末端天使の異世界転生手続き
「あのー!ちょっとー!すみませーん!まだですかー?!」
あー、はいはい。なんでしょう。
「何でしょう?じゃないですよ。異世界転生してあげるって神さまに言われてから、結構時間経ってるし」
すみませんねぇ!こちとら上からタスクがどんどん落ちて来て大変なんですよ!もうちょい待ってください!
「……せめて、暇潰しの道具でも無いです?」
無いですね。そんなに暇なら、タスク処理と並行して、アナタ会話するくらいなら可能ですよ。
「じゃあお願いします……今日はいい天気……ですね」
会話下手か!ここに天気なんか無いですよ。あの世にいるんです。会話の内容くらいあるでしょう。全く、最近の人間はどうしてこんなに会話下手なのか。
「口が悪い人だ」
生憎ですが私は天使てす。残業残業のサビ残天使です。
「うわぁ。天使にも仕事ってあるんだ……大丈夫じゃなさそうだけど」
本当に!神の野郎がこんな末端にまで仕事を積み上げるんですよ!上司とは言え、不満くらい溜まりますよ!
「神さまになんて言い草……そんな呼び方、聞かれたら不味いと思いますよ」
はっはっは!大丈夫大丈夫。私みたいな末端にまで神経張り巡らせるなんて無理に決まっ、あばばばば!!……こ、これは……か、神の……いかづぅちぃ……っ?!ぶは。
「マジか。半ば冗談で言ったのに」
イテテ。げほ、げほ、ごほん。改めまして、異世界転生の手続きを始めましょう。
「やっと始まった」
まずは世界選択です。候補は三つ、それぞれ平和な世界。戦乱の世界。民度最低の世界。さてどれにしますか?
「待って、最後の……何?」
あぁ、民度最低の世界ですね。我々天使と全知全能の大いなる神が各世界と比較した中で最悪の世界です。
「あっ分からされてる」
黙れ下さい何も言うな下さい!全知全能の大いなる神は全てを見ています。全てを知っています。故に全知全能なのです!
「落ち着いて。話の主旨が明後日に行ってるから」
あっ、おっと失礼。それでどの世界にしますか?
「ちなみに聞くけど、人間以外に転生したりとか……する?」
希望するなら止めませんけど、基本的に支配種である人間に転生が殆どですね。今までの転生データを閲覧した限り、人間以外に任意で転生したのは捻くれ者か変わり者だけです。
「じゃあ平和な世界でお願い」
はいはーい、一名様平和な世界にご案内。
「……」
……
「え、転生は?」
まだです。ちょっとだけ待って下さい。転生手続きの申請書を作成してますから。
「じゃあ今のは……」
言ってみたかっただけです。
「そっか」
ではここに判子を押して下さい。アナタ用の判子も用意しました。
「あの、魂だけになってるから手が無いんですけど」
まぁ自己満の偽造書類なので判子押さなくても全く問題ないですがね!はっはっはっはっは!
「神さま。雷カモン」
あばばば!!な、なんで……人間のお願いで雷降らさないで下さいよ!このクソ神!
「あっ」
あばばばばばば?!!……ぷ、ぷしゅー……
「あーらら。天使さん。いい加減早く手続き終わらせてくれませんか?」
急に天使に対して口調荒いですよ。止めて下さい、雷で私の体力が赤ゲージになりました。
「じゃあさっさと終わらせたらどうです?そうすれば失言はしないはずですよ」
そ、そうでした。ではいってらっしゃい。
「もしかしてもう行けちゃう感じ……?」
行けちゃう感じです。
「じゃあもっと早くして。神さま雷カモン!」
あばばば!!もう止めろ、早く行けぇ!
ぜぇ、ぜぇ……転生手続き終了……やっと私のタスクに手が回せる……
「あの……女神様からここで転生して頂けると聞きましたが……」
あーもう!このクソ神共が——あばばば!!




