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prologue ~始まり~

頭の中は真っ白だった



何が起きたのか、理解出来なかった



ただ



少女が血を流してぐったりと倒れている



そんな光景をただ茫然と眺めていた



その手に血の滴る刀を持ったまま



――もう何度この光景を見ただろうか



通行人が気付いた



それから、あちらこちらから怒号や悲鳴があがる



まさしく阿鼻叫喚の地獄絵図



――忘れたくても忘れられない、忌まわしい記憶



それもそのはず



それは、目の前の光景はあってはならないものだから



だが、その叫びすら自分には届かない



どのくらい時間がたったのだろうか



通報を受けて来たのであろう救急隊員が飛び出てきて、処置を始めた



それを見届けることなく途絶えそうになる意識の中、思った



――もううんざりだ



―――――――――――――――――――


「ねえ、聞いてる?」




目を開けると、そこは一面桜が咲き誇っていた



中でも一番大きな桜の木の元には、さっきとは違う少女



顔は逆光なせいか、よくわからない



年はまだ小学生ぐらいだろう



少女はくすくす笑う



「もう、本当に抜けてるんだから」



君は誰?



そう訊こうとするが、声が出ない



「約束……だよ?」



少女は構わず言葉を続ける



約束? それは何?



またしても声は出ない



「あなたが――」



その瞬間、風が吹いた



それは桜の花びらを舞わせ、その続きをかき消してしまう



それでも、何故かその言葉を理解出来た気がした



それで悟った



これもまた夢なんだと――

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