表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義妹が、私に婚約破棄を突き付けた王子を“そっち”の世界に引きずり込もうとしている件〜可愛い義妹は最強腐女子でした〜  作者: As-me・com


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/8

2:突然、婚約破棄宣言された件

「テイレシア!お前との婚約は今、この時をもって破棄させてもらう!お前が俺の婚約者としての立場を笠に着て傍若無人に振る舞っていた悪女だとわかったからには、好き勝手にさせるわけにはいかないからな!部外者となったお前がこれ以上、王宮で偉そうに出来ると思うなよ?!」


 それは、仕事を調整してやっともぎ取った貴重な休日に「いいからこい」と朝も早くから私を呼び出した張本人が放った言葉だった。


「はぁ……?」


 なぜかものすごいドヤ顔をしながら私に指先を突き付けてふんぞり返るそのアホ……いえ、婚約者の姿に私は首を傾げてマヌケな声を出してしまう。そんな私を見て「すぐに理解出来ないとは、所詮お前はその程度の女だったのだな」と鼻で笑われた。


 いつもの気まぐれかワガママだろうがいい加減にして欲しい。ああ……今、両手が書類の山で塞がっていなければぶん殴ってやりたいくらいだわ。だってちょっと目を通しただけでわかったけれど、この書類の中に……あなたの分の仕事を混ぜ込んでありますわよね?


 “その程度の女”に大事な王太子の仕事を任せないでいただきたいわ。と、思わずため息が出たのだった。










 ***










 私には婚約者がいる。それは今、眼の前にいるこの国の第1王子様であるフレデリック殿下だ。


 フレデリック殿下は私よりひとつ年上で見目麗しく、まるで物語に出てきそうな容姿の殿方だと(見た目だけは)評判であった。確かにプラチナゴールドの髪も宝石のような青い瞳も美しく、たくさんの令嬢たちから憧れの的のように騒がれている。まぁ、本当に見た目だけだと思うが。


 私たちの婚約は王命だった。だが、王命の政略的な婚約とはいえ私たちの間柄は良好だったはずである……たぶん。私的にはそう思っていたのだ。


 フレデリック殿下は少々……いや、だいぶ思い込みの激しい方なので、誰かから噂話を聞いたら素直にそれを信じて自分の正義を振り翳す困ったちゃんなのが玉に瑕である。迷惑レベルは計り知れない。 ちなみにこれまではその度に私が真偽を確かめてフレデリック殿下が納得するように説明をしていた。たまに噂話が本当だった事もあったし、ごくたまーに殿下の正義感が正しいと評価されることもあることにはあるのだ。だが、そのほとんどが偽りなので結局はフレデリック殿下の行動がさらなる混乱を呼ぶことになるのである。とんだ迷惑王子だ。


 そして、そんな暴走をした王子を諫めるのは婚約者である私の役目だった。


 周りの人間から見れば私はなんとも生意気な令嬢に見えていた事だろう。いくら婚約者とはいえ、王子を諌めているのだから。でもこの強気な性格は生まれつきだし、なんと言っても亡くなった母譲りで無意識にやってしまうのだからどうしようもない。


 そういえば殿下の婚約者に選ばれたのも、とあるパーティーで人の話を聞かずに自分の思うままに行動して迷惑ばかりかけている殿下を思わず(イラッとして)公衆の面前で回し蹴りして吹っ飛ばしてしまったのが原因だった。今から思えばなんてはしたなかったのかと憂鬱にもなるが……まだ子供だったので勘弁して欲しい。なぜかその時の行動が王妃様に気に入られてしまい婚約者に名指しされたのだが、もっとこっそり秘密裏にやってやればよかったと後悔したのは内緒だ。


 とにかく、そんな縁があり私とフレデリック殿下は婚約することになった。私が10歳の時のことなのでもうあれから7年、フレデリック殿下はなにかと文句を言ってきたが(私の見た目が地味だとか、口うるさいとか)それなりにやって来たつもりだった。長年一緒にいれば多少の情もある。だが、今回のワガママはまさかの出来事だったのだ。








「婚約破棄、ですか……」


 私が学園を卒業したらすぐに結婚式が執り行われる予定だったから、あと数ヶ月程でフレデリック殿下は私と結婚すると言うのに。それに殿下の母親である王妃様はどうしても外せない大切な用事があるとかで里帰り中で現在この国を留守にしているが、結婚式をとても楽しみにしてくださっておりできるだけ多く早く帰るからと言われていた。それまでに細かい事を決めておいて欲しいともお願いされていたのだ。


 なので式の準備や進行の確認とドレスの支度、結婚後に真っ先に行う公務の内容。等などを殿下と相談をしなければいけないことがまだたくさんある。結婚式まであとわずかしかないのにフレデリック殿下は全然協力してくれないので結局は私がひとりで進めるしかない。その合間には婚約者としての公務もこなし、ロゼリアとお茶をするわずかな時間だけを心の拠り所にして頑張っていたのだ。


 それでもなんとか目処がついて、使用人たちからも少しは休んだ方がいいと勧められてやっと休めると思った日だったのに……丸一日、ロゼリアとまったり遊ぼうと計画をしていたのに……その楽しみを潰した上にこのタイミングでの婚約破棄宣言に言葉を失うしかなかった。



「そうだ!これは決定事項だ!」


 鼻息を荒くしたフレデリック殿下は腰に手を当ててさらにふんぞり返っている姿に頭が痛くなってきた。


「……できれば、理由をお聞かせ頂いてもよろしいですか?」



 フレデリック殿下の勇ましい程の堂々とした宣言に、部屋の壁際に控えていた使用人たちもピシッと凍りついたように動かなくなってしまった。顔色なんて真っ青を通り越して真っ白だ。私に付き添ってきた公爵家の侍女なんて視線で人が殺せるならすでに惨殺してそうな目で殿下を見ているし、この場にいる誰もがこの異常な空気を察知しているようだった。でもさすがに王族を睨みつけて不敬罪になったら困るので落ち着いて欲しいと思う。まぁ、当の本人は全くなんとも感じていないようだけれど。


 それにしても、まさかわざわざ呼び出した婚約者に……というか、結婚目前の相手を前にしておいてまさか殿下から婚約破棄を突き付けるなんて誰も思いもしなかったのだろう。チラリと殿下付きの使用人に目をやれば千切れそうなくらいに首を横に振っている。


「なんだ、そんなこともわからないのか?やはりお前の底は知れているな」


 なにやら「ふはははは!」と高笑いをしているが、そんな(馬鹿な)ことを言い出すなんてわかるはずない。私はエスパーではないし、ハッキリ言ってフレデリック殿下の思考回路なんて理解したくなんてないのだ。……言わないけど。


「申し訳ございませんが、教えて下さいませ……」


 とにかく理由がわからないことにはどうしようもないので渋々頭を下げる。するとフレデリック殿下は満足そうに「そこまで言うのならいいだろう」と頷いた。


 確かに私は殿下にとって扱いやすい女ではなかっただろう。でも私は、暴走する殿下の歯止め役として婚約者になったようなものなのだ。今までも殿下の暴挙を私が止めたことによって丸く収まった時などは殿下も「お前のおかげで助かった」と珍しく感謝してきた事もあったくらいだし(本当にたまにだけれど)、フレデリック殿下もその辺を承知の上で私と結婚すると決めたはずなのに。


 何か特别に婚約破棄されるような不始末をやった覚えも無く私は頭を悩ませた。私の有責で婚約が破棄されたとなれば公爵家に迷惑がかかってしまうからだ。そう言えば、さっき私のことを「悪女」だと罵っていたけれど……。


  しかし、次の殿下の言葉に私は頭が真っ白になってしまった。


「聞いて驚け!俺はお前と婚約破棄して、お前の義妹のロゼリアと結婚すると決めたからだ!」


「────?!」




 その瞬間、震える私の手から滑り落ちた書類たちが辺りに散らばる。この中には国に関わる大切な書類もあるはずだ。それをこんな風に扱っていいはずがない……でも、その時の私にはそれらを拾う気力など残っていなかった。



 言葉を失って呆然としてきる私に、殿下は「ふははは!驚いたようだな?!声も出ないか!」とまたもやふんぞり返った。もはや仰け反っていると言っていい。


 ええ、驚きましたとも。今までの殿下の言動の中でも1番驚きました。だって、まさかロゼリアの名前が出てくるなんて思いもしなかった……。声なんて、そんなの出てきません。





 ────だって、なんで私の可愛い義妹を勝手に巻き込んでいるのかって怒りで殴りかかりそうになるのを我慢押するので手一杯ですから!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ