第24話 今後の方針決め
一通りの能力把握が済んだところで、フィズさんが尋ねました。
「それで、今後はバオーの町を開放したように、順次周辺の町の開放を進めていくのですか?」
それも悪くないけど、やっぱり時間がかかるよね。
その間も隷属魔法のせいで同胞が苦しみ続けると思うと辛いかも。
「魔界樹様を助けてあげてほしいノ。ずっと苦しんでいるノ。」
珍しくドレミーが自分から意見を言いました。
「フィズさんは知らないと思うけど、隷属魔法の効果が消えないのは魔界樹様の魔力を悪用されているからみたいなの。普通の魔法は時間が経てば効果を失うんだって。あとね、魔法使いがもっていた黒い水晶を破壊できれば、魔界樹様の魔力が届かなくなるみたいだよ。」
私なりに頑張って説明してみました。
「では、敵の本拠地を叩き、魔界樹様の解放がなされれば、魔界全体が解放されるのですか?」
フィズさんは一気に解決する方法があったことに驚いたみたい。
「しかし、簡単なことではないぞ。魔王の宮殿にはエピック級のタレント持ちが複数いるとのことだからな。」
ダルクさんは慎重派だよね。
勿論、町を開放していって、仲間を増やしながら進化を続けられたら、勝率は上がると思うけどさ。
「ただ、時間をかければ間違いなく私たちの存在に気づかれるわよ。そうなれば、魔界の同胞を盾にされて私たちを潰しにくるんじゃない?」
私もリタ姉ちゃんと同じことを心配してたんだよね。ただ、状況は変わっていると思う。
「でも、その作戦は私の鱗粉の風で解放してあげれば、簡単に形勢逆転できるから逆にチャンスじゃないかな?」
私の提案にキエムが意見を挟みます。
「たぶんですけど、戦力に使えないとわかれば、今度は人質として使われませんかね?『反抗すれば人質を殺すぞ』みたいな脅しが想像できるんですが。」
そっか、そういう手もあるんだよね…。
魔界の同胞を別の場所に集められて、人質にとられたら、どうしたらいいんだろう?
ここで、ダルクさんが深い溜息をもらし、辛い話をあえてきりだしました。
「今後、人質を盾に我らの行動を縛ろうとする場面は必ず現れるだろう。実際、2年前の侵攻の際には横行した手段だったからな。だが、その脅しに屈したならば、魔界の再興は不可能と言わざるをえない。きつい言い方になるが、見捨てる勇気も必要だ。」
リタ姉ちゃんは頷いているけど、これには私は自信がないよ…。
だって、お父さんやお母さんを人質にとられたら、私は見捨てるなんてできない気がする。
でも、それに代わる案なんて思いつかないし。
そのとき、私の困っている様子を見ていたフィズさんが威勢のいい声で言いました。
「ならば、そのような卑怯な手を使われる前に、魔王の宮殿を奇襲してしまいましょう!少しでも多くの同胞の命を守るには、敵に対応を考える時間を与えないことが肝要です。」
私はフィズさんの言葉が嬉しかった。
勝率とかより、同胞の命のほうが重いもん。
「私も、それがいいと思う!それでも同胞の命を盾にされたときは、私も覚悟を決めるよ。」
最後は尻つぼみに声が小さくなっちゃったけど、決めたからには躊躇しない。
今、心にそう誓いました。
「主がそう決めたのなら、俺は従うだけだな。」
ダルクさんは本音ではじっくりいきたかっただろうけど、私に賛成して笑ってくれました。
「いいわ、オルフィーが始めた戦いだしね。その案でいきましょう。」
リタ姉ちゃんが優しく笑いかけながら賛同してくれました。
「ドレミーもオルフィーに賛成なノ。」
ドレミーがいてくれたから、ここまでこれたと思う。
私がどんな提案をしたって、ドレミーはついてきてくれそうだけど、それでもやっぱり嬉しいよ。
「私はリタ様の決めたことに従います。」
まぁ、キエムはそうでしょうね。
「意見が揃ったようですね。では魔王の宮殿に奇襲をかけるということで作戦を詰めていきましょう。もちろん、犬人族300余名も協力させていただきます。」
フィズさんの声に、みんなが頷きました。
さすがだね、犬人族のリーダー役だったのは伊達じゃないよ。
「バオーの町を出るまでに4日もらえれば、鬼神族50余名も食料をもって馳せ参じさせるが、どうだろうか?」
ダルクさんの増援の提案は正直嬉しいです。鬼神族は戦闘部族だから頼りになるしね。
「じゃあ、鬼神族のみんなにも一日は休んでほしいから、5日後にバオーの町を出るようにしよう。」
「そうですね、ではその方向で作戦を決めていきましょう。」
なんかフィズさん、頼りになるなぁ。私のこと、気遣ってくれているのもわかるし。
新しい仲間に感謝だね。




