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第261話 【ミレイユ視点】カッコいいな……

少し遅れてしまい申し訳ありませんでした!

私達はBランクパーティー【トラストフォース】。

クエストや休養のサイクルをしながら冒険者生活を送っていた。


「何かごめんね~!一緒にお茶する流れになっちゃって~!」

「いえいえ、僕達も久しぶりにお二人と会えて嬉しいです!」

「そうだな。確かにこの数カ月はティリルから離れていたから、君達の顔を見ると、何かホッとしそうになるよ」

「そんな。でも、褒め言葉として受け取りますよ。ケインさん。フィリナさん」


私はクルスと一緒にアイテムの買い出しに出掛けており、ティリルにある一軒の喫茶店で休息をしている。

途中でBランクパーティー【ディープストライク】のリーダー格であるケインさんとフィリナさんと鉢合わせ、成り行きのような形で一緒にお茶をする事になった。

ケインさん達はAランクの昇格を懸けたクエストで遠いところへ赴いていたが、最近ティリルに戻ってきたとの事だ。

ケインさんの他にも3人のメンバーがおり、『僧侶』のエルニさんは拠点にしている家で留守番をしており、『魔術師』のニコラスさんと『重戦士』のマーカスさんは鍛錬に勤しんでいると教えられた。

世間話や互いの近況報告をしばらくしている時だった。


「……」

「ん?クルス。どうした?」

「え?あの、その……」


クルスだけは何か言いたくて仕方ないような表情をしているのを察したケインさんが気に掛けるように話した。


「その……。ギルドで教えられたんですけど、昇格を懸けたクエスト……残念でしたなって思いまして……」

「「「……」」」


今でこそこうしてケインさんとフィリナさんと楽しく過ごせているものの、私達は既に知っている。

ケインさんが率いる【ディープストライク】がAランクの昇格を懸けたクエストが失敗に終わってしまった事を……。

【ディープストライク】の皆さんだったらきっと……って思っていたところがどこかにあっただけに、私も落胆の念を持っていた。


「本当に今回は。その……」

「それについて心配してくれるのは嬉しいが、そこまで引きずってないぞ」

「え?」


言葉に詰まる私に対し、ケインさんが言った。


「準備に時間も掛けて腹を括って臨んだけど、思うような結果にならなかった時にはショックを受けたのは確かだ。同時に自分の未熟さも思い知らされた。けど、未熟さを知ったからこそ、もっと成長できる事にも気が付けたんだ。それは俺だけじゃない。フィリナやニコラス、エルニやマーカスも同じ事だ」

「はぁ……」


そう言うケインさんの表情に憂いは無く、隣にいるフィリナさんも納得したように微笑を浮かべている。

ケインさん達は私やクルスが冒険者になった頃から界隈では名前が知られており、実力の高さや人徳もあってギルド内では一目置かれているし、国内でも名前が届いているほどだ。


「だからこう思うようにしているんだ。惜しくも届かなかったけど、これで終わりじゃない。足りない物が分かったならば、いくらでも対策や方法もある。とな」

「今回のAランクの昇格を懸けたクエストは誰がどう悪いとかじゃなくて、一人一人にも原因や理由があったし、誰かを責める筋合いがなければ、失敗に終わった事をいつまでも悔いていたってしょうがないしさ。それに、下を向いてばっかりじゃ前にも進めない事も今回の挑戦で改めて知る事ができたから、有意義な経験ができたと思っているくらいだし!」


迷いなく言い切るケインさんとフィリナさんだった。

Aランクには至れなかったとしても、少なくとも中身はそれに相応しい人格者であり、不安を抱かせない気概を持った、本当にカッコいい人達だって思わせてくれる。


「Aランクの称号を勝ち取った冒険者は皆……。ケインさん達が味わってきた、味わうだろう事柄を何度も何度も乗り越えてきたんだなって思いますよ」

「そうかもな」


Aランクパーティー【ノーブルウィング】、ベカトルブを拠点にする冒険者ギルド【アンビシャノブアレス】に所属する【飢狼団】、ウェシロスを拠点にする冒険者ギルド【ティア―オブテティス】に所属する【ヴァルキリアス】は今の私ではイメージできないような挑戦とクエストを乗り越え続けてきたんだって事実に改めて敬意を抱いた。

少なくとも、私が出会ったAランク冒険者は実力も非常に優れた人格者揃いだ。

自分もなれればなって言う、一種の目標も……。


「よかったら、挑戦中にどんな事があったか聞いてもよろしいでしょうか?赴」

「僕も聞いてみたいです!」

「う~ん。クエストの中身は極力口外しないように言われているが……」

「クエストの中身以外だったらいいでしょ?赴いた街とか食べ物とか道中で何があったかくらいなら問題ないと思うよ。例えばケインが目的地に向かう道中にうっかり食べ過ぎて……」

「フィリナ!」

「え?何があったのでしょう?」

「ミレイユ達も深掘りしようとしない!」


その後、私とクルスはケインさんとフィリナさんのAランクの昇格を懸けたクエストに関係する話を聞いては盛り上がるのだった。

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