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何でも屋として生きていくアラサーの異世界ライフ ~サブカルチャー大好きな高卒アラサーが異世界に召喚されて現実世界で得た知識と経験をフル活用したら多方面で無双しかけている件~  作者: カワチャン
第二章 新たな仲間とダンジョン攻略

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第77話 討伐と言う名の試験

本当の意味で格上のモンスターと戦闘です!


回復や支援を得意とするメンバーを欲しいと思い始めていた中、ティリルを含むいくつもの街を治める領土の領主であるロミック様主催の選考会が行われると知った。

その選考内容の一つとして、エレーナ様を連れて一時的にパーティーメンバーとして扱い、その立ち回りを試すクエストに参加している。


ズシン……ズシン……ズシン……

「皆!準備を!」

「できてます!」

「いつでも行けます!」

「デカいモンスターが近づいてきます!」


俺達は瞬時に戦闘態勢に入り、エレーナ様はザリオンさんの斜め後ろに立っている。

そうして30秒もしない内に……


「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」


地下洞に響き渡る咆哮が反響していく。

目の前に現れた大型のモンスターこそ、選考会における討伐対象である“ミスリルメガリザード”だった。

名前の通り、全身はミスリルの鎧みたいに覆われており、普通の民家ほどの高さと10メートル行きそうな体長をした四足歩行のトカゲのような姿だった。

ミスリルの輝きも相まって、その存在感は正に重厚そのものであり、レア度Bの肩書を持つのに相応しいプレッシャーを放っている。


「これが“ミスリルメガリザード”……」

「本で見た事あるけど、凄い迫力です……」

「神々しくも恐ろしい!」

(少なくとも、防御力は非常に高いはず……。少なくとも僕の【剣戟LV.1】だけでは歯が立たない!となれば攻撃の要となるのは……)


セリカとミレイユが真剣な表情で構え、クルスは何とかして攻略法を見出そうとしている。

俺も一筋の汗を流しながら、“ミスリルメガリザード”と向き合う。


「皆!行くぞ!」

「「「ハイ!」」」


俺が合図を飛ばすと、クルス、俺、セリカの順に突っ込み、ミレイユは立ったままだ。


「【炎魔法LV.2】『フレイムジャベリン』!」

「ガアァ?」


ミレイユは後方から槍のような形で炎を凝縮した魔法をぶつけた。

そこでクルスが即座に取り出していた炸裂弾を思い切り投げつけると、大きな破裂音をあげながら、煙が巻き上がる。


「グオォォ!」

「セリカ!クルス!」

「「ハイ!」」

「【剣戟LV.1】『斬鉄剣』!」

「【剣戟LV.2】『ブラスタースラスト』!」

「【剣戟LV.1】『隠座双突』!」


俺は“ミスリルメガリザード”の首筋に剣を振り下ろし、セリカとクルスはその顔を突いた。

攻撃は確かに当たっているが……。


「ギィガァアアアアアア!」

「「「「!?」」」」


やはり硬かった……。

巨体に似合わぬスピードで前脚を振ってくるが、セリカとクルスはそれを躱す。

俺はもう一度剣を突き立てようと試みたが、無駄に攻撃しても疲労やダメージを重ねる事を懸念して距離を取った。


「危ねえ~」

(想像以上に硬い!)

(トーマさんは装甲が薄そうな首の辺りに思い切り振り下ろした筈なのに……)

(杖を新調した私の【炎魔法LV.2】でも大したダメージにならないなんてね……)

「「……」」


【腕力強化】込みの【剣戟】スキルや【炎魔法LV.2】による魔法攻撃でも倒れるどころか影響するようなダメージを与えられていない事実に俺達は驚くしかなかった。

“ミスリルメガリザード”の装甲は、想像以上に硬かった。


「でも、ここまでは想定内!エレーナ様!お願いします!」

「ハイ!」


俺がエレーナ様に合図をすると、彼女は一歩踏み出して杖を前にかざした。


「【支援魔法LV.1】『アームズ&アクセレート』!」


エレーナ様の【支援魔法】が発動し、俺達は微かだが白いオーラのような光を纏った。


「おぉ……」

「力が漲ってくる……」

「身体が軽く思えてきた……」

「凄い……。これが【支援魔法】の力か!」


エレーナ様が俺達にかけた【支援魔法LV.1】『アームズ&アクセレート』は味方の身体能力とスピードを向上させるスキルだ。

そのお陰で心なしか、力が湧いて来るのが自分でも感じる事ができた。


「セリカ!ミレイユ!試しに何か魔法を!クルスは俺と!」

「「「ハイ!」」」

「【風魔法LV.1】『ウインドランス』!」

「【氷魔法LV.1】『フリーズランス』!」

「グオォ?」


俺はクルスと共に走り出し、セリカとミレイユはそれぞれ風や氷で生成された槍を“ミスリルメガリザード”に飛ばした。

すると両方の前脚に当たったが、その巨体が一瞬止まった。


「凄い!【支援魔法LV.1】の段階でこれほどのパワーアップをされているなんて……」

「えぇ……。これなら……」


魔法を放ったセリカとミレイユはエレーナ様の魔法のクオリティの高さに感嘆していた。

普段通りに撃っても無理だろうと思ったが、想像以上の手応えを感じた様子だ。


「行くぞ!クルス!」

「ハイ!トーマさん!」


俺とクルスは“ミスリルメガリザード”に突っ込んでいった。

【支援魔法】のお陰で身体が軽く感じ、【脚力強化】も相まって凄まじいスピードで駆け出せている。


「ガアァァ!」

「「ハッ!」」

(凄い!ジャンプ力まで上がってる!)

(それなら……)


俺とクルスは巨大な脚を薙ぎ払う攻撃を難なく躱し、俺は頭に向かって剣を振り下ろす。


「【剣戟LV.1】『斬鉄剣』!」

「ギオォオオオッ!」

(さっきより少しだけど、深く入ってる!)


強化された俺の斬撃は、致命にこそ至らないが、“ミスリルメガリザード”の額を少なからず割る事に成功し、初めてダメージを与える事ができた。

俺とクルスはそのままヒット&アウェイの戦法で斬撃を浴びせていく。

ミレイユも動き回りながら魔法で援護し、セリカも隙があれば斬りかかっている。


「エレーナ様!この【支援魔法】は凄いです!いつも以上の力を出せているような気がします!」

「これなら行けます!」

「お褒めに預かってよかったです。ただ、お忘れになっていただきたくないのですが……」


俺達はエレーナ様を褒め称えていた。

一方、そのエレーナ様と後ろに控えるザリオンさんの目は澄んでいるままだった。


「今回の討伐におけるルールはもちろん心得ています!」

「でしたら、最後まで頼みます。ザリオンも護衛やいざと言う時の援護もお願いします」

「ハッ!」


エレーナ様は柔らかな笑顔を俺達やザリオンさんに向けていた。

“ミスリルメガリザード”の討伐に赴く前、その際のルールを事前に決められていた。



回想・数時間前のマイネラクセに向かう馬車内—————


「ルール……でしょうか?」

「はい。“ミスリルメガリザード”は正直に申し上げますと、私とザリオンだけでもほぼ攻略できるようなモンスターですが、あなた達4名だけでは対処が困難なのです。そこで私が習得している味方を強化する魔法でサポートします。回復は戦闘の後で行います」


今回の“ミスリルメガリザード”の討伐はエレーナ様も参加されるのだが、その際にいくつかのルールを言い渡された。


①【支援魔法LV.1】の使用は2回までと【付与魔法LV.2】の使用は1回まで。

②撤退を選ぶもしくは①で示した回数以上の支援を要求した場合は即失格。

③ザリオンさんに援護を要求した場合も即失格。

④但し、“ミスリルメガリザード”以外のモンスターによる攻撃で何かしらの被害を受けた場合は失格とみなさない。


「なるほど……。パーティーメンバーの一員にする事を視野に入れて、適切な立ち回りができるかどうかが関係しているんでしょうか……?」

「はい……。実際にモンスターの討伐を始めとするクエストに挑む際、わたくしの【支援魔法】や【付与魔法】を適切に使用させられるかを見定めさせていただくためなのです。今申し上げたルールも、ザリオンが何度もシミュレーションした上での判断です」

「君達それぞれの実力、パーティーにおける連携や立ち回り、そしてエレーナ様を交えてどのような結果を出すか、我々で見極めさせていただく所存なのです」


エレーナ様とザリオンさんの説明を聞いて、今回の選考会の本質が見えてきた。

Cランクパーティーの俺達が“ミスリルメガリザード”と言う格上のモンスターと戦い、そこにエレーナ様が前もって決めた【支援魔法】の回数内で勝てるかどうかを見極めると言う事は、どれだけ効率良くバランス良く戦えるかを吟味するって事になる。

【支援魔法】や【付与魔法】と言えども大なり小なり魔力を消耗するので、強力なスキルになればなるほどエレーナ様にも強い負担をかけるって意味だ。

つまり、「エレーナ様の魔法に甘えてばかりのパーティーには任せられない」と言う事だ。


「【支援魔法LV.1】は2回まで、【付与魔法LV.2】は1回までとございますが、どんな魔法を使用できるのかを確認してもよろしいでしょうか?」

「【支援魔法LV.1】は身体能力を強化させてスピードを一時的に上げる『アームズ&アクセレート』を一回。スピードを一時的に大きく上げる『ハイアクセレート』と身体能力を一時的に大きく上げる『ハイアームズ』があってどちらかを一回。そして、戦闘後に身体の負担がかかるのと引き換えに“ミスリルメガリザード”を倒す力を与えられる【付与魔法LV.2】を一回使えますが、使った場合は評価を落とさせていただきます」


エレーナ様は説明を終えた。

そして俺はどのスキルを使うかを考えながら現地に赴くのだった……。


回想終了—————


(まずは【支援魔法LV.1】の『アームズ&アクセレート』を一回使った。このモンスターの防御力やタフネスを考えれば……ん?)

「グガアァアアアッ!」


俺は僅かながら優勢に立てている事を実感しながら、決定力を上げる【支援魔法】をかけてもらってトドメを刺そうとした矢先、“ミスリルメガリザード”の唸り声を聞き取った。

強化された俺達の攻撃を全身に受け続けても尚、激烈な咆哮を放ちながらその身体は力強く振るっていた。

俺達もその様相に後退せざるを得なかった。


「強いな……」

「えぇ……。少なくとも結構ダメージを与えているのは確かですが、とんでもない防御力とタフネスですね……」

「イバヤ遺跡で出くわした“オーガナイト”が紙切れに思えそうなくらいね……」

「ミレイユ……。あれと比べるのは失礼よ。はっきり言って、エレーネ様の【支援魔法】なしじゃ“ミスリルメガリザード”相手にここまでダメージを与えられなかったんだから……」

(エレーネ様の【支援魔法】あっての結果だ……。それに……)


セリカの言う通り、かつてやり合った異世界に来て最初の強敵だった“オーガナイト”とは比較するのも失礼なくらいの硬さとスタミナだった。

同時に【支援魔法LV.1】『アームズ&アクセレート』の効果もほとんど切れている……。

俺としては【付与魔法LV.2】の使用も視野に入ったが……。


(もし、俺が持っているあのスキルにエレーナ様の力添えを行うとどうなるんだろう……?想像は着かないけど……)


俺はふと一つの思案に辿り着いたが、打って出ていいか正直悩んだ。


「グォオオオオオッ!」

(来る!)


“ミスリルメガリザード”が動き出そうとする姿を見て、数秒も考えている暇はない。

目の前に強力で堅牢なモンスターが目の前にいるのだから……。


(やるしかないな……)


俺は意を決しながら、エレーナ様にある一言を発した。


「エレーナ様!俺達に更なる速さをッッ!」

「【支援魔法LV.1】『ハイアクセレート』!」


2回まで使えるエレーナ様の【支援魔法LV.1】で機動力向上に焦点を置いた『ハイアクセレート』を俺達にかけてもらった。


そしてクライマックスは、かけてもらった支援の如く訪れた……。



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