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第63話 加速する暗黒

シリアスさが加速します!


【ベスズプレイフル】のギルドマスターであるルチアーノさんが協力を申し出る極秘クエストとして、イントミスで密かに蔓延る闇ギルドの調査を命じられた。

ドキュノとゼルナが敵に襲撃された。

そしてゼルナが裏切者である事や、闇ギルドの幹部格であるビデロスと仲間である事実を知ったドキュノは絶望の末に……。


「おい!来たぞ!」

「あぁ、ケインさん!皆様も!」

「現状はどうなっている?」

「はい。ここは【パワートーチャー】のドキュノさんやゼルナさんが戦闘した後でございまして、裏路地を中心にその痕跡を追っているところでございまして……」

「そのメンバーであるカズナさんとフルカさんは奥へ進んでしまいまして……」

「何人入っていった?」

「カズナさんとフルカさんに加えて、ウチのギルドに所属する2人組のDランクパーティー一組です」

「先ほどウチに所属している二人組の方が戻って来ました」

「カズナさんとフルカさんがこの先の廃屋にいます!」

「恐らくですが、追っている闇ギルドの幹部もいるかと……」


俺達【トラストフォース】と、ケインさんが率いる【ディープストライク】は件の町に到着した。

ドキュノさんと同じパーティーメンバーであるカズナとフルカは【ベスズプレイフル】のDランクパーティーに半ば強引にお願いをして奥へ進んでしまったと聞いた。

現場の状況を確認するケインさんはその場で数秒考え込んだ後に……。


「分かった。先に入った人員の捜索及び救助は我々【ディープストライク】が請け負う!」

「ケインさん」

「トーマ君ら【トラストフォース】の面々はここで待機。我々が奥へ捜索に行く!」

「分かりました!」


手早く決断したケインさんの指示で俺達は待機する事になった。

戦闘になる事を懸念して、町の人達には避難をお願いするようにも指示した。

そしてケインさんら【ディープストライク】の面々は奥へと入っていった。


「クルス……?」

「はい?」

「大丈夫か?具合でも悪いのか?」

「いえ、大丈夫です……」


こんな状況でもドキュノらを心配しているのだろう。

クルスから見れば因縁と言っても差し支えない相手であるだろうが、その人物が今、とんでもない事に巻き込まれていると思ったら複雑になってしまうのだろう。




「相手は闇ギルドに関連するであろう人間だ!警戒を怠るな!」

「分かってるわ!」

「「ハイ!」」


ケインさん達はフィリナさんらパーティーメンバーに敵襲や罠に注意を促しながら裏路地を進んでいった。

【気配探知】を発動させながら走っていると、ケインさんが2つの気配を感じ取った。


「ん?皆ストップ!近くに2名ほど誰かいる!」


ケインさんがそう言うと、全員が足を止めた。

数百メートル先にいる事を悟り、歩みが慎重になっている。

数秒して目に映ったのは……。


「誰か……助けて……」

「うぅ……」

「「「「‼」」」」

「カズナさん!フルカさん!」

「何と言う怪我だ!エルニ、回復を!」

「ハイ!」


血に塗れ、傷だらけになりながら歩いて来たカズナとフルカだった。

カズナがフルカの肩を借りる形でフラフラと歩いており、戦闘になったのか、二人共ボロボロになっている。

カズナは左脚と右腕を裂傷しており、フルカは頭や脇腹から血を流しており、背中も切り裂かれていた。

酷い怪我を見たケインはすぐに処置しないと危ないと判断し、支援魔法と回復魔法を得意とするエルニさんによる治療が始まった。


「落ち着いて話して欲しい。何があったんだ?」

「ドキュノとゼルナがこの路地に入ったって聞いて、近くにいた【ベスズプレイフル】の二人組のパーティーと一緒にあそこにある廃屋へ入ったんです。そしたら、地下に繋がる階段を見つけました。」

「ドキュノ達がいるって直感して、闇ギルドに繋がる証拠も探しながら進んでいきました」

「うんうん」

「そしたらゼルナがビデロスと一緒にいたんです。けど……」


エルニさんの回復を受けながら、カズナとフルカは少しずつ話し始めた。

彼女達が見た、恐ろしい実態を……




回想———————


「これって……」

「きっと闇ギルドに繋がる隠し通路だわ!」


カズナとフルカは警戒しながら廃屋を見回すと、地下に繋がる扉を見つけた。

この先にドキュノとゼルナがいると考え、踏み入る決意を固めた。


「あの、下手に侵入するのは危険ですよ!」

「ここは皆と合流して入った方が安全です!近くにいる他のパーティー達も呼んで……」

「大丈夫よ!私達にはこのトラップを感知してマッピング機能を持った『トラップスコープ』があるから!」

「私達が先導して歩いてあげるから、ついてきて!最悪逃げればいいんだから!」

「「は、はぁ……」」


クルスを追い出すきっかけを作った『トラップスコープ』を装着したカズナとフルカは『剣士』や『魔術師』らしき二人組と中へと入っていった。

それから進む事数分——————


「大丈夫!トラップはないみたいね」

「心配しないで!ちゃんと帰り道も記録してあるから!」

「随分と便利なアイテムですね……」

「でしょ?これのお陰で調査系のクエストの成功率は最近全て成功しているんだから!」

「ん?この気配と振動?」

「カズナ、どうしたの?」


フルカが自慢気に言っていると、カズナは何かを感じ取る。


「ドキュノがいるかも。後、ゼルナにもう一人は誰だろう?」

「一度戻られた方が良いですよ」

「戦力は整えておくに越した事は……」

「平気よ。何ならアンタ達だけでも戻ってれば?」

「「……」」


フルカは二人組の進言を聞かず、その両名は戻って他のパーティー達と合流する選択を取った。

カズナとフルカはそのまま奥に進んでいった。

できる限り気配を殺し、近付くと……。


「ギャアァァァーー!」

「「!?」」

「この声って……?」

「ドキュノ!?」


付き合いの長いカズナとフルカはドキュノの叫び声を聞き、急いでいった。

先走っているのは自覚しているが、嫌な予感がしてならなかった。

一つの部屋を見つけて入ろうとした。


「「!?」」


目に飛び込んだモノを見て、カズナとフルカは目を見開きながら絶句した。


「ウグググ……グワァァーーーー!」

「「ドキュノ!?」」


魔法を封じる鎖に繋がれ、身体中が徐々に赤黒く変色し、黒い呪印のようなものが全身に刻まれながらもがき苦しむドキュノの姿だった。

そこにはゼルナもいた。


「あら、カズナさんとフルカさん。来ちゃったの?」

「来ちゃったのじゃないわよ!アンタ、ドキュノに何してるの?誰が見てもこれ普通じゃないわよ!」

「ゼルナ!今すぐ止めなさい!」


カズナとフルカが深刻な表情でゼルナに問い質すも、当の本人はどこ吹く風だ。


「ゼルナ!もしかして……【黒魔術】や【死霊術】、いや【呪法】を使っているの?もしそうだとしたらただじゃ済まなくなるわよ!」

「ギルドの追放どころか、無期懲役、最悪死刑だってあり得るわよ!」


この世界において、スキルによる魔法と言う概念がある。

その中でも禁術と称されている【黒魔術】・【呪法】・【死霊術】の使用及び研究は万国共通で禁忌とされており、それを行い、発覚した者は非常に重大な厳罰を受ける事になる。

いずれも人体に害悪をもたらし、生きている人々に危険な結果しか招かないとされており、

故に存在自体がほとんど伝説のような概念として伝わっていた。

しかし……


「うるさい女共だ……」

「「!?」」


扉の向こうから一人の男の声が聞こえてきた。

少し長めな金髪のオールバックに中身が詰まった土のような茶色をした眼と端正な顔立ちをしており、黒衣に身を包んだ不気味さを醸し出す男性が現れた。

今追っている闇ギルドの幹部格であるビデロスだ。


「その男の魔改造の途中だ」

「馬鹿な事言わないでよ!」

「魔改造って何よ!こんなふざけた事、認められ……」

「「!?」」


喰ってかかるカズナとフルカだったが、それも一瞬で静まった。


「ほう、邪魔をするならば排除するまでだ……」


ビデロスの放つプレッシャーは、ただ力任せに圧し潰さんばかりのものではなかった。

深い闇へと吸い込まんばかりの暗く禍々しい覇気だった。

それを見たカズナとフルカは一瞬で表情を失くした瞬間……


「ハッ」

「「キャ――!」」


ビデロスが右手を前にかざすと、衝撃波のような黒い闘気が放たれ、カズナとフルカは部屋の外へ叩き出された。


(何、今のは……)

(こんな力……)


カズナとフルカもCランク冒険者、単独にしろ連携にしろ、強力なモンスターを相手に討伐をした経験のある実力者だ。

相手との力量差が分からないほど馬鹿ではない。

だからこそ、今ので悟った。


コイツには、勝てない……と。


「他愛もないな」

「カズナ!」


ビデロスが振りかざす黒塗りの剣がカズナに振りかざされそうになった瞬間、フルカが全速力で彼女の方へ飛んだ。


「アアァァーー!」

「フルカ!」


ビデロスの放った数個の斬撃によってカズナを庇ったフルカは背中を深く切り裂かれ、左脚も切断寸前までになっていた。


「【弓術LV.2】『トリプルシュート』!」


カズナは魔力を込めて弓を引いて矢を放ち、三本に分かれてビデロスに向かって飛んでいく。


「そんなものは効かん」

「そんな……」


ビデロスは剣を横一閃に振るい、矢を全て叩き落とし、カズナはどんどん士気を落とす。

続いてビデロスは剣を斜めに振ると、二つの黒い瘴気を纏った刃が飛んできた。


「攻撃とはこうするモノのだ」

「ウワアァァーー!」


カズナは咄嗟に身を捩るも間に合わず、右脚と左腕を深く切り裂かれてしまった。

腕は引っ付いているものの、満足に動かせない重傷だ。

フルカも既に満身創痍でドキュノを助ける余裕はとてもなかった。


「一人ずつ消していこう」

「うぅ……」


ビデロスはフルカに剣を振りかざそうとする……。


「くうぅ!」

「!?」


フルカは咄嗟に隠し持っている煙幕を投げ、煙が廊下内に広がる。


「うああぁーーー!」


フルカは【脚力強化】によってスピードを上げ、カズナの下に駆け寄る。


「カズナ!」

「フルカ……」


二人共動くのも厳しいはずだが、死にたくない思いで力を振り絞って逃走した。

ビデロスはその視線に目をやりながらゆっくりと追いかけていった。


「うぅ……あぁ……」

「よしよし、全体への浸透も終わったわね。では、これを使わせましょう……」


風前の灯火のような掠れた声しか出ないドキュノを見ながら、ゼルナは艶やかな笑みを見せていた。


手に握る禍々しい雰囲気を感じさせる槍を握りながら……。


回想終了———————


「それが本当ならヤバいぞ」

「考えていた以上に闇が深いわね……」

「あぁ……。禁忌と去れる魔法に手を染めていたとはな……」


怪我をしたカズナとフルカを担いでいるケインさんとフィリナさんは走りながら呟いた。

『魔術師』であるニコラスさんも渋い顔と冷や汗を隠せていない。


「皆!」

「ケインさん!」

「カズナさん!フルカさん!」


俺達は裏路地から出てきたケインさん達と合流し、意識が混濁しかけているカズナとフルカを見たクルスは驚きを隠せなかった。

【ベスズプレイフル】に所属する冒険者パーティー数組は避難誘導に当たっていた。


「避難状況は?」

「指定の避難所へと避難させ、概ね終わっています」

「分かった。エルニの回復は終わっているが、ほぼ動けない状況だ。彼女達も頼む」

「はい」

「トーマ君達に伝えておきたい事がある」


冒険者パーティー数組によってカズナとフルカを避難所へ運ばせていった。

そして俺はケインさんから話を聞かされた。


「な……、ドキュノさんが?」

「ゼルナの禁術によって魔改造された?」

「噓でしょ……」

「……」

「あぁ、信じられない話だが、カズナとフルカがそう言っていたんだ」


俺達は信じ難い話に顔を強張らせており、クルスも表情を失くした。

沈黙の間が続く事が数秒——————


「先ほどの女達の仲間か?」

「「「「「「「「!?」」」」」」」」


俺達は声のする方へ眼をやった。


「我々を嗅ぎまわる鼠どもが勢揃いしているとは、良い日になりそうだ」

「ぐふうぅぅぅぅ……」


そこに現れた人物に俺達は驚愕した。

クエストに参加してから追い続けた闇ギルドの幹部であるビデロスがいる事。

そして……。


「まさかとは思うが、クルス。あれって……」


ビデロスの隣には、怪しさしか感じられない槍を握り、体表が赤褐色に染まった肌に口から僅かに覗く長めの牙と生気が抜けたような白髪、漏れ出す禍々しい魔力と共に虚ろでけたたましい眼差しをしている、明らかに尋常ならざる人間がいる。


「壊す……潰す……」

「ド、ドキュノさん……」


ゼルナによって魔改造され、変わり果ててしまったドキュノの姿だった。


「うふふ、さあ、見せてもらうわ。私の下僕ちゃんの力を……」


数百メートル離れた距離にある建物の屋根から、身体全体を覆う黒いマントに身を包んだゼルナが妖艶な笑みを見せながら見物していた。




「面白かった!」

「続きが気になる、もっと読みたい!」

「目が離せない!」


と思ったら、作品への応援をお願い申し上げます。

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