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何でも屋として生きていくアラサーの異世界ライフ ~サブカルチャー大好きな高卒アラサーが異世界に召喚されて現実世界で得た知識と経験をフル活用したら多方面で無双しかけている件~  作者: カワチャン
第二章 新たな仲間とダンジョン攻略

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第75話 エレーナ・ハイレンド

これからのキーパーソンになろう人物が登場します!

いつもの冒険者ライフを送っている中、回復や支援を得意とするメンバーを欲しいと思い始めていた矢先、ティリルを含むいくつもの街を治める領土の領主であるロミック様主催の選考会が行われると知った。

その内容は、希少なギフトで有名な『付与術士』を賜ったロミック様の娘であるエレーナ様を加入させるに相応しい冒険者パーティーを決めるためのものだった。


開催当日—————


「この街でロミック様のご令嬢様をどのパーティーに入れるかを決める選考会が催されるのか?」

「正確にはロミック様のカントリーハウスですけどね……」

「僕は初めて来ました!」

「私も初めてだけど、噂通りにセレブな街ね……」


馬車に揺られて3時間ほどが経つと、俺達は今まで訪れた場所よりも何段階も豪華さと絢爛さを感じさせるであろう街『レグザリア』を訪れていた。

ティリルと同じように建物がところどころ点在しているが、一番の違いは一つ一つの建物の規模や豪華さである。

数は少な目だが、その分結構な大きさをしている家や店が並んでおり、尚且つ綺麗である。

メインストリートらしき道も馬車が4台分横並びで走ってもなおスペースに余力があるほどに幅が広かった。

言ってみれば富裕層向けの住宅街と言ってもいい光景であり、あちこちに目を見やると華やかで仕立てのいいドレスを着ている貴婦人や、一目で貴族と分かるような男性が従者を連れて歩いており、馬車で使う引きずる車体が豪華なタイプのモノも目立った。

宿屋や飲食店、服屋などもあるが、その大半が今の俺達では気軽に利用するのもためらうくらいに高級感たっぷりである。

レグザリア自体が王都ファランテスとの距離が近いだけに、派遣された衛兵の数も、俺達が訪れた事のある街ではトップクラスに多かった。


「えっと……、馬車ターミナルは……」

「あそこですね!」

「本当だ……って多くない……?」

「どれに乗ればいいか迷いそうですね……」


レグザリアには周辺の各領土に向かうための馬車が多くあり、馬の種類も通常の個体から一見すると戦いにも向いてそうなくらいに一回りほど大きく剛毅さを感じさせる個体まで多くあった。

それだけにレグザリアは「貴族のための街」や「王都の玄関」と渾名されており、街並みやターミナルを見れば納得できた。


「すみません。ロミック・ハイレンド伯爵様がいるカントリーハウスにお伺いしたいのですが、どちらの馬車を利用すればよろしいでしょうか……?」

「失礼ですが、どちら様でいらっしゃいますでしょうか?」

「ロミ……、ハイレンド伯爵様が主催される選考会へ参加するためにお伺いしようとしている、【トラストフォース】のトーマ・クサナギと申します」

「冒険者か……、少々確認させていただきたい」


係員らしき人物にどの馬車に乗れば良いかの確認と来た目的を伝えると、少し待たされた。


「お待たせしました。確認が取れましたのでご案内します!」

「ありがとうございます」


ほどなくして係員からOKが出て、その馬車に案内してもらい乗る事になった。

今回は貴族からの応援クエストでもなければ他のギルドとの協力クエストに参加ではなく、選考会への参加が目的のため、ティリルからロミック様の屋敷まで行く交通費は全額自腹で来た。

参加を決めてから当日までの十日ほどでクエストに赴き、お金を稼いでおいたお陰で交通費だけでなく、クルスにミスリル製のロングナイフを買ってやる事もできた。

モンスターの討伐にしても何かの調査にしても、今の俺達は装備も準備も万全だ。


「トーマさん、見て下さい!」

「ん?って……デカ!」


馬車を走らせて一時間弱もすると、かなり大きな屋敷と庭が見えてきた。

窓から覗き見てみると、現実世界で大規模なスポーツイベントを行うようなドームに迫りそうなスケールであり、メイドや従者が掃除や美術品のお手入れなどで忙しく働いている。

そして、貴族らしい荘厳さと華やかさを感じさせるような外観だ。

かつてCランクに上がるためのクエストでグリナムへ赴いた際に面識を持ったアスバン・ヒライト子爵のカントリーハウスも大きかったが、あれの数倍はある。

伯爵って凄いんだな……。

そして馬車から降りると、一人の執事らしき壮年の男性が出迎えてくれた。


「【トラストフォース】の皆様、お待ちしておりました。只今お部屋までご案内します」

「よろしくお願いします……」


執事の男性はとても丁寧なお辞儀をした後に選考するための部屋へ案内し始める。

門を潜ると、清らかな緑が澄み渡るくらいに美しく、サッカーができそうなくらいに広く、短めの白い橋の下には向こうから水が流れる池もあり、観賞用の魚が数種類泳いでいる。

少し歩くと屋敷の前があり、馬車からも見えたが、近くに立つと厳かさすら感じずにいられない雰囲気である。

そして入ってみると、屋敷の中の廊下は幅だけでも5メートルほどあり、非常に綺麗で清潔であり、時々見かける美術品や動物の剥製などには手入れが行き届いており、擦れ違うメイドの方々からは丁寧に迎えられた。

数分歩くと、大人3人が一度に入れそうな大きな扉があり、ロミック様お抱えの兵士が二名立っている。


「失礼します。【トラストフォース】の皆様をお連れしました……」

「ありがとう。通しなさい」

「皆様、どうぞ……」


ロミック様が許可すると、執事の方が促し、兵士二名が扉を開け、俺達は入っていく。


「よく、来ていただけた」

「「……」」


入った瞬間、豪華で優美な応接セットを中心に、絢爛さを感じずにいられないような空間が広がっており、応接室と呼ぶには余りにも華やかであった。

そこに待っていたのは、ロミック様であり、その両隣には貴族特有の空気を纏った男性と女性が一名ずついる。


「また君達に会えて嬉しいよ……」

「こちらこそ、またお会いできて光栄に存じます……」

「そうだ、君達に私の息子と娘を紹介したい……」


挨拶もそこそこにロミック様の右隣から一人の男性が前に出る。


「初めまして。私はハイレンド伯爵家当代当主長男のゲイル・ハイレンドと申します」


この方はロミック様の実子にして、ハイレンド伯爵家の嫡男であるゲイル様だ。

灰色の短髪と引き込まれそうになるほど澄んだ琥珀色の瞳をした非常に容姿の整った青年であり、薄い灰色を基調にした貴族服もあって両目から力強さと気高さすら感じさせる気品を纏っている。

挨拶の仕方だけで育ちや品の良さがひしひしと伝わってくる。

ゲイル様が一歩引いて、次に一人の女性が前に出てきた。


「わたくしはハイレンド伯爵家当代当主長女のエレーナ・ハイレンドと申します。この度はティリルよりここまでご足労いただき、誠にありがとうございます」


目の前にいるセリカやミレイユと同世代と思しき女性こそ、今回の選考会でどのパーティーに入るかを決めるエレーナ様だ。

陽光のように鮮やかな栗色の長くしなやかなロングヘアーに真っ白な大理石の如く白く滑らかな肌と紺碧色の瞳をした上品さと気高さを両立させたような気品を纏った美しい女性だった。

お召しになっているオフホワイトのワンピースも、一見するだけで一級品の仕立てであるのが瞬間的に理解できた。

その上カーテシーと言う淑女の礼儀作法から見ても、エレーナ様が本物の貴族令嬢である事を実感させる。

ヒライト子爵家のご令嬢であるチェルシア様とは違った意味でのレディだ。


「挨拶も済んだ事だ。本題に入らせてもらうよ」

「ハイ!」


こうして俺達はソファーに腰を掛け、ロミック様とその実子達と向き合った。

ロミック様と面識はあるものの、こうして向かい合っていると伯爵貴族が持つような威厳と自信に満ちている。

加えてロミック様のご子息であるゲイル様、ご令嬢のエレーナ様もいらっしゃるので、それが拍車をかけている。


「この度はエレーナをどの冒険者パーティーに所属させるかを決める選考会に参加を表明しここまで赴いてくれた事、心から礼を言う……」

「いえ、滅相もございません……」

「今回の選考会の目的から話そう。エレーナと共に冒険してもらえる冒険者パーティーを見つける事が一番の比重を占めている……」

「はい……」


ロミック様が徐に口を開き、選考会の目的を語り始めた。

概要としては『職授の儀』で『付与術士』と言うギフトを授かったエレーナ様をどのパーティーに入れたいかを見極めるのが一番の目的であると聞かされた。

セリカ曰く、「支援系のギフトの中ではかなりレア」との事であり、『付与術士』のギフトを授かったエレーナ様はロミック様の意向で3年間の冒険者としての修行と『レリーチャ』と言う国で1年間の海外留学が決定した。

その留学期間を終えて本国に戻り、「冒険者として活動したい」と言うエレーナ様の願いで今回の選考会が開かれたと言う経緯で開かれた。


「あの~、一つ思ったのですが……。伯爵令嬢の身でありながら、なぜ冒険者になりたいのかを差し支えない範囲でお伺いしたいのですが……」

「それはだな……」

「お父様。そこからはわたくしがお話しますわ……」


セリカが素朴な疑問をぶつけ、ロミック様が答えようとしたところにエレーナ様が横から入るように話そうとした。


「わたくしは今まで、敷かれたレールのままで生きていくのが本当に正解なのかと考えるようになったのです……。そんな時、わたくしが14歳になった冒険者の皆様によって、お父様の領地を脅かそうとするモンスターの大群が襲い掛かる事件を思い出させ、その過程で天啓のようなものをもたらしました!」

「あぁ、あの事件、と言うより現象か……」

「確かにあの一件は、ハイレンド領を脅かしかねない事象でしたね……」

(ん?あの事件……?)


エレーナ様が語る中、ロミック様とゲイル様は何かを脳内で思い出そうとする仕草をしている様子でいるが、少なくとも俺には理解すらできなかった。


「トーマさんは知らないと思いますけど、今から6年前にロミック様が治める領主へレア度がごちゃ混ぜなモンスターの大群が襲い掛かった事件があったんですよ……」

「そうだったのか……?」

「思い出しました!確か、スタンピードって現象ですよね……」

「スタンピード……?」


スタンピードと言う言葉自体は俺も現実世界にいた頃から何度も聞いた事があり、意味としては「モンスターの大群が、何かしらのきっかけで同じ方向に向かって走り出す現象」と言うのは何となくだが覚えている。

セリカ達が冒険者になる前、ロミック様が治めるハイレンド領に多種類かつ大量のモンスターが襲い掛かるスタンピードと言う現象が起きた事があったのだと言う。

中にはBランク以上のパーティーでなければ対応が困難な強力なモンスターが出てきたと言う異常事態をどうにか収めたが、緊急の避難場所として用意したロミック様が治める領地の一部で傷ついた冒険者達を治す聖職者系のギフトを持った人物達を救っていく様相を、エレーナ様が何度か見ていたと聞かされた。


「その時の記憶と職授の儀で授かったギフトの『付与術士』、そして今後のヴィジョンを見据えて私は考えて結論を出しました……。冒険者として広い世界を見て、困っている人々を助けたい!それが思案し続けて出したわたくしの答えなのです!」


((((え~~~!それが理由!?))))


エレーナ様の話を聞いて、冒険者を目指すのに最もらしいと思うのと同時に、貴族令嬢としては随分とワイルドでアグレッシブな理由を持っていた事に俺達は驚きを隠せなかった。

隣で聞いているロミック様やゲイル様もハァ~っとしている様子だった。


今回の選考会は色んな意味で大変な思いをしてしまうだろうと直感してしまう俺達だった。


(一体どうなるんだ~~~!?)



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