第262話 【エレーナ視点】あの日の決断
エレーナがメインのお話です!
わたくし達Bランクパーティー【トラストフォース】はクエストや休養のサイクルをしながら冒険者生活を送っていた。
「ふう~。天気がいいですね~」
本日は休養日を取っており、トーマさんとセリカさん、ミレイユさんとクルスさんは冒険や日常生活で必要な消耗品の買い出しに出ており、わたくしは拠点としている家でお留守番をしています。
暇を持て余さないため、お父様やお兄様に近況を報告するお手紙をしたためた後、ハーブティーを味わっております。
「……。トーマさん達と出会ってからかなり日が経ちましたね」
(もう一年以上か……)
わたくしはテーブルにある写真立てを一瞥し、そこにはビュレガンセでもリゾート地として有名なルゾイエンに皆で行った写真があります。
トーマさん達と一緒に水着姿になって楽しい時間を過ごした思い出はわたくしにとって宝物のようでした。
大切な方々と過ごす時間はお金で買う事なんてできませんから。
「わたくしは本当に恵まれていますね……」
そう呟きながら、わたくしはトーマさん達との日々を振り返っておりました。
初めてトーマさん達と出会ったのは、お父様が主宰されたわたくしをどのパーティーに入れるかの選考会です。
当時はCランクでした。
トーマさん達のパーティーを見ていて最初に思った事と言えば、随分と年齢差に開きがある面子だと今でも印象に残っています。
少し変わったパーティーだなと感じながら、わたくしの【支援魔法】でどこまで強力なモンスターとやり合えるのかを見守りました。
(心を揺さぶるような何かが確かにありましたね……)
完璧と言っても大袈裟ではない連携力はもちろんですが、一人一人がわたくしの心を震わせるような躍動感を持っていると素直に感じました。
それが決定打となって、わたくしはトーマさん達のパーティーに入る決意をしました。
そして、彼らの仲間になりました。
それからのわたくしは授かったギフトである『付与術士』のスキルを遺憾なく発揮していくようになり、トーマさん達のサポートを担っていきました。
(それに、皆さんも良い人ばかりだから……)
身を置いている冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】に所属している先輩の冒険者の皆様は良い方ばかりであり、Bランク以上のパーティーは実力も人格も相応しい方々であり、Bランクに上がった現在でも敬意を抱いております。
わたくしが所属する事になった【トラストフォース】の皆様も、伸び代のある潜在能力を持っているのは確かですが、人柄も良い方ばかりです。
『シーフ』のクルスさんは本当に真面目で律儀な方であり、高い感知能力や勘の良さで戦闘はもちろん、地形把握を始めとする斥候役としても非常に優秀です。
クエストの下準備や情報収集、冒険に出るための雑務も丁寧にこなしますので、クエストはもちろん、日常生活においても助けられています。
『魔術師』のミレイユさんはわたくし達の事を慮って行動できる思いやりのあるお方であり、明るくも知性のある女性です。
魔法による中遠距離攻撃で援護する事もあれば、強力な魔法でモンスターの殲滅やトドメ役を担ってくれます。
消散作用のある『ヌルマナ』を纏った魔法も使いこなせるようになっており、とても頼もしい戦力となりました。
『軽戦士』のセリカさんは謙虚なしっかり者であり、常に仲間の事を気に掛けて下さる聡明でお優しい方です。
高い剣術と機動力を持ち、【風魔法】や【雷魔法】を交えた戦法は素晴らしいの一言に尽き、パーティー内においてはサブリーダーとして支えてくれています。
最近では元々の才能が開花していくように実力をドンドンと上げています。
そして、珍しいギフトで知られる『何でも屋』のトーマさんはパーティーのリーダー格として、わたくし達を引っ張って下さり、仲間を大切にしようとする気持ちが何よりも強く心優しいお方です。
様々なスキルやトーマさんだけが持つユニークスキルで多くの戦いや困難を乗り越えてこれたと言っても大袈裟ではありません。
わたくしよりも一回りほど年上なだけに大人な雰囲気を持っており、お兄様のような気品とかはございませんが、その分、一線を引かなくてもいいような距離感で友好的に振舞うので、一緒にいると、どことない安心感を与えてくれます。
強さだけじゃない、人柄や人間性の素晴らしい仲間に恵まれたと心から思っております。
そして、このように結論付けてもいます。
(トーマさん達のパーティーに入って良かった……)
トーマさんは信頼に足るリーダーで、クルスさんは誠実で信じられる仲間。
そして、セリカさんとミレイユさんは同年代の女性として気の通じ合える仲間であり……。わたくしのかけがえのない親友です。
わたくしの決断は正解でした。いえ……。正解にする事ができたと言う表現の方が適切でしょう。
「もっともっと、皆さんでいろんな事をしてみたいな……」
写真を見ながらそう呟くわたくしでした。
「「「「ただいま~!」」」」
「あっ。お帰りなさい」
夕方になる頃、トーマさん達は買い出しを終えて帰って来ました。
何でも、Aランクの昇格を懸けたクエストに臨んでいたBランクパーティー【ディープストライク】のケインさんやフィリナさん、同ランクのパーティー【ブリリアントロード】のウィーネスさんやリエナさんと再会したとの事であり、夕飯はその話題で盛り上がるのでした。
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