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第33話 進化と条件②

また一人、強力な協力者を得られました。それに森人さんたちは一人一人が優秀な弓の使い手なので、今までになかった遠距離戦闘の戦力が加わったのも大きい気がする。

だけど、まだまだ足りないんだろうなって思うんだよね。

エピック級タレント持ちという人間側の最強戦力に太刀打ちできる状態にはないんだって、今回のことで理解してしまったもの。

これからのことは後で相談するとして、まずはフィズさんの進化もしておかないとだよね。


「えっとね、フィズさんも進化できるみたい。」

「また進化できるのですか!?まだ前回の進化からたいして時間も経っていないのですが…。」

驚いているフィズさんにリタ姉ちゃんが答えます。

「私たちも1回目と2回目の間は短かったわ。きっと時間は関係ないのよ。」

「そうなのですね。でも嬉しいです。今回の戦いで自分の未熟さを痛感していましたから。」

フィズさんは悔やむような表情で言うけど、タレント持ち2人を相手に戦って、魔法使いを倒したって、凄いことだと思うんだけど…。

「フィズさんは凄い活躍してくれたと思ってるよ。とっても感謝してるもん。」

「そうだな、あの厳しい局面に一人で対応したことには感服しているぞ。」

「フィズは頑張ったノ。」

私に続いて、ダルクさんやドレミーもフィズさんを称えました。


「そのように言っていただけるとは思ってもいなかったので、なんと申し上げてよいか…。」

フィズさんは困り顔をしているけど、尻尾がブンブン横に揺れていて、やっぱり可愛いと思っちゃいました。

「進化先としては、牙狼族の犬狼を統べる者かフェンリルだよ。犬狼を統べる者って、なんか格好いいね。私の女王みたいな感じかな?フェンリルのほうはどんな感じか知ってる?」

これまでの進化で、私に知識がないことは自覚したので、素直に聞いちゃいます。


「フェンリルとは、白い狼の姿をした氷雪の精霊の名前ですね。北部山脈の山頂付近、雪の溶けぬ地にいると伝え聞いていますが、実在するのですね…。」

ラーテルさんが教えてくれました。ラーテルさん、精霊に詳しくて助かります。


「精霊ですか…。氷の魔法などを使えるようになるなら、かなり強くなれそうですね。」

フィズさんが悩んでいるのは、もしかしたら犬人族だったころの姿に戻れなくなる不安があるのかもしれないと思いました。

リタ姉ちゃんみたいに、サキュバスやヴァンパイアならまだいいかもしれないけど、完全に狼の姿になっちゃうのは不安もあるはずだもん。


「ねぇ、『犬狼を統べる者』のほうでも、ちゃんと強くなると思うんだよね。それに、もしかしたら犬人族全体に恩恵とかあるかもしれないよ?今は犬人族が一番多いんだから、そうなったら心強いなぁ。」

ちょっと、空々しい感じになっちゃったかもしれないけど、進化することで後悔とかはしてほしくないって思ったの。


「オルフィー様、お気遣いありがとうございます。それでも今は危急な状況ですので、魔界のため少しでも強くなれる道を選びたいと思います。ですので、フェンリルでお願いします。」

そう締めくくったフィズさんの顔には、もう迷いはないようでした。

余計なお世話だったかな。

私もフィズさんを見習わないとだよね。


「では、フィズさんはフェンリルに進化します。」


(フィズの進化先が確定しました)

頭に直接声が響くと、フィズさんが繭に包まれ、そして繭が白銀の光に包まれ弾けて消えました。


進化を終えたフィズさんは体長3m程の巨大な白い狼の姿をしていました。周囲には冷気を纏っていて、近寄るとヒンヤリしました。

「フィズさん、お喋りできる?」

私はフィズさんのフサフサの毛並みを優しく撫でながら尋ねました。

もう、お話できなくなったら悲しいよ。


すると、フィズさんは何か試すように力んだりして「ウ-」と唸ったり、地面に霜をおろしたりしました。

大丈夫かな?と心配していると、フィズさんの体を氷の結晶のようなものが包み込み、姿が見えなくなったあと、その範囲がみるみる小さくなっていき、消え失せました。


「獣化の逆をイメージしたら、人化ができました!」

髪色が真っ白になったけど、牙狼族だった頃の姿に戻ったフィズさんが嬉しそうに叫びましたが、フェンリルになったときに服がはち切れてしまっていたので、裸の状態でした…。

男性陣は一斉に目を逸らし、慌ててラーテルさんとリタ姉ちゃんが前後について隠します。


人化しないと喋れないけど、その度に、このエッチなイベントが発生しちゃうのね…。

でも、ほっとしました。

「またお話しできるんだね、すごく嬉しいよ。」

私はフィズさんに抱きついて、想いを伝えました。

本当に嬉しくて、少し涙がでちゃったよ。嬉し涙って、いいものだね。


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