第20話 更なる進化④
進化を終えたリタ姉ちゃんは、グラマラスからスレンダーに大変身してました。
艶めかしい印象のお顔から、クールな感じになったよ。
それに顔色悪くて目が爛々と赤くて、ちょっと怖いかも。
でもまぁ、すぐに慣れちゃうと思う。リタ姉ちゃんはリタ姉ちゃんだからね。
「ヴァンパイアって凄いのね。魔力が体中に満ちてるわ。」
ベッドから降りて、自分の体を確認しながらリタ姉ちゃんが言いました。
そして、部屋の隅で所在なさげにしていた人間に目を向けました。
あれはリタ姉ちゃんが魅了していた人間。まだいたんだ…。
「種族が変わったから魅了は解けたみたいね。身を挺して私を助けた功績に免じて命は助けてあげてもいいわよ。自由はあげられないけどね。」
殺さないんだ、意外だなぁ。でもリタ姉ちゃんを助けてくれたみたいだから、一応感謝してもいいかな。
「女王様、俺はお払い箱ですか?できましたら、これからもご寵愛を頂けないでしょうか?」
人間は床に這いつくばるようにして頭をこれでもかと低くして懇願しています。
「おまえ、人間側を裏切るつもりなの?もう魅了の束縛はないのよ。」
呆れた様子でリタ姉ちゃんが問いかけると、人間は姿勢を変えず答えました。
「人間全てを天秤にかけても、女王様には釣り合いません。俺はリタ様なしではもう生きていけない体なんです!」
なんか気持ち悪いこと言い始めたんだけど…。
「あら、名前で呼ぶことを許した覚えは無いわよ。」
「無礼は承知しております。どうか私めに罰をお与えください!」
リタ姉ちゃんは「はぁ」と一つ溜息をついて言いました。
「それでは褒美になってしまうじゃない。おまえの名前は何というの?」
「はい、キエムと申します。」
「キエム、本当に私たちの側につくというなら、1つ方法があるわ。人間を辞める気概があるならね。」
「リタ様と一緒にいられるのなら、人間であることなど、どうでもいいです。」
「キエムの覚悟はわかったわ。喜びなさい、特別に私の眷属にしてあげる。」
「ありがとうございます!」
すっごい嬉しそうだけど、眷属ってなんだろうとか思わないのかな…。
リタ姉ちゃんはキエムのもとまで歩いて行き、胸ぐらを掴んで起こすと首筋に噛みつきました。
なんかこれ、ちょっとエッチな気がするけど見てていいのかな…。
少しすると、リタ姉ちゃんは「プハァ」と色っぽい声をあげてキエムを突き飛ばしました。
「血って美味しいのね。これでキエムは私の眷属よ。その命尽きるまで私に仕えなさい。」
「うほぉ!リタ様の力が体に漲るぅぅ!ありがとうございます、終生お側を離れません!」
外見の変化は目が赤くなっただけだったけど、私はキエムのことが生理的に受けつけないかもしれません…。
(キエムの所属が魔界に変更されたため、ミッション達成による進化の対象に追加されました。)
キエム
眷属(人間)→眷属(人間【タレント剣士】)・眷属(人間【タレント無痛】)
えー!なんかキエムが協力者認定されてるんだけど…。
私は渋々教えてあげることにしました。キエムも正式に仲間になるのかぁ…。
「えっとね、キエムも人間を辞めたからか進化できちゃうみたい。」
「あら、そうなの?眷属が強くなるのはいいことね。」
リタ姉ちゃんは嬉しそうだけど、私はちょっと複雑な気分。だって気持ち悪いし、もと人間だし。
「なんか、元々人間だからか、進化というか『タレント』というのがつくみたい。」
私の言葉にダルクさんが驚いて声をあげました。
「タレントだと!?俺と差し違えた奴が剣士のタレント持ちだと言っていた。鍛えずとも強い剣士になれるらしいぞ。」
「そうなんだ、人間って不思議だね。その剣士と無痛の2つのタレントから1つを選べるけど、どうする?」
「無痛なんてとんでもない!絶対にダメです。剣士にしてください!」
キエムがグイグイ来るんだけど…。思わず後ずさっちゃいました。
「キエム、オルフィーが怯えているわ。今後オルフィーから2m以上距離をとりなさい。」
「はい!」
嬉しそうに返事をすると、キエムは走って2m離れました。
リタ姉ちゃんが助けてくれたので、ほっとしたよ。もう早く済ませたいです。
「じゃあ決定ね。キエムはタレント剣士のほうにします。」
(キエムの進化先が確定しました)
いつものように繭に包まれるのかと思ったら、屋根があるのに上から光が降り注いできました。
ほんと、進化って何なんだろう…。いつかわかる日がくるのかなぁ。
「ところで、ドレミーは一緒じゃないの?」
私はドレミーに癒やされたいのです。
「まだ門のところにいるのかしら。迎えに行ってあげましょう。」
「たいへん、絶対寂しい思いをしてるよ。早くいこう!」
私は先陣をきって門に向かいました。




