第69話 それぞれの死闘⑥
悲しき戦い、遂に決着です!
闇ギルドの幹部であるビデロスがケインさん達【ディープストライク】、裏切者のゼルナによる魔改造されたドキュノは俺達【トラストフォース】がそれぞれ戦っている。
ケインさんとフィリナさんの活躍で、闇ギルドの幹部であるビデロスを撃破する。
そして俺とドキュノとの死闘はクルスの命を賭した援護によって、俺はトドメを刺すに至った。
ドキュノ回想———————
13年前——————
「「「「「「「「「ゴガァアアアーーーーー」」」」」」」」」
「「「うわぁああーーーー!」」」
「く、来るなー!」
「何だこのモンスターの大群は?王国の騎士団や冒険者ギルドはまだこないのか!?」
「キャーーーー!」
俺が12歳の時に育った村は、大量のモンスターの進軍によって滅茶苦茶になった。
モンスターと戦った事のない村民ではどうする事もできず、俺はどうにもできなかった。
「父さん、母さん……」
(頼む無事でいてくれ……)
その時の俺は、心の中で願う以外何の力もないただのガキだった。
村は地図から消えるほどに壊滅し、人生で一番恐いと思った経験を味わいながら、事態は収束していった。
近くの冒険者ギルドから派遣された数十名の冒険者や応援要請を受けて飛んで来た王国の騎士達のお陰だった。
俺はその時、近くの避難所で数日過ごしていたけど、一つの報せが届いた。
「君のご両親が遺体で発見された。まだ子供の君に伝えるのは余りに忍びないが、来て欲しい……」
「!!??」
事態の収束に当たっていた衛兵の一人に呼ばれ、一つの薄暗い部屋に案内された。
そこで俺は一番見てしまいたくないモノを見てしまった。
「ウワー――――!お父さん、お母さん!嫌だ―――!」
もう二度と動かない俺の両親の遺体だった。
それから俺は近くの孤児院に引き取られてから3年を過ごした中、『職授の儀』を受けて一つのギフトを授かった。
「『槍術士』……」
辺鄙な村で育った俺でも『槍術士』は冒険者向けであり、戦って強くなれるギフトなのは知っていたが、まさかそれを授かれるなんて思わなかった。
それからは修行を重ねながらクエストに励み、自分が育った村を襲ったモンスターをレア度D~Eまでだが、自らの手で倒せる力を身に付けていった。
すると周りも俺を認めてくれるようになった。
「力を持つって、最高だな!」
Dランク冒険者になった頃にはカズナとフルカと出会った。
二人は実家を継ぐのが嫌で冒険者を志していた中、冒険者向けのギフトを手に入れた事を嬉しく思い、波長が合ったからなのか、それから冒険者パーティー【パワートーチャー】を作った。
未開の地を攻略するには支援に優れたギフトを持っている冒険者を探していた時だった。
「クルス、俺らのパーティーに入らねぇか?【トラップ感知】のスキルを持った冒険者を探してるんだよ!」
「え?僕がですか……?」
当時は『シーフ』だったクルスを仲間に引き入れた。
そこからはもっと活躍できるようになった。
このメンバーなら、更なる高みへ行けると言う不思議な希望を抱き始めていた。
(俺はもっと強くなる!そして、俺の名前を世界中に轟かせてやる!)
この時は信じて疑わなかった……。
回想終了—————————
「ドキュノさん……」
クルスは身を押しながらドキュノの横に跪くように座り込んでいた。
俺はそれを見ているしかできなかったが、端から見ればドキュノは到底動ける状態ではなかった。
「俺は……もっと力と名声が欲しかったんだ……。12歳で両親も育った村も、モンスターの群れに襲われて全部失って、弱い自分でいるのが嫌で、ずっと頑張ってきたんだ」
ドキュノは自分の半生を朧気に思い出しながら語った。
「もしかしたら、Cランクに上がって調子づいて、欲を欠いてクルスに最低な事をした挙句に追い出しちまったのが、過ちだったのかもな……」
「ドキュノさん……」
ドキュノの目からは涙が零れていた。
俺はこの男がクルスにした仕打ちを聞いており、クエストに出る前に悪い絡み方をしてきた事も覚えているから嫌悪感を抱いていた。
しかし、今のドキュノは可哀そうな一人の男に見える。
死期が迫った事を悟ったドキュノは涙ながらに達観した様子だが、クルスは数歩前に出て歩み寄る。
「ドキュノさん。追い出した事や酷い扱いをされた経験は今でも忘れるつもりはありませんし、忘れる事はできないでしょう……。ですが、感謝もしているんです。Cランクになる前のドキュノさん、カズナさんやフルカさんと過ごした冒険や日々は、僕にとっては宝のようでした。楽しかった思い出に嘘はありません」
クルスはドキュノらのパーティーに誘われた当初から数年は喜ばしく明るい思い出が蘇り始めた。
協力して強いモンスターを倒した事、自分のスキルを褒め称えてくれた事、クエストから帰った後のギルド飯を存分に楽しんだ事、冒険談議について朝まで飲み明かした事、追い出された時と直前の時期になるまではクルスにとって素晴らしい思い出が確かにあった。
ドキュノらがCランクに上がってからいつの間にか忘れてしまい、それらを無意識に封じ込めてしまった。
「そして、トーマさん達との出会う途中の道にはドキュノさん、あなたがいました。辛かった事は忘れられませんけど、それを否定したら、トーマさん達との出会いも否定する事になってしまうから……」
「……!?」
ドキュノは必死で首を捩じり、俺の顔を見やった。
そしてその表情に少しの明るさが灯った。
(俺との戦いでこんなボロボロに……。けど……俺を止めてくれたんだな……)
「クルス……。本当の意味で……良い仲間に恵まれたんだな……。お前は幸せ者だな……」
「ハイ!素敵な人達です……」
ドキュノの目には、もう生気が入っていなかった。
俺の後ろからは【ベスズプレイフル】の冒険者達が走ってきており、中には【回復魔法】が使える冒険者もいるが、少なくともドキュノはもう手遅れだ。
「悪かったな……。クルス……。お前がこれからどんな風に歩くかどうか……。あの世で見てやる……ぜ……」
そう言ってドキュノの呼吸と命の鼓動は……永遠に止める事になった。
クルスはその場で涙を流し、俺はその様子を見守っていた。
「おい、大丈夫か?」
「凄い怪我だ!【回復魔法】を!」
俺とクルスは意識を失いかけたところで応急処置を受け、病院へと運ばれた。
闇ギルドの問題の決着は……。
余りにも苦いモノとなった……。
「今回の魔改造は失敗みたいね~。でも、いいデータは取れたのでよしとしましょう」
【アテナズスピリッツ】を裏切って闇ギルドと手を組み、ドキュノに魔改造を施した張本人であるゼルナが離れた位置から事の顛末を見守っていた。
その手にはドキュノが使っていた魔槍が握られている。
不意討ちで襲う事も考えていたゼルナだが、冒険者パーティー数組が合流しており、分が悪いと判断して密かに逃げる体制を整えている。
「ビデロスに全部擦り付ける準備もした事だし、しばらくは密かに魔改造の研究ね」
ゼルナは怪我で倒れている俺とクルスを見ながら口角を釣り上げながら微笑んでいる。
「これからが楽しみになりそうだわ……」
そう呟くとゼルナは羽織っている黒いマントで自分の身体を包み込み、妖しい瘴気と共にその場から消えた。
「面白かった!」
「続きが気になる、もっと読みたい!」
「目が離せない!」
と思ったら、作品への応援をお願い申し上げます。




