第41話 本番に向けて
Cランク昇格のかかったクエストに挑む前日譚です!
日々クエストと冒険に勤しむ中、Cランクへと駆け上がるための試験クエストを受ける事になった俺達【トラストフォース】。
「よし!剣や防具のメンテナンスはこれでOKだな!」
「はい!それから、体力や魔力を回復させるポーションも揃えておきました!」
「外傷用の回復アイテムも用意しました!」
「炸裂弾や煙幕も多めに用意しました!」
俺達は引き受けるクエストに向けての準備を行っていた。
Cランクの昇格がかかっているのもあって、いつも以上かつシビアに確認をしている。
「よし!採取系としか情報はないけど、途中で遭遇するモンスターとの戦闘に備えて、事前準備はしっかりと済ませて、今日は早めに寝よう!」
「そうですね!」
「「お休みなさい!」」
俺達は明日に備えて早めの睡眠を取る事になった。
俺はクルスと、セリカはミレイユと同じ部屋で睡眠を取ろうとしたのだが……。
数時間後—————―――――
「あのさ……、クルス……」
「何でしょうか?」
「改めて思ったんだけどさ……、俺達がCランクに駆け上がれるかどうかが明日に迫ってるって事なんだよな……」
「そうですね、やっぱり緊張してきます……。トーマさんもやはり……」
「うん。クルスの思っている通りだね……」
中々寝付けない俺はクルスに声をかけてみたが、彼もまだ眠りにつけてないようだ。
クルスも似たような経験をしたものの、試験クエストでもその時次第で内容も変わってくる事はあれど、Cランクに上がって大丈夫か相応しい内容の試練を経験している。
その時は同じ採取系であるが、その時は蓋を開けてみればモンスター討伐が中心になり、前パーティーのリーダーであるドキュノ主体で戦い、クルスはほぼ後方支援で収まったって話だ。
「何にしても、明日が勝負って事ですからね」
「そうだな……」
「トーマさん……」
「ん?」
緊張感が高まる中でクルスと会話をしている時だった。
俺が振り向くと、クルスは何故か正座をしていた。
「明日は……僕にできる事は全てやります!皆様のために精一杯努めていきます!」
「クルス……」
クルスは俺に向かって、ベストを尽くす事を約束する決意の表情を見せてくれた。
俺はその様相を見て、決心している事を一目見て理解できた。
「ありがとうな。俺もやれる限りの全てを尽くすよ……。勿論、無理しない範囲でだけどね」
「はい!誠心誠意やり抜きます!」
「じゃあ、寝るか!」
「“ブルースライム”を数えて寝ます!」
「何じゃそりゃ!」
そうして俺とクルスは改めて気持ちを確かめ合うのだった。
「セリカ……。私達もここまで来たって事なのかな?Cランク冒険者になれるかどうかの瀬戸際に立っているなんて……」
「そうだね……。私もCランク以上の冒険者と接点がないわけでなかったけど、自分がそのランクに上がれるかどうかになると、また違うからね……」
「だよね……」
セリカとミレイユも、緊張感を少なからず抱きながら眠りに着こうとしていたが、こちらも寝付けないようだった。
Cランク以上の冒険者といくらか接点のあるセリカも、その領域に自分が踏み込む事になれる状況の試練に直面したら、また質の違うプレッシャーを感じていた。
「セリカ、一ついいかな……」
「何?ミレイユ……」
セリカの部屋で一緒にいるミレイユも眠れないのか不安なのか、同じベッドで寝ていた。
セリカもミレイユも、Cランクに上がる事に関連する事象に出くわすのは初めてであり、得も知れぬプレッシャーを感じていた。
「明日のクエスト、どんな風になるのかな?採取系クエストにしたって、どんなモンスターに遭遇するかも分からないリスクはあるだろうけど、いざそうなるとって考えたら……」
「ミレイユ。それは言わないようにしよう……。私だって……」
セリカとミレイユはそれぞれの気持ちを打ち明け合っていた。
推薦を受けた形とは言え、いざその状況が近付くとプレッシャーを感じてしまうのは当然であり、俺達も緊張を抱かないでいれなかった。
「私だって、恐いよ。トーマさん達と出会う前まではね……」
「え?」
セリカはミレイユの手を優しく握った。
「少なくとも自分一人じゃやる勇気すら出てくるかも分からなかったけど、トーマさんと出会ったのをきっかけに、ミレイユやクルスとも出会って同じパーティーになった。背中を預け合って来た。だから今は思うの。皆と一緒なら、きっとできるって……」
「セリカ……」
Dランクパーティーがやるには決して不可能ではないものの、目的地や依頼者に会うまでは内容を全て聞かされていないため、正直に言えば未知数と言っても過言ではない。
知らない事へ安易に手を突っ込むのに恐い気持ちを抱くのは当然の感情だ。
それでも、セリカに不安の気持ちは渦巻いているけど、怯えている訳じゃない。
今セリカが言ったセリフも、本気で俺達を信頼していなければ、絶対に出て来ないセリフだ。
するとミレイユも優しく手に取った。
「そうよね……。セリカだけじゃない。クルスも、トーマさんもいる!それに、できる限りの準備だってしてきた。後は、全力を尽くして挑むだけよね……」
「うん!必ずやり遂げよう!」
ミレイユの目にも勇気が籠り始めてきた。
全員、心身共に充実したような気合いを持っている。
明日は必ずやり切ろう!
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