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第7話 進化②

ダルクさんは周囲を警戒するように見たあと、壁の穴を覗き込んで人間の死を確認したようでした。

「お嬢ちゃんがやったのか?」

ダルクさんは、信じられないという気持ちがありありと顔にでていました。


「ドレミーが気絶させてくれたから、私は留めを刺しただけだよ。」

「それじゃあ、マンドラ族の子は…。」

ダルクさんはドレミーが死んでしまったと思ったのだろう。沈痛な表情を浮かべました。

「えっと、ドレミーは生きてるよ。ドライアードに進化したから死ななくて済んだみたい。」

私の言葉にダルクさんは驚愕の表情に変わりました。まぁ、驚くよね…。

「進化ってのは何なんだ?」

「人間を殺したらね、なんか頭に声が響いてきて、称号?というのを獲得したみたいなの。『解放者』だったかな…。それでね、私とダルクさんとドレミーは進化できるって言われて、ドレミーはドライアードを進化先に選べたから、死なずに済むかもって思って試してみたの。あと、私は魔蝶族オリジンっていうのに進化したら羽が大きくなって怪我も治ったんだよ!」

私も理解できていないことだから、起きたことをそのままダルクさんに伝えてみました。


「それは異界からの侵略者を退けたっていう初代魔王が聞いた天の声かもしれねぇ…。初代魔王は仲間に特別な力を分け与えたっていうから、それが進化なのかもしれん…。」


ダルクさんの話を聞いていて、もう一つ思い出したことも伝えました。

「そういえば、私に『真なる魔王に至る進化ツリー』というのが解放されたとも言ってたよ。」

ダルクさんはしばらくポカーンと口を開けていましたが、その後笑いだしました。

「なるほど、我が主は魔王となる器だったか。これは尽くし甲斐があるというものよ!」

ダルクさんはこれからも協力してくれるのかな?そうだったら嬉しいなぁ。


「ねぇねぇ、ダルクさんも進化できるんだけど、鬼神族侍と妖鬼どっちがいい?」

「侍!?鬼神族の伝承に残るアレか?主君に絶対の忠誠を誓った武を司る者と伝え聞いているが、それに俺がなれるっていうのか…。」

「妖鬼っていうのは、別の種族なの?」

「ああ、それは鬼神族の親戚みたいなもんだ。妖術を操る種族で力は弱いが頭がいい。」

「そうなんだ。ダルクさんはどっちがいいの?」

「選んでいいなら侍だが、お嬢ちゃんに任せるぜ。」

「もちろん選んでいいよ。じゃあ、ダルクさんは鬼神族侍に進化します。」


(ダルクの進化先が確定しました)

頭に直接声が響くと、ドレミーのときみたいにダルクさんが繭に包まれ、そして消えていきました。

ダルクさんの体は一回り大きなって見るからに筋骨隆々といった感じです。

滅茶苦茶強そう!それに格好いい!

私が目をキラキラさせて眺めていると、ダルクさんは手のひらを握ったり開いたりしながら自分の体を確認しているようでした。


「力が湧き上がってくるようだ。ありがたい、これならお嬢ちゃんを守れるぜ。」

自信に満ちた目をして、ダルクさんが私に言いました。

やっぱり、これからも一緒にいてくれるのかな?

「私ね、他の町も人間から解放していきたいの。生きている魔蝶族は全員助けたいし。だからね、ダルクさんにも協力してほしいのだけど、一緒に来てくれる?」

ダルクさんは何を今更といった感じで笑いました。

「もとよりそのつもりだ。主君を一人で送り出すはずがないだろう。」

私は嬉しくてダルクさんに飛びつきました。

「ありがとう!ドレミーと3人で頑張ろうね。」

ダルクさんは、優しく微笑んで頷いてくれました。


それから残り2人の鬼神族も鱗粉で起こし、町の鬼神族全員を集めてダルクさんが状況を説明しました。

私はドレミーと手を繋いで横に立って聞いていました。

解放されたことを知ったみんなは涙を流して喜んでいて、私も嬉しくなりました。

私とドレミーの功績が大きいと説明されたためか、みんなが私たちの前で膝をついて感謝の言葉を一斉に伝えてきたのには、ちょっとこそばゆい感じがしました。


それでも、みんなの隷属紋が消えていないことが気になってしまいます。

魔蝶族オリジンになって、鱗粉の効果も上がっているっぽいから、もっと一遍に消せないかなぁと思いました。

あ、飛べるのかも試してみたい。

私は羽に意識を集中して羽ばたくと、体がふわりと浮き上がりました。

飛べる!すごい、すごい!

私は嬉しくなってみんなの上空を飛び回りました。

私の羽からキラキラと鱗粉が舞い落ちていくと、眼下では鬼神族のみんながザワつき始めました。

「隷属紋が消えていく!」

「奇跡だ!」

「救い主様が降臨されたんだ!」


あれ?なんか私を見るみんなの目が、陶酔しているような変な感じに…。

一気に隷属紋を消せたことには満足なのだけど、ちょっと怖いかも…。


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