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第19話 更なる進化③

私たちはバオーの町の様子を確認するため屋敷をでました。

扉を開けたら、目の前に武器を持った犬人族がわんさかいて、恐怖で思わず扉を閉めちゃったよ…。

そしたらフィズさんが優しく微笑んでくれて、「大丈夫ですよ。」と言ってくれました。

フィズさんを先頭に再び扉を開けて外に出ると、犬人族のみんなが換気の雄叫びをあげ始めました。


「おー、フィズ様は無事だぞ!」

「バオーは完全に解放されたんだ!」

なかには泣き出す者もいて、収拾がつかない感じだったけど、フィズさんの一喝で一瞬のうちに静まりかえりました。


「愛すべき同胞よ、静まれ!」

その一声に犬人族の皆さんが片膝をついてピタリと動きを止めます。

うわぁ、集団『お座り』を見てしまった気分です…。


「こちらにおわすオルフィー様の活躍により、魔法使い及び剣士は討ち果たされた!皆、この恩を忘れることなく忠義を尽くすことに異論はないな?」

その言葉に賛同の歓声が響いた後、全員が四つん這いになって私を見てくるんだけど…。

え、これ全員の頭を撫でるの?

そもそも魔法使いはフィズさんが倒したし、剣士はダルクさんが倒したんだけど。


私はフィズさんの袖をクイクイ引っ張って、聞いてみました。

「あの、みんなの頭を撫でたほうがいいんですか?」

「できましたら。」

省略できないのね…。300人くらいいそうなんだけど。


覚悟を決めて、一人一撫でしながら足早に済ませていきましたよ…。

最後まで終わったところで、そういえばリタ姉ちゃんとドレミーがいないことに気づきました。

不安に駆られて最後の一人に尋ねます。

「あの、私の仲間のサキュバスのお姉さんは無事ですか?」

聞かれた犬人族の顔が曇ったので、私は血の気が退いていきます。

嘘でしょ!?

私がへたり込んでしまったのを見て、犬人族の男性は慌てて言いました。

「命に別状はありません!ただ、隷属魔法で抗えなかったとしても、我ら犬人族の手によって大怪我をさせたことが申し訳なく…。」

ほっとしたけど、大怪我と聞いて、いても立ってもいられません。

私のキラキラ鱗粉なら簡単に傷を癒やせるはずだもん。

「すぐに案内して!」

私の切羽詰まった叫びを受け、男性は「こちらです。」とすぐに先導しはじめました。


案内された民家のベッドで横になっていたリタ姉ちゃんは、足に包帯をグルグル巻いていて、その包帯も大部分が赤く血が滲んでいる状態でした。

私に気づいたリタ姉ちゃんが痛みに耐えながら笑ってくれたのを見て、私は涙腺が崩壊してしまいました。

泣きながらリタ姉ちゃんに走り寄ると、しっかりと抱き留めてくれました。

「よかったよぉぉ。心配したんだからね。」

「あらあら、こんなに甘えんぼさんだったかしら?幼体に戻っちゃったみたいね。」

「まだ成体になったばかりだからいいんだもん…。」


少し感情も落ち着いてきて、怪我を治してあげないとと思いました。

「私ね、進化して魔蝶族の女王になったんだよ。鱗粉の効果も上がったみたいだから、すぐに怪我を治してあげるね。」

私は羽を最大まで大きくしようとしたけど、天井と床にぶつかったので途中で止めました。

私のキラキラ巨大羽にリタ姉ちゃんは驚いたみたい。まぁ、私も驚いたしね。

手の届く範囲の鱗粉を手にとり、リタ姉ちゃんの傷口に塗ってあげると、強い光を放ったかと思うと、傷はすっかり消えていました。

「どう?もう痛くない?」

「ええ、オルフィーの鱗粉は本当に凄いわね。ありがとう。」

そう言って私の頭を撫でてくれたので、嬉しさで胸がいっぱいになっちゃったよ。


「そうだ、リタ姉ちゃんもまた進化できるんだよ!サキュバスクイーンとヴァンパイアどっちがいいかな?」

「ヴァンパイア!?」

驚きの声は意外にもフィズさんからあがりました。

「どうしたの?」

「あ、いえ、取り乱してしまい申し訳ありません。牙狼族とヴァンパイアは犬猿の仲であったと伝え聞いていたものですから。両者は戦いの末に数を減らしすぎ、種族の滅亡の招いたそうです…。」

「そんなことがあったんだね。でもフィズさんはリタ姉ちゃんと喧嘩したりしないでしょ?」

「勿論です。オルフィー様のお仲間と喧嘩などありえません!」


「オルフィー、フィズさんを私にも紹介してくれない?」

リタ姉ちゃんが困った顔をしています。

「えっとね、フィズさんは魔法使いのところにいた犬人族のお姉さんで、犬人族のリーダー役なんだよ。それにね、魔法使いを倒してくれたの。進化もできるようになったから牙狼族になったの。」

「新しい仲間ということね。」

さすがリタ姉ちゃん。私の拙い説明でもちゃんと伝わる。


「ヴァンパイアは牙狼族と同格の強さなのかしら?」

「いえ、牙狼族は数的に優位であったから互角に渡り合えたと伝わっているので、個の戦力としてはヴァンパイアのほうが上かと思います。」

「そう…、ならヴァンパイアに進化しようかしら。」


また種族が変わっちゃっていいのかな?

「ボン・キュ・ボンじゃなくなってもいいの?」

痛い、痛い! リタ姉ちゃんが頬をつねってきたんだけど…。

「今回のことで、私自身もっと強くなりたいと思ったの。魔蝶族じゃなくなった時点で種族に拘りは無いわ。」

「じゃあ、決定でいいの?」

「ええ、お願い。」

リタ姉ちゃんがどんどん遠い存在になっていくみたいで寂しいな。


「リタ姉ちゃんはヴァンパイアに進化します。」


(リタの進化先が確定しました)

頭に直接声が響くと、リタ姉ちゃんが繭に包まれ、そして繭が強い光を放ち消え去りました。


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