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天使の消えた日
二月三日
天使がいなくなった。
あれからちょうど一年が経った。彼女と過ごしたのは、まるで夢のような時間だった。ほんの一瞬のように感じられる。
けれど、確かに彼女は存在した。僕は彼女をこの目で見た。彼女と話し、彼女に触れた。今でも彼女の白の髪が眼前に浮かぶ。もうここにはいない。いなくなってしまった。
僕は彼女を忘れないために、いや、僕が彼女を忘れるはずがない。忘れることなど出来ない。そうではなくて、これは記録のために、彼女が存在したことを証明するために僕は彼女との思い出を日記に綴ろうと思う。