第65話 それぞれの死闘②
激しいバトルです……。
【ベスズプレイフル】のギルドマスターであるルチアーノさんが協力を申し出る極秘クエストとして、イントミスで密かに蔓延る闇ギルドの調査を命じられた。
裏切者の魔女であるゼルナと闇ギルドの幹部であるビデロスによって魔改造されたドキュノ。俺達【トラストフォース】はドキュノ、ケインさんが率いるBランクパーティーである【ディープストライク】はビデロスと撃ち合っている。
「ふうーふうー」
「はぁ……はぁ……」
(かなりキツイ状況だな……)
殺気と鼻息を存分に漏らすドキュノ。
数メートル先にある壊れた家まで吹き飛ばされて気絶しているセリカとミレイユ。
ミスリルのロングナイフを構えているクルス。
そして、疲労の吐息を吐いている俺だった。
ドキュノの凄まじい衝撃から身を守るため、セリカとミレイユが前に出て強力な【風魔法】と【氷魔法】による防御技で爆発から俺とクルスを守ったものの、威力が凄すぎて吹き飛ばされてしまい、俺とクルスもその余波を受けてダメージを負ってしまったのだ。
この時に俺は一つのミスをしてしまっていた。
(クソ!【ソードオブシンクロ】で二人をパワーアップさせてやれば、何とかなっていたかもしれないのに!)
セリカとミレイユはほぼ動けない上に、ミレイユの使っている杖は使い物にならないほどにまで壊れてしまった。
ドキュノはまだ底を見せていない様子で俺もクルスもダメージを負っている。
勝てるかどうかが頭を過り始める。
(いや、違う!)
「【ソードオブシンクロ】!」
≪クルス!セリカとミレイユをここから遠ざけてくれ!≫
≪トーマさん、一体何を?≫
≪俺が何とかして奴を止める。できれば倒す!≫
≪何を言っているんですか?今のドキュノさんは魔改造のせいでとんでもない強さですよ!一人でやるには……≫
≪やらなきゃ誰も助からねえ!早く行けえぇ!≫
≪は、はい!≫
俺は【ソードオブシンクロ】を発動させてドキュノに突っ込んで斬り合い、その効果でクルスにテレパシーで俺の狙いを伝えた。
クルスは反論しかけるも、俺が静止して実行させた。
クルスも【ソードオブハート】を使っているので一時的にスキルの強化が可能となり、【腕力強化】や【脚力強化】でセリカとミレイユを肩に担いでその場を離れた。
ケインさん達が戦闘している場所も鑑みて、まだ壊れていない家屋まで運び込む。
≪戦闘に支障が出ない場所まで離れました。セリカとミレイユの手当てをします。トーマさんは戦いに集中を!≫
≪分かった!≫
クルスの言葉に【ソードオブシンクロ】を解除し、今度は【腕力強化】や【脚力強化】による剣術でドキュノに斬りかかる。
ドキュノも凄まじい槍捌きで応戦してくるが、俺は辛うじて避ける。
我流の戦術やおざなりなままの立ち回りではとっくに終わっていたけど、セリカ達と行ってきた日々の修行や鍛錬のお陰で何とかなっていた。
「【剣戟LV.1】『斬鉄剣』!」
「ギィアァァーー!」
「グッ!」
俺はドキュノの胸に一太刀浴びせるも、反撃の薙ぎで腹を切り裂かれた。
結構いっているが、ギリギリ内臓に達していないからまだ戦える。
ここで倒れたら、ビデロス達をより好き勝手させてしまう事になる。
絶対に、退かない。諦めない……。
俺はこの異世界に飛ばされてから過去一の、本当の修羅場に直面していたが、仲間を守りたい一心で自らを奮い立たせて再び踏み込むのだった。
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