Aoの詩人
日常ではまず見ない目映い光
優しく包み込む"それ"に驚いていると、次に視界に入ってきたのは
海のような草木が静かに暮らす山々だった……
エピソード1「ただ幽楽幽楽と」
いつもの変わらない日々、気だるげに体を起こし、日光を浴びる。
趣味を作ろうと焦って買った観葉植物に水を吹き掛け、お世辞にも美味しいとは言えない珈琲を喉に流しこむ
珈琲の味をあまり感じなかったのは、そのときにはもう疲れ果てていたのかもしれない。
根が張っているのかと錯覚を受ける程の粘っこい足を動かして、外へ身を擲つように進む。
量産されたような、代わり映えのない…いや、変えようとしていなかったが正解だろう。
そんな日々を繰り返していた…今日までは。
背中がじんわり温かくなる、体感時間がかなり長く感じた、暫くした後声が入ってきた。
「死ね!クソ上司が!」
嗚呼、これが逆怨みというやつなのだろう、無駄に長く職についているので人の上に立つ事が多い、こういう自分に怨みを持っている人が居るだろう、そう思っていた、こんなことになるとは思わなかったが…
周りが騒がしいように感じたが不思議と聞こえない、海に沈むような感覚が少しづつ強まっていく…ここで一人の物語が終わる……
そう思っていた
気付くと自分は浜辺のような不思議なところで目を覚ました。「…漸く起きましたか」小さな声、しかし何処までも響くような不思議な声色の持ち主だった。
「気分はどうですか?体の調子は?」
「えっと…取り敢えず問題無さそ…う?」
「それは良かったです…」
「…えっと、どちら様ですか?」
「おっと、自己紹介がまだでしたね、私は慈愛の神、貴女のような死を遂げた方々を迎えに行く者です」
「…神様なんですね」
「えぇ」
「これから僕はどうなるんですか?」
「取り敢えず貴女のお名前を教えてください」
「あぁ、そうでした…僕は…僕は…思い出せない?」
「…他の方よりも起きるのが遅かったことが影響しているのでしょうか…」
「他の方も居るんですか?」
「えぇ、多くはないですが居ます」
「それで、記憶がないのはレアケース何ですか?」
「少なくともここ数十年は無かったと思います…」
「名前がないと面倒ですね…」
「これからのことにも関係しますので、私の方から名前を付けさせて貰っても宜しいですか?」
「構いませんが…これからとは?」
「説明していませんでしたね、ここは"永久の命の浜辺"善良だったのに何らかの影響を受けて亡くなってしまった方が流れ着く地です、ここに流れ着いた方にはこれからのことを決めて貰います」
「何を決めるんですか?」
「死んだ事実を受け入れるか、別の世界へ行くかです」
「別の世界…」
「貴女の世界の言葉で言うと、"異世界転生"と言うものです。自分の生きたいように生きられる世界に行くことが出来ます」
「そんなことが...なら…」
「まだ受け入れられないと思い…」
「なら、雄大な自然に触れながら旅をしてみたいです」
「…驚きました、ここまで早く決まるとは…本当にいいのですか?」
「昔から自然の中で旅をして、詩を詠んでみたかったんです!」
「前世は詩人だったのですか?」
「いえ、恐らく違った筈です、でもそんな人に憧れていた気がします…」
「…なら、話は早いですね…ぴったりの世界があります、ほとんど手の加えられていない自然があって、人間や"獣人"なんかも居る世界があります」
「ならそこに…」
「わかりました、何か欲しいものはありますか?」
「…これってなんでもいいんですか?」
「物でなくとも能力でもいいですよ」
「なら………」
親睦を深めやすくなる能力
「…がいいです」
「分かりました…では、」
周りのヤシの木や水、砂が浮かび上がり、形を変えてアーチ状になった
「ここをくぐれば、あちらの世界へ行くことが出来ますが、戻ってくることは出来ません…それでも宜しいですか?」
「…はい」
「では、これからの貴女の旅に幸運がありますように...」
「…ありがとうございました」
ゲートをくぐっている間はまた不思議な感覚だった。飛んでいるような、走っているような、そして…
体が少しづつ変化していく…あちらの世界に適応するように……そして神様から授かった名を…
"レイロ"の体へと
さぁ、第二の人生を、
After Odyssey "今から始まる冒険を"
AO(葵)を生きる詩人に……
Aoの詩人として
ということで初めまして、これが初投稿になります「おりがみしゅりけん」と申します。リアルが多忙なのでかなりのんびり投稿していくと思います。
さて、Aoの詩人ですがこの作品は正直、自分のこうなりたいみたいな理想像というか、こんな人がいたらいいなと思いながら書きました。初めての作品なので投稿するとどんな感じになるのかを一度みてみたくて一旦導入部分だけ書きました。(構想はまだまだあります…笑)のんびり投稿するので見守っていただけると幸いです、出来ればどんどんダメ出しやアドバイスをチョロっとでいいので書いていただけると嬉しいです
それでは、また次のお話で貴方に逢えることを楽しみにしています