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第5話 これがギルド飯だ‼

頑張って働いた後にお酒を楽しむ気持ちを描きました!

薬草を採取するクエストを終えてギルドに向かって受付のナミネさんに完了報告を行い、俺達は『ヒールグラス』50本を手渡した。

各街のギルドには専属の鑑定士を数名抱えており、いずれもその技量は一流である。

モンスターや素材の名前が判別できるのは言わずもがな、そのレベルが上がれば、【簡易鑑定】では分からなかった情報まで得られるとの事だ。

確かに戦闘向けのスキルではないものの、情報の有無が大事じゃない場面や状況、職業なんてあり得ないのも事実だ。

有意義な情報一つでも、仕事や生活を良い方向にも悪い方向にも導くのは俺の経験上よく理解しているつもりだ。

素材確認のために待つ事1分足らず、鑑定士から渡された紙や革袋を持ったナミネさんが口を開いた。


「クエストお疲れ様です、全て『ヒールグラス』である事が確認されました」

「同時にノルマより10本多く達成した事に加え、全て品質が良い状態で納品された事により、ボーナスアップとなります」

「本当ですか?ちなみにどのくらいに……」

「報酬の銀貨50枚にボーナスの意味で更に銀貨25枚です、お受け取り下さい」

「ありがとうございます」

「よかったですね、トーマさん!」


俺はセリカに褒められながら銀貨が合計75枚入った革袋を受け取った。

セリカも手伝ってくれたけど、今回のクエストは見守る体と言う形で俺の手柄になったため、また一つFランククエスト達成だ。

この調子で頑張ろうと意気込んでいた時にセリカが話しかける。


「トーマさん、あちらに飲食スペースと売店がありますよ」

「うん、随分と広いな……」


俺はセリカに案内されるまま、ギルド内の飲食スペースにある売店に向かった。

見た感じ、現実世界におけるフードコートの受付をイメージしており、普通の料理や美味しそうなお酒にジャンクフード、中には甘味類などを扱っている。

セリカはまず焼き物や揚げ物、酒類を扱う売店に向かった。

応対した相手は40代くらいの中年で黒いバンダナを撒きながら少しイカツイ風貌をした男性だが、客を前にして気さくな笑顔を見せる。


「いらっしゃいセリカちゃん、今日は何をって……、隣の兄ちゃんは?」

「はい、先日知り合った冒険者のトーマさんです!」

「どうも、初めまして。本当に先日デビューしたばかりでございまして……」

「おーそうかいそうかい、デビューにしては年を喰ってるようだがまあいいだろ」

「あのー注文で、ブラウンモウムのから揚げ二皿とピッツァ一枚、後エールを二杯下さい!」

「あいよ、合計で2000エドルだ!」

「どうぞ、大銀貨1枚と銀貨10枚です」

「まいど、すぐに用意するからな!」


セリカによるとこの売店の店長はバンさんと言い、彼女は何回も来ているらしく顔馴染みだった。

利用する人が多い事を見越してか、販売スペースも100人くらい入りそうなほど広く料理や販売をする人も多めである。

そうこう考えている間にバンさんが料理とエールを持ってきた。

から揚げは見ただけでカリカリしているのが一目で分かるくらいに火が通り、ピッツァもケチャップのようなソースにチーズが満遍なく散りばめられて焼き加減の絶妙さが食欲をそそる。

樽で使う木材でできたコップにはエールと言う黄褐色の液体に泡が立っている。


「へい、お待ちどお!」

「ありがとうございます……ってバンさん、から揚げがいつもより少し多い気が……」

「そいつはサービスだ、そこの兄ちゃんの冒険者デビューを祝うための俺からのささやかな気持ちだ!」

「あ、ありがとうございます!」

「いいって事よ!存分に食いな!」


バンさんは気前のいい笑顔とサービスで食べる前から嬉しい気持ちになった。

この人柄が気に入っているから常連になっている冒険者が多いのも納得だ。

俺とセリカは手を合わせた。


「ではトーマさん、いただきましょうか?」

「そうだね」

「「いただきます!」」


俺はまずから揚げを食べた。

サクッとした食感が分かる音を聞いて…


「う、美味い!」

「美味しいですよね、私はこのから揚げとエールを一緒に食べるのが大好きなんですよ!」

「何々…本当だ!このエールも美味しい!」

「このピッツァもチーズとソースが絶妙なバランスが取れてて……」

「慌てなくても料理は逃げませんよ」


から揚げだけでなくピッツァやエールも味わい、俺はセリカと食事を満喫した。


「うーん、美味しかった」

「ギルド飯を楽しんでもらえてよかったです!」

「ん?ギルド飯?」

「クエストを達成し終えてギルドが提供する飲み物や料理を存分に堪能する、通称ギルド飯ですよ!」

「普通に食事を楽しむのはもちろん、知り合った冒険者同士で情報交換し合ったり、交流を深めて社交場にしていける事もギルド飯なんです!」

「確かにそれって……楽しそうで有意義そうだね」

「そうですね!」

「どうします?から揚げとエールもう一つずつ注文しますか?まだお金はありますよ」

「じゃあ、お言葉に甘えて……」


しばらくしてセリカが注文した後にから揚げの器二つとエールの入ったコップが運ばれた。

俺達は明日以降のクエストや予定を中心に話し合いながらギルドでの楽しい時間を過ごしていった。


(明日も頑張りますか‼)


俺は気持ちを切り替えた。

仕事を頑張った後の夜の晩酌はやっぱり良いモノだな‼


今日楽しんだギルド飯を明日への活力にして、早くEランクに上がろうと奮起する俺だった。


「面白かった!」


「続きが気になって仕方がない!」


「早く次が見たい!」


と思ったら、作品への応援お願いいたします。

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