第14話 それぞれの戦い①
私とダルクさんは、予め犬人族に聞いていた裏道を利用して町長の屋敷を目指します。
途中、何回か犬人族に襲われたけど、ダルクさんが一刀のもとになぎ倒してしまいました。
えー?と思ったけど、峰打ちといって刃の無いほうで打撃を与えて気絶させているそうです。
同胞を殺しているのかと思って焦っちゃったよ…。
到着した屋敷は静まりかえっていました。
私たちは裏口のほうから近づいたのですが、扉は施錠されていました。
でも、今のダルクさんに木製の扉など意味をなさないのです。
大木する両断するダルクさんが、何度か刀を振って扉を蹴ると、ダルクさんでも屈めば通れるだけの綺麗にカットされた穴が開きました。
ここから危険を覚悟で別行動をとります。
私が一緒だと守りながらの戦いになるので、単独のほうが効率がいいという判断です。
ダルクさんは屋敷内に侵入し、前知識をもとに二階の元執務室を目指します。
魔法使いは、そこにいるはずだから。
私は羽を大きくし、ダルクさんが執務室到着を見計らって、執務室のガラス窓側に飛翔します。奇襲とか挟み撃ちの予定なんだけど、上手くいきますように…。
ダルクさんが突入して少し経ってから、私は羽を広げ窓の少し下まで飛び上がりました。
ダルクさんが部屋に飛び込んでくる音を聞き逃すまいと壁に耳をつけ、落ちないように羽を動かしています。
もう、ほんと虫の動きです…。
(ドレミー視点)
町の中が騒がしいノ。ドレミーはヒマなノ。」
ボヘーっとしていると、コソコソと町を出て行こうとする人間がきたノ。
人間は凶蓄桃に目を向けると怪訝な顔をしているノ。
昨日までなかったから当然なノ。
でも、足が止まったから花粉の餌食なノ。
一斉に花を揺すってたくさん花粉を落としてやったノ。
人間は痙攣して倒れたのノ。
ドレミーも仲間をみんな殺されたことを忘れてないノ。
枝を動かして人間を仰向けにして、口に花を入れて頭と顎を枝で動かしてカミカミさせてやったノ。たぶん死んだノ。
やっぱり一人は寂しいノ。はやくオルフィーたちに会いたいノ。
(リタ視点)
解放された犬人族は上手く連携して、襲ってくる犬人族を行き止まりの小路に誘導してきました。
さすがね。犬人族の統制された動きには目を瞠るものがあるわ。
兵士としては申し分ない。
追い詰めたと思っているだろう犬人族の上空を飛びながら、私はオルフィーの鱗粉を振りまいていく。
我に返った犬人族は命令がリセットされて動きを止めるが、後方の犬人族は何が起こっているかわからないし、小路で前方の犬人族を迂回することもできない。
そこにどんどん鱗粉をかけていき、順調に解放を進められている。
あと少しで完了だと思ったとき、激痛が走った。
羽に矢が刺さり、私は上手く飛ぶことができず地上に落ちてしまう。
武器を手に迫ってくる犬人族を目にして、私はオルフィーとの約束を守れないことへの後悔が滲んだ。
そのとき、私に覆い被さる者がいた。
あの名前もしらない魅了した人間だった。
「俺の女王様に手をだすな!」
勇ましいこと…。もし生き残れたらご褒美をあげないと。
無駄なことをと思ったら、襲いかかる犬人族の足が止まります。
そうか、人間に対して攻撃を加えられない命令がいきているのね。
一瞬助かったと思ったけど、人間によって覆い隠しきれていなかった私の足を鋭利な何かが突き刺さって悲鳴をあげてしまった。
それでも、痛みで逆に頭が冴えた。
あの暗闇のなか放置され、思い出したように鱗粉を奪われ、ついでのように乱暴され、いっそ殺してほしいと思いながら時間だけが過ぎていく日々。
生きる意味を失った私に、再び温かい光を灯してくれたオルフィーをおいて逝くなんて自分を許せない。
私は最後の一袋を人間の手に握らせ命令します。
「この粉を周囲に捲きなさい!」
「ご命令を遂行しましたら、ご褒美をいただけますか?」
「特別に足とムチ、好きなほうを選ばせてあげるわ。」
私が強がって笑みを向けると、人間は獣の咆哮かと思うような叫びとともに勢いよく立ちあがり、円を描くような動きで鱗粉を撒き散らします。
私たちを囲う最前列の犬人族が手を止めたことで時間に余裕が生まれた。
そこに、事前に解放されていた犬人族がなだれ込んできて、数にものをいわせて拘束していってくれた。
なんとか、約束は守れたよ。オルフィー。




