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第12話 魅了の魔法

とりあえず方針も決まったことで、人間が来るまでの2日間を無駄にしないように計画的に使おうということになりました。


ダルクさんは荒らされて値打ちのある物は持ち去られた後の倉を捜索して、錆びた剣を発見してきました。

何でも代々鬼神族が受け継いできた『刀』という武器らしいです。

薄くて折れそうだなぁと思ったけど、大事な物らしいので黙っていたら、丸一日かけて打ち直したことでピカピカになって戻ってきました。

何が驚いたって、ダルクさんが試し切りだと言って、近くの太い木を一刀両断にしてしまったことです。

切れ味凄すぎだよぉ。ほんと、『すぐ折れそう』とか言わなくてよかったです…。

次の日は、体の感覚を慣らすと言って、他の鬼神族の男性と稽古をしてました。

ダントツにダルクさんが強いのがよくわかったよ。3人がかりで囲んでも一本も取れてなかったもん。

侍って凄いです。


リタ姉ちゃんはドレミーを引き連れて森に入っていきました。

ドレミーの武器を手に入れてくるといっていたけど、何を探しに行ったんだろう。

次の日に戻ってきたときは、リタ姉ちゃんの隣を桃色の花を咲かせた低木がノッシノッシと歩いていてビックリしました。

ドレミーと一緒じゃないのか聞いたら、この低木にドレミーが一体化して動かしているんだって。

ちょっと枝を動かせるくらいのものだと思ってたから、木が歩いてくるなんて想像もしてなくて怖かったよ。

しかも、この低木は凶蓄桃っていうらしいんだけど、花や幹、枝や根にいたるまで猛毒を含んでいて、花粉でも麻痺するレベルだし口にすれば確実死だとのこと。

怖すぎて遠巻きにしていたら、花粉が飛ばないように制御できるって、ドレミーが教えてくれました。

私の想像の遙か上をいく武器を手に入れて戻ってきたよ…。


それで私は何をしていたかというと、ずっと鱗粉を小袋に詰めていました。

解せぬ…。

各自が鱗粉をもっていたほうが、臨機応変に対処できるということです。

飛ぶ練習をしたかったのに、無駄に舞い散ってしまうからって、ダルクさんの稽古を見ながら地味な作業を続けています。

(採取→袋に移す→鱗粉の復活を待つ)を繰り返すだけ。

私って、鱗粉にしか価値がないのでは…。


そんなことをしているうちに、2日間はあっという間に過ぎていきました。

人間たちを油断させるため、鬼神族のみんなには以前と同じように農作業を行ってもらい、到着を待ちます。


昼過ぎ頃、遠くに馬車が見えたと報告があって、私たちは長の屋敷の影に隠れました。

馬車が近づいてくると、前情報通り2人の人間が御者台に座って談笑しているようでした。

鬼神族のみんなが強制的に働かされているのを目にしながら、笑って話しているのかと思うと、憎しみが込み上げてきちゃいます。


馬車が停まって、人間が降りてくるタイミングで屋敷の影からダルクさんたち鬼神族の精鋭が飛び出しました。

武器を構えて突っ込んでくる鬼神族に動揺したのも一瞬で、人間たちは腰に佩いていた武器を抜いて構えました。

人間の強さをよく知らない私は、どうなっちゃうのか心配になりましたが、そんなのも一瞬のことで、ダルクさんが刀をヒュンヒュンと振ると、人間の武器は宙に舞っていました。

凄い!ダルクさんの強さは、人間とは比較にならない領域に達しているみたい。


その後は、鬼神族の精鋭の皆さんに袋叩きにあって、縄で縛られていました。

なんか、力押しで魔界樹様を助けられるのではと思ってしまったけど、魔界の住人同士で戦うのは嫌だから、ちゃんと作戦をたてないとと思い直しました。


それから、リタ姉ちゃんがエッチな魔法を使ったら、人間はハァハァ言い始めて気持ち悪いったらない状態になりました。

鬼神族によって人間の一人が屋敷の中に放り込まれた後、リタ姉ちゃんが入っていきます。

エッチな魔法2つ目を使うのかと思うと、リタ姉ちゃんが穢れちゃうことが嫌で嫌でたまらなくなりました。


少しすると、リタ姉ちゃんが屋敷から出てきて、その後を縄で巻かれた人間が目をトロンとさせてついてきました。


「リタ姉ちゃん、大丈夫?」

私が駆けよって引っ付くと、リタ姉ちゃんは艶めかしい笑顔で答えてくれました。

「問題ないわ。オルフィー、ちょっと浄化したいから私の足の裏に鱗粉を振りかけてくれない?」


足の裏だけ?

私が勝手に変な想像をしていただけで、そんなエッチなことではなかったのかもしれません。

なんか変な感じだなぁと思いながら、私はリタ姉ちゃんの足の裏に鱗粉を振りかけていると、リタ姉ちゃんが冷たい声で言いました。


「もう一人の人間には、もう用はないから殺しちゃっていいわ。」

こわっ!

でも、私なんかより、リタ姉ちゃんのほうが人間への恨みは何倍も強いのかなって納得しちゃいました。


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