表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/51

第16話 そして魔王誕生(前編)

こんばんは。お読みいただき、ありがとうございます。本日は前編と後編に二回に分けて投稿します。後編までお付き合いいただけますと嬉しいです。

「セリオン、やめてえ!」

「くるな!」

 セリオンの剣がモルガナに向けて振られた。セリオンとしてはモルガナを傷つけるつもりは一切なかったのだろう。だがセリオン自身が自覚できずに膨れ上がったオーラは、剣に巨大なホーリーエンチャントの光刃をもたらし、それがモルガナを斬り裂く。斬り裂いたかに見えた。

 しかし、光刃が通過したその場にはもうモルガナはいない。壁際にはモルガナを抱えたアルバス。魔素がどんどん抜けて行っている。

「アルバス!」

 背中の致命傷に気付いた。大きく裂けている。モルガナを庇ってセリオンの光刃を受けたのだ。

「俺は手遅れだ。あの男の魔法、というかあの男に仕掛けられていた魔法は魔人と人間両者への呪いそのもの。呪われたら逃れるすべはない。術者の命を使って魔人を殺す即死魔法だからな。だが、もう一度お前に会えてよかった。魔人と人間の融和。それを為そうとする者は確かにいるのだ。人間の中に。だがそれは共調や共存ではなく混血化、同化だ。しかし、それはこの世のことわりに反する。この世のことわりを壊した際に世界の安定が傾き、災害が訪れるのだ。俺には分かる、ごふ……」

 急速に黒い魔素に返還されていくアルバス。一つのところに身を寄せた無数の蛍がちりじりに飛んでいくかのように。

「アルバス、しっかりして!あんたがいなくて、仲間をどうするんだよ!」

 絶叫はアルバスと言うより世界に対して放たれた。魔王に挑んだはずのあたしたちは、ここまで来て、なにも正しいことをしていない。

 アルバスは泣き叫ぶモルガナの頬を掌で包む。冷たく硬い手のひら。

「お前は、魔人の希望になりうる存在だ。俺なんかよりずっと……。これを持って行け。お前自身が体験することで俺の言っていることを理解できるだろう……。そういやお前は100年後から来たのだったか。そのことを誰かに記録させよう。初めて会ったときに直感は今のほうが、もっとつよい。魔人の未来を、お前に託す……。あとは頼んだぜ、魔王様……。」

 アルバスの魔素がモルガナに流れ込む。アルバスは同時に思念を仲間に送ったのもモルガナには分かった。記録をさせる、ということなのだろう。

 魔人は人間を材料に作られた?直感的にそう感じた。1000年前の魔女、ワルプルギスはそうやって人間をしもべ化した。それが魔人だ。そして最初の魔人はおそらく人間とも繁殖可能だったのではないか。それが累代を重ねる過程でそうではなくなった。いま、原初の方法で新たな原初の魔人を生成し、魔人とも人間とも繁殖可能な種族をつくって混血化を図る。自分の体内に流れ込む魔素に、その可能性を感じた。100年後の魔王になれと言われてもお断りだ。まして流れ込んできた魔素に責任なんかもてない。今度こそまっとうな人生を送るのだから。

 そうしている目の前でアルバスの魔素を大量に取り込んだセリオンが苦しみもがいている。

「うおおッ、魔王、魔王モルガナ、お前を、殺す!」

 苦しみあらぬことを口走るセリオンの目、鼻、口から血が噴き出すように流れ始めた。適合しない魔素に体を焼かれているのだ。同時に地震に宮殿が揺れた。天井の一部が崩れて落ちる。巨大な地震だ。これがよのなかのことわりを乱した結果なのか。目の前でセリオンがふらふらと夢遊病の間者のようにおぼつかない足取りで近づいてくる。剣を振り被って。

 そして彼は穴という穴から血を流し、その穴はまた黒い煙を立ち昇らせている。それは命が変換されて煙の姿となって虚空へ舞い、漂い彷徨う生命力に似た何かなのだ。

「おごお。おぼお……」

「セリオン……」

 モルガナは杖を構えた。

この後まもなく(後編)を投稿しますので、もしお時間ありましたら、もうしばらくおつきあいくださると嬉しいです。よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ