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何でも屋として生きていくアラサーの異世界ライフ ~サブカルチャー大好きな高卒アラサーが異世界に召喚されて現実世界で得た知識と経験をフル活用したら多方面で無双しかけている件~  作者: カワチャン
第二章 新たな仲間とダンジョン攻略

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第84話 エレーナの気持ち

新メンバーの信念がテーマです!

そして主人公がメインの人物に異世界の話を切り出す!


【トラストフォース】に加わる事になったハイレンド伯爵家のご令嬢にして、『付与術士』のギフトを授かったエレーナをパーティーの一員として迎え入れる流れになった。


「「ガオオォォーー!」」

「また来るぞ!皆いいか?」

「「「「ハイ!」」」」


エレーナを迎え入れて初めてのクエストへ赴く事になった。

俺達はティリルとグリナムの境辺りにある岩で囲まれた丘にて、レア度Cの“ロックジャガー”二十体ほどの群れを討伐するクエストの真っ最中だ。

“ロックジャガー”は岩石を纏ったような肌をしており、細身ながら防御力は中々高くそれでいて機動力もある。

Dランクの戦闘向けのギフト持ちなら一人でも数体ならばどうにか対処可能であるが、今回は数も数なのでCランクパーティー向けのクエストになっている。


「エレーナ!まずは……」

「心得てます!【支援魔法LV.1】『アームズ&アクセレート』!」

「【炎魔法LV.1】『ファイアーボール』!」

「おりゃ!」

「フン!」

「ハァア!」


まずはエレーナの【支援魔法LV.1】『アームズ&アクセレート』によって俺達の力とスピードを向上させた。

これによってミレイユは魔法攻撃をしながら速く動けるようになり、俺とセリカとクルスも身体のキレが一層よくなったことで、通常攻撃でも優勢に立ちやすくなっていた。

偶に使う【剣戟LV.1】でもあっさり倒せる事から、【支援魔法】の凄さを改めて知る事になり、俺が持つユニークスキルである【ソードオブシンクロ】を出せば、色んな意味で凄い事になると言う抽象的ながらも革新さも感じる可能性を見出していた。


「残り2体か……。」

「皆様、僭越ながらわたくしがやってみてもよろしいでしょうか?」

「え?エレーナ……?」

「「グルルルル」」


エレーナは俺達を制しながら、残った“ロックジャガー”2体の前に立ちはだかる。

そしてその身体は野蛮に飛び掛かって来た……。


「【聖属性魔法LV.1】『セイントスライサー』!」

「「ガガァア!」」

(これが【聖属性魔法】か……)


エレーナが握る白い杖から光輝く刃の数々が放たれ、“ロックジャガー”の身体を容易に斬り裂いて見せ、そして魔石を落としながら光の粒子となって消えていった。


「いかがでしょうか?」

「凄い……。想像していた以上に威力あるわね」

「純粋な攻撃魔法より威力は落ちると聞いていたけど、充分強いじゃん」

「鍛え方次第では強力なアタッカーになりそうだな……」

「ですね……」


エレーナが見せた魔法による攻撃は予想していた以上に強力だった。

本人のセンスや努力はあるにしても、“ロックジャガー”2体をほぼ無傷で強化をするまでもないままあっと言う間に倒せる事からも、自分の身を守る分なら問題ないだけの戦闘能力を持っている事が改めて明らかになった。

エレーナによる【回復魔法LV.1】で皆の傷の治癒もしてくれたのもあり、俺達は五体満足で帰る事ができた。


「お疲れ様でした。これでクエスト完了とさせていただきます。」

「ありがとうございます!」

「やりましたね!トーマさん!」

「あぁ!ところで夕食だけど、その……」


夕方にギルドへ戻り、クエスト完了の報告を終えて報酬を受け取った後、夕食をどうしようかと考えている時だった。

いつもなら意気揚々としているところだが、今回、と言うよりもこれからの事だが……。


(このままギルド飯にすんなり洒落こめないんだよな~)


俺は内心葛藤しており、セリカとミレイユ、クルスも同じ気持ちと言わんばかりの表情をしている。

エレーナは伯爵家の貴族令嬢であり、それこそ生まれてから衣食住に恵まれて、何をするにも高い財力を活かした行動も含め、今日に至るまでその恩恵と生活をしてきている。

今のエレーナが使用しているロッドや纏っている装備は全て、名が知れてきただろう冒険者でもすんなり揃えられないだろう一級品ばかりだ。

それはいいにしても、貴族が食べるのに程遠いだろうギルド飯に貴族出身のエレーナに堪えられるのかどうかの不安を抱いている。

一時は高級感のある居酒屋も視野に入ったものの……。


「でしたら行きましょう!ギルド飯へ!」

「「「「へっ!?」」」」


抱えている不安を吹き飛ばさんばかりに、エレーナはギルド飯を食べたいと言い出した。

エレーナは何がオススメかをあれよこれよと聞いては、いつもの定番メニューであるエールにから揚げとピザの定番メニューを用意した。


「では、エレーナ加入後の初クエスト達成を祝いまして……」

「「「「「乾杯~!」」」」」


表面上は明るく乾杯の音頭を上げた俺だが、内心はビクビクだ。

冒険者として頑張りたい気持ちを汲んだものの、食事になればどうなるかと見落としていた懸念に対して改めて向き合う事になった状況に立ち会っているのだから。

エールをグイッと飲んで数秒後……。


「改めて飲んでみると、冒険に出た後のエールは美味しいですね!」

「そ、そうか……・」

「ハイ!貴族にワインなのは定番でありますけど、冒険の後に味わうエールもまた最高ですね!その後で食べるから揚げも堪らないです!」


意外と言うか、斜め45度の意見とでも言うべきか、エレーナはジャンクフード要素が強めなギルド飯を心から堪能していた。


「エレーナ……。本当に大丈夫なの……?」

「大丈夫ですよ!貴族が食べるのに程遠い食事をいただく機会も多くありましたし、エールもから揚げもピザも好きですよ!まぁ、お野菜はちょっと欲しいですけど!」

「「「「マジで……!?」」」」


聞けばエレーナは、修行している段階でギルド飯のような食事に慣れるための訓練を兼ねた食生活を幾度も経験してきては、美味しく味わえそうな事もしていたそうだ。

冒険者になる前からお抱えの護衛達が食べていた庶民的な食べ物も興味本位で食べた事も珍しくなかったと聞かされた際は、意外な気持ちがただただ抱くしかなかった。


「使う材料は上質揃いでこそあれど、王侯貴族の界隈でもピザやエール、揚げ物だってありますよ!扱う材料は高級品や品質に優れている事がほとんどですけど……」

「そ、そうなんだ……」


俺達冒険者が当たり前に食べているから揚げやピザ、エール等のギルド飯が貴族階級の世界でも流行っている事を知って驚いた。

上流貴族の食事と冒険者達が味わう食事に格式や扱う食材の質に差があるのは紛れもない事実にしても、エレーナからそれを聞かされるまでは思い至りもしなかった。

大貴族もいれば、貧乏貴族もあるからな。


「でも、これからは毎日一緒に食事をする事になるんだね……」

「そうですね!わたくしもこうして冒険者として活動できる事を思うと、嬉しくて堪らないです!」

「エレーナって本当に冒険者を志しているんだね……。改めて聞くけど、ロミック様やガレル様達は反対しなかったの?」

「最初は反対されましたが、わたくしの考えや6年前のスタンピードで感じた経験を聞いたお父様は受け入れてくれて、お兄様も最終的には納得してもらえました」

「そうなんだね……」


俺達はエレーナの気持ちを再度確認する事ができた。

貴族と聞いたら領地を経営しながらも住んでいる住居や纏っている衣服、食べる物まで高級品であり、お抱えの護衛や執事に加えて身の回りの世話をするメイドに囲まれて生活しているのではとどこか勝手に思っていた。

しかし、伯爵家のご令嬢であるエレーナは貴族としての矜持を持ちながらも確かな自立心や他者の気持ちに寄り添える思慮深さを兼ね備えた人物である。

そのような人物が冒険者として活動する道を選ぶのだから、確固たる信念が内に秘めているのは間違いないだろう。

まあ、拠点にする家屋や上質な装備を用意してもらえちゃうのはお嬢様だなって思うところはあるけど……。

それらも父であるロミック様の親心なのだろう。

それから食事を終えた俺達はロミック様より提供してもらった家屋に戻っていった。


「ただいま戻りました」

「「「お帰りなさいませ!」」」


扉を潜ると数人のメイドや従者に出迎えられた。

エレーナは貴族令嬢だから慣れているだろうが、俺達はまだ緊張気味だ。

それから各々が風呂やシャワーを済ませると、エレーナからリビングに呼び出された。


「それで皆様、特にトーマさんをお呼びした訳なのですが……」

「うん」


「異世界から来たと言うトーマさんのお話とかを聞いてみたいです!」

「え?それだけ?」

「それだけです!」

「そう言えば、僕もちょくちょくと聞いた事しかありませんね……」

「私もです!」

「もっと聞いてみたいです!トーマさんが住んでいた異世界について!」

(子供のように輝いているな~。特にエレーナ)


それは俺がこの世界に飛ばされる前に住んでいた異世界について聞いてみたいと言う、非常にシンプルな話だった。

セリカとミレイユ、クルスには時折少し話すパターンはあるが、本格的に話すのはこれが初めてだった。

心の中ではあっけらかんと思いつつもあった。


「そうだな……。話してやるよ。俺が前にいた世界についてを……」


夜が更けそうになる中、俺は仲間達へ異世界に関係する話を始めるのだった。



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