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第2話 ドレミーとの出会い

泣き続けるうちに夜の帳が落ちて、辺りは真っ暗になっていました。

私は涙も枯れはて、喉の渇きを感じながら呆然と木にもたれかかっていました。


「みんな、何処にいるのよ…。」

私の力のない独り言が闇に吸い込まれていきました。


「魔蝶族はここにはいないニョ。」

木の根元から独り言に返事が返ってきたので、私はビックリして跳び上がりました。

声のしたほうを見ると、首から下が土に埋まっている小さな生首と目が合ってしまい、私は恐怖のあまり逃げだそうとしました。


「待ってニョ、ドレミーはマンドラ族ニョ!」

マンドラ族!そういえば特徴的な緑髪に葉っぱのアホ毛だったよ。

私は旧ブレーキをかけて止まると、ドレミーのもとに駆けよりました。


マンドラ族は魔蝶族と同じ森で暮らす少数部族で、両者は仲良く共存していました。

マンドラ族は普段は緑髪と葉っぱのアホ毛だけを土の上に出して光合成しており、夜になると腰上くらいまで土から出てきて仲間とお喋りを始める。

魔蝶族の住居の下で喋り始めることもあり、そういうときは安眠妨害のため叱られてスゴスゴと移動していく姿が可愛かったことを覚えている。

マンドラ族が移動すると土が柔らかくなって農作物の育ちがよくなるし、なんか可愛いから魔蝶族は基本的にマンドラ族に対して好意的なのです。

そんなマスコットみたいなマンドラ族も、完全に土から出きってしまうと絶叫して死んでしまうという弱点があるのだけど、その絶叫を聞いた者も気絶してしまうので、辺り一面が気絶者の山になるらしいです。


私は四つん這いになってドレミーに顔を近づけました。

やっと話し相手が!嬉しすぎて、枯れたはずなのに目が潤んでしまいます。


「私、オルフィー。成体になったばかりなの。」

「オルフィー、よろしくニョ。蛹のときに人間に発見されなかったのはラッキーだったニョ。」

「人間って、あの封印ゲートの先にある世界の住人のこと?」

「そうだニョ。2年前に封印が破られて人間が攻めてきたニョ。」


攻めてきた!?じゃあ、魔族と人間族で戦争になったのかな。

集落が荒れ果てていたのも戦争の影響ってこと?


封印ゲートというのは、昔々魔族と人間族は終わりのない戦争をしていて、双方ともボロボロになって共倒れしそうになったため、当時の魔王様と人間族の王が約束して2つの世界を繋ぐゲートを封印したものと伝わっている。


「それで、魔族はどうなったの?」

「戦ったけど負けたニョ。」


負けた…。じゃあ、みんな殺されちゃったの?

悲しくて、また涙が零れ落ち始めました。


「みんな殺されちゃったんだね…。オルフィーは独りぼっちになっちゃったんだ…。」

「魔蝶族は人間に連れて行かれたニョ。」

「え、じゃあみんな生きてるの?」

「わからないニョ。でも希望は捨てちゃいけないニョ。」


ドレミーが土から手をだして私の頬を撫でながら励ましてくれたから、このままじゃいけないって思って、私は目をゴシゴシして涙を拭き取りました。


「マンドラ族も、連れて行かれちゃったの?」

「連れていかれたけど、『薬の材料になる』って言ってたから、たぶん殺されたニョ…。」


ドレミーは独りぼっちになっちゃったんだ。

二年間も一人で生きてきたのかと思うと、切なすぎる…。

私は、ドレミーの頭を優しく撫でてあげました。


「寂しかったよね。これからは私がドレミーと一緒にいるからね。」

「うれしいニョ。」

ドレミーはくすぐったそうに目を細めていて、とっても可愛いです。


「ねぇ、ドレミー。私ね、みんなを助けにいきたいの。一緒に来てくれる?」

「ドレミーは土から出られないニョ…。」

ドレミーがしょんぼりしてしまいました。


「植木鉢でも大丈夫なら、私が運ぶよ。」

私だって、ドレミーと離れたくないもの。

「それなら大丈夫ニョ。一緒にいけるニョ。」

ドレミーが笑顔になって、私も嬉しくなりました。


私たちは暗い森を集落跡まで移動して、まだ使える物はないか探してみました。

割れていない小ぶりの植木鉢があったので、土を入れて地面の上に横にして置いてあげると、ドレミーは全身が土から出ないように器用に植木鉢に移動してくれました。

あとは、ボロボロだけど肩掛けのトートバッグがあったので、ドレミーごと植木鉢をバッグに入れてみたら、思ったより安定したのでほっとしました。

他には、水筒とナイフ、中身はないけど小銭入れ、ボロボロのタオルなどを入れていくと、隙間が埋まって植木鉢がより安定したのでよかったです。


そこまでやると、さすがに疲れで眠くなってしまったので、近くの小川で水をのみ、果物を採取して食べ、半壊した住居で横になりました。

ドレミーは夜行性なので、危険がないか見張っててくれるというので安心して眠りにつくことができました。


朝日の木漏れ日で目覚めると、固い床の上で寝たので体がバキバキでした。

ぐーっと伸びをして「ドレミー、おはよう。」と挨拶すると、「おはニョう。」と眠そうに挨拶が返ってきました。


『ニョ』の位置、そこでもいいんだ…。と思ったけど、スルーしておこう。


私は小川で顔を洗い身支度を整えると、いよいよ記憶にある一番近いニアの町を目指して出発しました。

その頃には、ドレミーは私のバッグの中でスヤスヤと寝息をたてていたけど、一人じゃないって思うと頑張れそうな気がしました。


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