表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/40

第6話 進化①

無心に刺し続けるうちに、人間の胸部は多くの深い刺し傷で真っ赤になっていた。

もう拍動もなく完全な屍に成り果てたようだ。

そして、初めて魔族に似た知性ある生命の命を奪ったことに後になって恐怖が追いついてきて、吐き気が込み上げてきました。

床に散乱する吐瀉物を見つめていると、少し冷静さが戻ってきました。


気づくと近づいてくる足音が止まっていたので、命令者が死ねば命令が無効になることを知ることができました。


私はドレミーが奇跡的に死なない未来を祈り、這いずるように床に落ちたバッグを確認しにいきました。


通り抜けた穴から無造作に床に落ちたバッグを拾い上げると、植木鉢はひび割れて土が散乱していました。

その上に力なく横たわるドレミーの姿を確認し、私は必死に散乱した土をかき集めてドレミーの体を覆い隠そうとしました。


すると、ドレミーが細く目を開いたので、私は奇跡が起きたのかと勘違いしました。

「オルフィーが死ななくてよかったニョ。寂しくても生きてきた意味があったニョ。」

「ドレミー、無理しないで。今助けるからね!」

「もう助からないニョ。もうすぐ死んでしまうニョ。最後に頭を撫でてほしいニョ。」


ドレミーの言葉に、奇跡なんてないんだということを突きつけられ、涙で視界がぼやけていきました。

私はドレミーの頭を優しく撫でているとドレミーは気持ちよさそうに目を閉じていきます。


「ドレミー、助けてくれてありがとう。一緒にいるって約束したのに、守れなくてごめんね…。」


もう疲れちゃったな、このまま全て放り出してドレミーと一緒に眠りたい。

私が目を閉じようとすると、突然頭の中に直接響くような声を感じました。


(ミッション『ニアの町の開放』を達成しました。達成者オルフィーは『解放者』の称号を得ました。解放者には『真なる魔王に至る進化ツリー』が解放されます。また、初ミッションクリア特典として、協力者2名を進化可能です。進化先を選択してください。)


何を言っているのかわからず混乱していると、私の視界に透明な板のようなものが現れました。

驚いて凝視すると、そこには気になる名前が表示されていました。


オルフィー

魔蝶族→魔蝶族オリジン・フェアリー(風属性)


ドレミー

マンドラ族→マンドラオリジン・ドライアード


ダルク

鬼神族→鬼神族(侍)・妖鬼


なにこれ?進化ってどういうこと?

オリジンとか、何のことかわからないけど、混乱のなか私は一つの希望を見いだしました。

ドレミーの進化先にあるドライアード。

種族自体が変わってしまえば、土から出たから死ぬというマンドラ族の種族特性から逃れられるのではないか?

一刻を争うため、私は正解もわからず叫びました。


「ドレミーをドライアードに進化させて!」


(ドレミーの進化先が確定しました)


また、頭に直接響く声があり、私はドレミーがどうなってしまうのか心配になり、抱き上げて両手で優しく包み込みました。

私の腕の中で、ドレミーは繭のようなものに包まれたかと思うと、重さを増していき、次いで繭のようなものは光る粉のようになり消えていきました。

私の腕の中に残ったのは、長い緑髪をした幼女でした。

不思議なことに、幸せそうな寝息をたてている幼女は、間違いなくドレミーなのだとわかるのです。


「よかった…。よかったよぉぉぉぉ。」

私はドレミーを抱きしめながら、号泣してしまいました。


ひとしきり泣いて落ち着いてくると、痛みの感覚が襲いかかってきて私は自分自身も切り傷だらけだったことに気づきました。

ドレミーは幸せそうに寝てるし、進化すればこの痛みから逃れられるのかな?

この透明な板も、まだ2枚が私の視界を塞ぐように残ってるし…。


これって、魔蝶族オリジンかフェアリー(風属性)を選ぶんだよね?

ドレミーは緊急事態だったからいいとして、急に種族変わるのはちょっと。

この先、両親を助けられたときにオルフィーだって気づいてもらえなかったら辛すぎるし。


フェアリーは悪戯好きな小さくて可愛い種族で魔法も使えるし飛べるのが魅力的ではある。交流もあるから想像もしやすいけど、やっぱり魔蝶族のままでいたいから魔蝶族オリジンのほうを選ぶことに決めました。


「私は、魔蝶族オリジンに進化します。」


(オルフィーの進化先が確定しました)

頭に直接声が響くと、抗えない眠気に意識を失いました。


眩しさを感じて意識が戻ると、私の怪我は跡形もなく消えていました。

なんだかよくわからない状況だけど、助かったよ。

それと、羽がすごい立派になっている。大きすぎて住居に出入りするとき邪魔そうだけど、なんかこれ飛べそうじゃない?

後で試してみようかな。


深く考えずに進化しちゃったけど、頭に響く声も進化も謎すぎる…。いったい、何なのだろう…。


まだ1枚透明な板が残ってて鬱陶しいのよね。

ダルクさんの進化先を勝手に決めちゃうのも申し訳ないので、とりあえずダルクさんを起こそうと思いました。


抜けてきた壁の穴を通ったら、今度は大きくなった羽がもげそうだから扉のほうをチェックしてみました。

あれ、普通に開くけど…。あの人間が死んだから?

魔法って、よく知らないからなぁ。


私は普通に部屋から出て、気絶している鬼神族3人のうちダルクさんを揺すって起こそうとしましたが、全然起きてくれません。

ドレミーの絶叫って、すごい威力だったのね。

呼吸はしているから大丈夫だと思うけど…。


そういえば、私の鱗粉って浄化が強めで癒やしの効果もあるはずじゃない?

羽も大きく立派になって、鱗粉もたっぷりついてるから、ダルクさんの上で羽をパタパタして鱗粉をふりかけてみました。


すると、ダルクさんは目を覚まし、勢いよく起き上がりました。

私の鱗粉、なんか凄くない?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ