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第17話 更なる進化①

部屋を飛び出すと、すぐに下へ降りる階段が見えました。

2階に来れなかったのかな?

迷っている暇はないので、私は階段を駆け降りていきます。

1階は広間のようになっていて、ダルクさんが血だまりの上にうつ伏せに倒れているのを発見しました。

他にも人間の真っ二つにされた死体が目には入ったけど、それどころではない。

私はダルクさんのもとに一目散に駆けより、生死の確認をしました。


弱いけどまだ息がある!


ドレミーのときみたいに進化すれば助かるよね。

ごめんね、ダルクさん。勝手に決めちゃうよ。

えっと、将軍ってなんだろう?もう一つは鬼神と。

どっちも『鬼神』が入っているから、急に別の種族になったりしなさそう。

『族』がとれるのは、私の『オリジン』みたいな感じかな?

そうならパワーアップするはずだし、もう決めます!


「ダルクさんは鬼神になります!」


(ダルクの進化先が確定しました)

頭に直接声が響くと、ダルクさんが繭に包まれ、そして繭が強い光を放ち弾けました。


ビックリした…。無事に進化できたのかな?

呆然としていると、むくりと起き上がったダルクさんが目を潤ませて私を抱きしめました。

「お嬢ちゃんが死ななくてよかった…。」

「痛い、痛い!ダルクさん、力強くなってるよ!骨が砕けそう!傷口が広がっちゃう!」

感動のシーンとなるはずなのに、私の心からの悲鳴がぶち壊しにしました。


私の悲鳴で、ダルクさんは慌てて私を解放しました。

「お嬢ちゃん、血が出ているじゃないか!まさか、一人で戦ったのか!?」

「戦ったというか、見つかったというか…。でも、部屋にいた犬人族を解放できたから、その人に魔法使いを殺して貰ったの。」

「そうか、紙一重だったのだな…。本来なら俺が担う役目だったのに申し訳ない。」

「そんな落ち込まないで。ダルクさんだって死ぬ寸前だったんだよ!そこの人間が強かったんでしょ?そんなのが生き残ってたら、絶対私はやられちゃったはずだもん。だからダルクさんが守ってくれたんだよ!」


私の一生懸命な感謝の言葉を聞いて、ダルクさんの潤んでいた目から涙が零れた。

「もったいないお言葉です。一層精進いたします。」

そういって頭を下げました。


うぅ、固いなぁ。もう少し普通に接してくれたほうが嬉しいのだけど…。

なかなか頭を上げないダルクさんを見ていると、鬼神になったことで体躯が大きくなった様子はないんだけど、筋肉は前より引き締まって凹凸が凄いです。

それに、角が2本に増えてる…。

とりあえず進化したことを伝えておかないとだよね。


「ねぇ、ダルクさんを助けるために私のほうで勝手に進化先を選んじゃったの。気に入らないほうだったらごめんね。」

ダルクさんは自分の体の変化を確かめるようにして言いました。

「俺は何に進化させてもらったんだい?妙な力を感じてはいるんだが…。」

「将軍と鬼神が選べたんだけど、鬼神のほうにしたよ。」

ダルクさんは言葉を失って呆然としました。

「鬼神って、我ら鬼神族が崇める神の、あの鬼神なのか?」

「わからないけど、その神様に角が2つあるなら、たぶんそうなんじゃないかな…。」

ダルクさんは両手で2つの角を握って仰天しているんだけど、ちょっと面白い光景でした。


正気を取り戻したダルクさんが、大事なことを思い出したように私の傷口を注視します。

「そんなことより、お嬢ちゃんの怪我を治さないとだな。鱗粉はまだ残っているのか?」

小袋が1つ残っているけど、これは黒い水晶を破壊するのに使いたいんだよね。

私も進化しちゃえば傷は治るから、無駄使いはしたくないし。

「私も進化できるみたいだから、進化して傷を治しちゃうね。」

「もしかして、もう魔王になれるのか?」

「さすがにまだみたい。魔蝶族の女王と虫の王だって。虫の王って完全に虫じゃない?これは迷う必要もないんだけど…。」

「主の決定に異を唱えるつもりはないぜ。ただ、虫の王ってのは伝承に残る存在だな。遙か昔に、魔王様と魔界の覇権を争ったと伝わっている。」

「なんか、悪役の親玉みたいじゃない?それに別の種族になっちゃうと鱗粉なくなっちゃうかもしれないよね?」

魔蝶族を辞めたくないっていうのが一番の理由なのだけど、この切羽詰まった状況で我儘は言っちゃいけないような気がして、私はダルクさんに賛成してもらいたいのかも。

「確かにそうだな。虫の王が強かったとしても、お嬢ちゃんの鱗粉に比べたら価値は低いだろう。武力が必要なら俺が強くなればいい。」

ダルクさんの同意を得て、ちょっとほっとしました。


「じゃあ、決めちゃうね。オルフィーは魔蝶族の女王になります!」


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