第40話 ミルフィル
兎人族の皆さんにこれまでの経緯を説明して、いよいよ進化を実行することになりました。
ミルフィルさんは、どうして自分が?みたいな顔をしているけど、ノジアの町でぬくぬく偉そうに生活していた人間を次々と排除したのを私は見ていたからね。全然不思議じゃないよ。
他の兎人族の皆さんも、進化するならお前だろうって顔してるもん。
「では、ミルフィルさんの進化先候補を発表するね。」
「お願いします。」
ペコリと頭を下げて、緊張した面持ちで私の次の言葉を待っている姿が可愛いい。
たぶん私より年上なんだろうけど、弟みたいに感じちゃうよ。
「えっとね、兎人族のオリジンかアルミラージだね。」
私の言葉に兎人族がどよめきました。
「アルミラージですか?魔物ですよね…。」
「そうですね…。角の生えた凶暴な兎の魔物だったかな?」
「そういうこともあるんですね…。」
「うーん、精霊になったりもあるから、魔物もあるのかもね。まぁ、オリジンの方にしておけばいいんじゃないかな。」
ミルフィルさんがポカンとして聞いてきました。
「あの、そんなに簡単に決めていいんですか?」
「私も最初の進化はオリジンのほうにしたけど、羽も強化されて飛べるようになったりして強くなれたよ。」
戦力的には上がらなかったけどね…。
でも、気が進まない魔物に進化なんてやめた方がいいに決まってるもん。
「そのオリジンというのは、どういうものなんですか?」
「たぶんだけど、遠い祖先には備わっていた能力が復活するみたいな感じだと思うよ。」
すると兎人族の皆さんが集まってゴニョゴニョ相談を始めました。
なんか、「祖先が強かったことあったか?」「いや、聞いたことないぞ。」みたいな不安な声が聞こえてくるんだけど…。
もしかして、オリジンになっても何も変化しなかったりして…。
「もし、何も変わらなかったとしても問題ないよ。その次の進化で大化けするかもしれないし、アルミラージだってそんなに強い魔物じゃないしさ。」
仕方なく魔物に進化というのは、させたくないからね。
「でしたら、オリジンのほうでお願いします。アルミラージになってしまったら、自我を失ってしまわないか心配ですので。」
確かにそうだよね…。アルミラージと心を通わせたなんて聞いたこともないもん。
「わかりました。では進化を確定するね。ミルフィルさんは兎人族のオリジンに進化します。」
(ミルフィルの進化先が確定しました)
頭に直接声が響くと、ミルフィルさんが白い繭に包まれ、繭は光る粉のようになって消えていきました。
あんまり変わった様子はないなと思っていたら、ミルフィルさんが顔を歪めて耳を押さえました。
「どうしたの!?」
「急に耳の聞こえがよくなったので、驚いてしまいました。これは凄いかもしれません…。」
「昔の兎人族は今より聴力が凄かったんだね。敵の接近とかに、いち早く気づけそうだから有用な能力だと思うよ。他には変化はありそう?」
「そうですね。たぶん、脚力が上がっていると思います。」
ミルフィルさんの足に目をやると、確かに筋肉質になったように思う。
ちゃんと進化で強くなれたようで、ほっとしたよ。
「オルフィーさん、ありがとうございます。」
ミルフィルさんが丁寧に頭を下げて感謝してくれました。
「オルフィーでいいよ。歳も近そうだし気楽に呼んでね。」
『様』付けとかで呼ばれるのは、なんか複雑な気持ちになるので、弟っぽいミルフィルさんとは気さくな関係になりたいんだよね。
「それじゃあ、僕のこともミルフィルと呼んでください。」
あどけない笑顔でそんなことを言うものだから、ちょっとキュンとしちゃったのは内緒です。
その後に行ったキエムの進化では、タレント『剣豪』か『忍者』の選択だったけど、リタ姉ちゃんが「剣豪にしなさい。」と勝手に決めたので、すぐ終わりました。
キエムはリタ姉ちゃんに決めてもらって嬉しそうだったし、そもそも忍者って何?って感じだったので速く決まってよかったです。
剣豪に進化したキエムは、剣士としての技量があがり、気配を察知する力が身についたと言っていました。
リタ姉ちゃんとしては、キエムに私の護衛をさせたいみたい。
ありがたいとは思いつつも、キエムかぁと内心で思ってしまいました…。
初めて男性向け作品に挑戦してみましたが、戦闘描写が苦手で読者の皆さんをドキドキさせることができなかった反省しております。PVも横ばいのため、ここで休載とさせていただきます。今まで読み続けてくださった皆様に感謝申し上げます。また、ブックマークしていただいたときは大変励みになりました。よろしければ、次の作品にもお付き合いいただけたら幸いです。




