめんね……


そのまま来るはずの衝撃をただ待つ。


しかし―


……あれ?


いつまで待っても衝撃は来なかった。


「やっぱり素人だったんだね……」


犯人がいるはずの方から、あの仲間の声がする。


恐る恐る目を開けると……


あの仲間がすぐそばに立っていて


その足下では、さっき襲ってきた犯人が見事に伸びている。


よく見ると、仲間が持っていたはずの警棒は、砕け散っていて、既に原型を留めていなかった。


これから察すると……


まさか本当に仲間じゃなかったの!?


「助けて……くれたの?」


「うん、まぁそうだね」


さっきまで犯人の仲間だと思っていた人は苦笑いを浮かべていた。


うわぁぁぁぁっ、私ってばなんて事を……っ!


あまりの恥ずかしさに顔が真っ赤になる。


本当に犯人の仲間じゃなかっただなんて!


「ごっ、ごごごめんなさいっ!あのっ、そのっ」


「誤解が解けたなら何よりだよ」


その人は、そのままそっと手を差し出してくれた。


「立てる?」


「……はい」


私はその手を迷うことなく取っていた。


「あの―」


「おーい、大丈夫かー?」


少し向こうから、声が聞こえてきた。


「げっ……」


すると、何故かその人は顔をしかめた。


そうこうする間に、やって来たのは私の上司さんだった。


「良かった、大丈夫だったみたいだな」


「はい、この人が助けてくれまして」


「おお、それは良かった良かった、なにせ奴は手練れ常習犯だったから、お前では心配だったんだが」


なんて失礼なことをいう始末。


「いやいや、うちの部下が迷惑を……って、悠翔くんじゃないか」


「えっ?」


この人の事知ってるの!?


「……お久しぶりです、斑目さん」


「いや本当に久しぶりだね、3年ぐらいかな、元気にしてた?」


「えぇ、まあ……」


歯切れわるそうに答える悠翔さん。


「じゃあ、僕はこれで。後はよろしくね」


「え?」


と、いうや否やさっさと帰っていってしまった。


あーあ、色々聞きたいことあったんだけどなあ……。


―――――――――――――――――――


「さてと、犯人も捕まえたし、私たちも帰るとするか」


犯人を拘束して、警察に引き渡したあと、斑目さんはそう言って踵をかえした。


「あのっ!」


「ん?」


「悠翔さんってどんな人なんですか?」


どうしてもあの人の事が知りたくて仕方がない。


自分でもよく分からないが、今あの人の事を知る手がかりはここにしかないのだ。


しばしの沈黙のあと


「そうかいそうかいっ」


そう言って、愉快そうに笑いだす斑目さん。


「私が知ってることなら話そう、いや、若いっていいねー」


斑目さんの言ってる意味よくは分からないが、話してくれるらしい。


「ぜ、ぜひっ!」


自分の中で、何かが動き出した。


そんな気がした。

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