第9話 異種族進化
せっかく幸せな気持ちに浸っているのに、頭の中に直接響く声が水を差しました。
(ミッション『同胞の解放』を達成しました。また、ミッションクリア特典として、被解放者1名を進化可能です。進化先を選択してください。)
また天の声?
特典とやらは嬉しいけど、ちょっと得体が知れなくて怖いのだけど…。
また視界に透明な板が現れたので確認してみます。
リタ
魔蝶族→魔蝶族・サキュバス
サキュバス?フェアリーじゃないの?
サキュバスって、エッチな種族じゃなかったっけ…。
むむむ…リタ姉ちゃんに言いづらいなぁ。
まぁ、オリジンのほうを選ぶだろうし、あんまり気にしなくていっか。
「リタ姉ちゃん、なんかね、リタ姉ちゃんも進化できるみたいなの。私と同じ魔蝶族のオリジンとサキュバスを選べるんだけど、魔蝶族のほうでいいよね?」
何を言っているのかわからないみたいで、リタ姉ちゃんが質問してきました。
「そういえば、さっき進化したとか言ってたわね。進化って何なの?」
「オルフィーにもよくわからないんだけど、なんかミッションっていうのが達成できると、天の声っていうのが聞こえて、特典っていうので進化できるんだよね。」
「ちょっと、何を言っているかわからないんだけど。」
「だよね…。」
「でもね、進化のおかげでドレミーを助けることができたから悪いことじゃないと思うの。」
私はドレミーを抱えて、リタ姉ちゃんに見せてあげました。
「ドレミーはね、もともとマンドラ族だったんだよ。人間をやっつけるのに命掛けで協力してくれてね、そのままじゃ死んじゃうところだったけど、ドライアードに進化したから生き残れたの。」
ドレミーは右手を挙げて「よろしくノ。」とリタ姉ちゃんに挨拶しました。
リタ姉ちゃん、だいぶ驚いてるね…。
リタ姉ちゃんはドレミーをまじまじと見たあとに言いました。
「ねぇ、ドレミーは別の種族に生まれ変わったのよね?体は別物になった感じなのかしら?」
「そうだノ。もう土から出ても大丈夫ノ。一人で歩けるノ。」
「不思議なこともあるものね。オルフィーは羽が大きくなっただけで、体は前と同じ感じかしら?」
「そうだね、どおせなら背も高くなってくれたらよかったのに。」
もともとチビなのがコンプレックスだったのに、大きくなったのは羽だけなんだもん。
リタ姉ちゃんは考え込んだ後、決心したように言いました。
「それなら、私はサキュバスに進化したいわ。」
私は思ってもみなかった言葉に衝撃を受けました。
「なんで!?リタ姉ちゃん、魔蝶族をやめちゃうの?エッチな種族がいいの?」
ゴツン!リタ姉ちゃんのゲンコツが私の脳天に落ちました。
「変な言い方しないで、エッチだから選んだわけじゃないわよ!」
「えー、リタ姉ちゃんが別の種族になっちゃうの、寂しいよぉ。」
せっかく同族を助けたのに、同族じゃなくなっちゃうの?
別に種族が変わっても、リタ姉ちゃんはリタ姉ちゃんだけどさ。
「私の体はね、人間たちにひどく穢されてしまったの。だから、この体のまま生きていくのは辛くて。生まれ変われるなら、そうしてみたいのよ。」
お子ちゃまな私でも、なんとなく何が行われてきたのか想像がついちゃいました。
どんな酷い目にあってきたら、種族が変わってもいいから別の体になりたいって思うのだろう。
今の私には正直わからないけど、リタ姉ちゃんの決めたことを尊重しようと思う。
「種族が変わっても、一緒にいてくれる?」
「ええ、オルフィーだけに苦労を押しつけたりしないわ。私だって自分の手で復讐したいもの。」
最後、ちょっとリタ姉ちゃんの目が怖かったんだけど…。
「じゃあ、決定しちゃうよ。いい?」
「いいわ、お願い。」
本当は魔蝶族でいてほしかったんだよ。でも、我慢する。リタ姉ちゃんが前向きに生きられるなら、そのほうがいいもん。
「リタ姉ちゃんはサキュバスに進化します。」
(リタの進化先が確定しました)
頭に直接声が響くと、リタ姉ちゃんが繭に包まれ、そして繭が消えていきました。
進化を終えたリタ姉ちゃんは、顔は名残があるけど、なんというか、やっぱりエッチィ…。
ボン、キュ、ボンとは、こういうのを言うのか。
蝶の羽はコウモリの羽みたいになってて、背も伸びてる。ずるい…。
「リタ姉ちゃん、大丈夫?」
「ええ、とっても気分がいいわ。」
リタ姉ちゃんは艶めかしく笑いました。
リタ姉ちゃんが大人の女になっちゃったよ…。




