決別
「売れないクリエイターの闇ちゃんです!」
「闇のクリエイターと呼ばれている、宮ちゃんです!」
「「二人合わせて!ヤミヤミーズです!!!!!!」」
二人の女性は、上手く言ったと思ってきゃっきゃっと二人で盛り上がる。
「・・・・おい何してんだよ、はよ仕事しろ、ニート共」
「ひどいなぁ!!!!!!僕達クリエイターに向かって失礼極まりない、謝れよぉー」
宮は相変わらずの強気で、喧嘩早い。実際喧嘩は強い、ボディガードとしてはかなり優秀な女性。
「なあなあ、そんな上から目線で大丈夫ッスか?私らが売れた時、小さくなるのは君の方だぜ?」
鼻で笑いながら妄想を掲げる女性は闇。宮より喧嘩は弱くて普通以上の戦闘力を持っている。
「二人とも、何してるんだい?」
コツコツ小さい足音を立てて現われたのは、この二人のマスター。
「ネス様~!」/「ネス様!」
二人は目を輝かせて、マスターに飛びつく。
「アイツがニートニートっていじめてくるんだ!」
「そうそう、あんなゴミは殺しちまってもいいんじゃない?」
マスターと呼ばれる男性は、微笑んで二人の頭を撫でる。
「ダメだよ。仲間は大事にしないと」
二人は不服そうだが、マスターの言う事とあれば、物事を大体は飲み込んでくれる。
「でマスター様は何しに来たんだ?」
「ああ、二人の殺気を感じて止めに来たんだよ」
「・・・・・・」
「・・・・?。二人ともクリエイターになる為の勉強は順調かい?」
「勿論!沢山思いを書いているよ!曲にめちゃくちゃな思いを乗せて飛ばすんだ!!」
「私も、やってるよ!朽ち果てた死体を描くんだ!とてもリアルな感じがして描くのが楽しいよ!」
ふふっと笑みを零して二人を肯定するマスター、たまに俺は、コイツの考えが読めなくなる。
こんな異常な女二人をそうやって肯定して育ててるのは、一般人の俺から見たら異常だ。
「さあ二人とも、ご飯の時間まで勉強しておいで」
そう言って二人を自室へと帰した。
「・・・・・何か言いたげだね?君は何が言いたいんだい?」
「・・・・なんであのサイコパス共のことを、育ててるんだよ?」
彼は寂しく言った
「可哀想だからね、あの子達は、人に愛されている事に気づけない病気を持っているから」
「病気だからなんなんだよ!?放っておいたら俺らが殺されるかもしれないんだぞ!?」
「私は見捨てられないよ、あの子達の事。彼女たちは、優しい心の持ち主なんだ、尚更可哀想で放っておけない」
俺は、は?と言葉が出てくる。
「俺はあの病気の奴以下の扱いなのか?」
マスターがアイツらに分かりやすい程、愛情を注いでいた事を知っていた。
俺には普通で・・・そんな愛を貰えなかったのに。
病気だからか?
病気だから愛せるのか!?
「チッ、もう俺はこの船を降りる!!もう知らねぇ!勝手にしろよ!!!!!!」
何十年共にいた記憶に幕が下りる。
俺は扉を勢いよく閉めてこの屋敷を出て行った。
マスターは最後、俺に
「君の居場所は此処ではないよ」
そう言われた気がした。/ 私は彼の背中を見送った。
「さて、あの子達の為に、ご飯でも作ろうか」
魔法で収納していたレシピ本を出現させて、ページをめくった。