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第39話 ノジアの町

辺境地域は荒れた大地が多くて、比較的農耕に適した場所に町が点在しています。

人間たちに蹂躙されたときに、ニアの町より小規模の村は不要とばかりに全滅させられたりしたんだって。

キエムの予想だと、魔法使いの人数にも限りがあるから、ある程度以上の収益が望めない町や村は残しておくこともできないので滅ぼしたんだろうって。

そこに住んでいた同胞は、有効活用できる部族は奴隷紋で縛り連行されたみたい。

そうでない場合は、たぶん命はないだろうと…。

魔蝶族は鱗粉に価値を見いだされて連行されたみたいだけど、全然喜べないよ。

リタ姉ちゃんも酷い目にあっていたし、鱗粉の価値が低いと思われたら殺されているかもしれないし。


今も同胞が苦しんでいると思うと落ち着いてはいられないけど、確実に魔界を取り戻すためにも、今は我慢して戦力を高めるしかない。


フィズさんの話では、バオーの町は辺境地域の収穫物が集まってくる集積所のような役割をしていたようで、バオーの町から一定量を南部の大都市に移送していたんだって。

バオーの町に収穫物を収めていた町は、ニアの町を含めて5つだけで、輸送はキエムを含めたタレント無しの人間が担っていたけど、キエム以外の輸送要員はバオー解放の際に全滅しているとのこと。


フィズさんは魔法使いが魔法で離れた地にいる誰かと連絡を取り合っている姿を見たことがあるらしく、私たちに追手がかかったことを考えれば、人間側は私たちの動向をある程度把握しているとみて間違いないみたい。

ただ、大樹海から引き返してくることまでは知られていないのではないかって予想していました。


なので、辺境の残り4つの町に対策を立てる隙を与えず、一気に制圧していくことになりました。食料もそのくらいは余裕で保つみたいだし。


1つ目のノジアの町は、兎人族60人ほどの小規模な町で、あまり警戒もされていないようでした。

犠牲者を出すのも馬鹿らしいので、接近に気づかれないように少数精鋭で町に近づき、身を隠しながら鱗粉をのせた風で農作業に勤しむ兎人族を次々と解放していきました。

タレントのない人間は解放された兎人族の一人が音もなく近づき、次々と抹殺していくのが圧巻だったよ。

タレント持ちの人間は魔法使いだけだったし、町の異変に気づいてもいなさそうだったんだよね。

だから、進化条件の仮説の検証をしようってことになって、今回はキエムに手柄を譲ことにしました。


ダルクさんが外から2階の窓に向けて、闘気の障壁を階段状につくり、それを足場にキエムが窓を破壊して突入し一瞬で魔法使いの息の根を止めました。

あまりにも呆気なく解放できてしまったので、なんか唖然としちゃったよ。

私たちって、こんなに強くなっていたんだなぁって。

でも、ダルクさんが言うには、戦士系のタレント持ちに魔法使いが付与魔術を使った場合が危険なんだって。

今回みたいに魔法使いだけなら、気付かれさえしなければ簡単に倒せるみたい。

確かに、フィズさんもバオーの町のとき一瞬で魔法使いを倒しちゃったもんね。


その後は呪塊を破壊して、全ての兎人族の隷属紋を解除していきます。

兎人族の皆さんから凄く感謝されて、一緒に戦うって申し出てくれたんだけど、食料確保も必要だったから農作業を続けてもらうことになりました。

その代わり、町で一番腕の立つ兎人族の男性だけ、代表で行動を共にすることになったの。


白茶色の髪から長い耳が上に突き出していて、小柄で可愛い印象の青年であるミルフィルさん。町一番の強者って、言われなければ絶対にわからないよね、筋肉質って感じでもないし。

なんでも、気配を消して獲物に近づくのが得意で、狩りでは大活躍みたい。

身長も私より、ちょっと高いくらいで親近感がわいちゃいました。


仮説の方はどうだったかというと、残りの兎人族を解放しているときに、『同胞の解放数500』のミッションを達成したって声が頭に響いて、確認してみるとキエムの進化が可能になりました。

やっぱりタレント持ち人間の討伐数だったみたい。

ドレミーの予想が的中だよ、顔の印象と直感の鋭さのギャップがありすぎかも…。


解放を全員終えたところで、『ノジアの町の開放』というミッションも達成されたことで、ミルフィルさんも進化が可能になっちゃいました。

簡単に解放できたわりに、得るものが多かったのは嬉しい誤算です。


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