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第246話 どす黒い予感

あの黒い魔力が再燃します。

晴れてBランク冒険者へと昇格する事になった俺達【トラストフォース】。

いつもの日常に戻る中、俺達はクエストのため、クルスの生まれ故郷であるビラドを訪れる事となった。

そして、被害の元凶となっている“ワーウルフロード”と相対するのだった。


「グガァアアアア!」

(((来る!)))


“ワーウルフロード”は野太い棍棒を振り上げながら、俺とセリカ、クルスに突進してきた。

速さはあるが、直線的だから問題なく回避し、迎撃態勢を取る。


「フン!」

「【土魔法LV.1】『アースバインド』!」

「【氷魔法LV.2】『メガブリザード』!」

「グゴォオオ!?」


まずはクルスが炸裂弾で牽制をし、俺は“ヴァラミティーム”を杖に変化させて土で作られた縄で“ワーウルフロード”の両腕を縛り、ミレイユは吹雪でその下半身を凍らせていく。

出だしは上々であり、俺とセリカが追撃しようとした時だった。


「グ……グガァアアアア!」

「「「「「ッ!?」」」」」

(マジかよ!?【土魔法】と【氷魔法】による拘束を強引に……。それに……)


何と“ワーウルフロード”は周囲を振るわすような咆哮を上げると、不自由になっていた両腕と下半身の拘束を力業で破った。

それと同時にある事に……。知らないうちに忘れかけていた黒い記憶が断片的に蘇ってくる事に気付いた。


(この禍々しい魔力とオーラ。イントミスの件で体感した、あの……)


そう、かつて闇ギルドの事件で遭遇したどす黒い魔力を“ワーウルフロード”が放ち始めているのだった。

それを感じ取ったセリカやミレイユ、エレーナも警戒心を一層高めている。

一体どうしてって思案も過ったけど、今は目の前の敵に集中せねばと気持ちを切り替えていく。


「フン!」

「グゥォオ!?」

(まずはヘイトを僕に集める!)

「皆!」

「あぁ!」

「【風魔法LV.2】『ウインドジャベリン』!」

「【炎魔法LV.2】『フレイムジャベリン』!」


クルスは投擲用ナイフで“ワーウルフロード”を牽制し、俺は接近してセリカとミレイユも援護する。

エレーナもチャンスを待つように状況を見据えている。

だが、“ワーウルフロード”はタフネスも中々に高いため、パフォーマンスを落とす事なく、握る棍棒やかぎ爪を振るいながら暴れ回っている。

俺はクルスと共に引っ掻き回すように立ち回り、セリカは援護しつつミレイユとエレーナに被害が及ばないように動いている。

攻撃はいくらか当ててはいるものの、あの禍々しい力の恩恵もあるからか、勢いがどうにも衰えない。

あの時は人間相手であり、今回はモンスターが相手だから、容赦なく討伐にいける事そのものは助かっているくらいだけど、凶暴な事に変わりないから用心しないといけない。


「ハァアア!」

「フゥウン!」

「ガァアアア!」


俺とクルスは攻撃を加え続けているが、“ワーウルフロード”は削られながらも抵抗してくる。

下位種である“ワーウルフ”達を束ねるだけに、その戦闘能力はかなりのものであるだけでなく、時折、後衛に控えているミレイユとエレーナを狙わんばかりのモーションまで仕掛けるから厄介だ。


「グゴァアアア!」

「くっ!」

(すぐに倒せるのがベストだけど、あの魔力のせいか、痛みを感じないようにも見える)


状況は俺達に分があるのは確かだが、押し切れてないようにも見えてしまう。

隙を見て強力な一撃をぶつけるつもりだが、アドレナリンが放出しているかのように荒れ狂っているせいで中々近付けない。

手負いの猛獣は強いとはよく聞くけど、その表現でも足りないと思っているのは俺だけじゃない。

突破口を見出そうとしている時だった。


「グルルルルゥウ……」

「ん?」

(何だ?黒い魔力がどんどんと……)


俺は“ワーウルフロード”の身体から赤黒い魔力のような残滓が滲み出ているのを感じ取り、反射的に距離を取った。

その瞬間。


「ガァアア!」

(これは?)


“ワーウルフロード”の振り下ろした左手から魔力を纏った斬撃のような一撃が周囲を吹き飛ばし、大したダメージは受けていないものの、俺とクルスの身体は突風で煽られた看板のように舞った。


「マジかよ……?」

(やっぱり、思い過ごしじゃなかったんだ)

(予想はしていたが、あの黒い魔力が強力なパワーアップを施しているんだ)

(間違いない……。コイツ……)

「「「……」」」


さっきの禍々しい魔力を乗せた一撃を見て俺達は確信した。


(このモンスター……。魔改造のような処置を施されている……)

「グルルルル」


そう、相対している“ワーウルフロード”の纏う悍ましい魔力の正体、それはかつて闇ギルドの事件で遭遇したビデロス・ガルランの持っていた魔力と余りに似ているのだった。

量も質も流石に劣っているものの、モンスターがどうしてあの力を得たまま放置されていたのかを考えずにいられなかった。

その事実だけでも、今回受けたクエストを只のクエストとして捉える訳にもいかなくなってしまったからだ。


「トーマさん!」

「セリカ!分かってる!」

(このモンスター……何者かの手によって生み出された可能性が高い。けど、今は集中しろ!倒すか退くかのラインも見極めるんだ!それから……)


表情は深刻になりつつも、再度“ワーウルフロード”と向き合うのだった。


同時に俺達は窮地を覆す一つの奇策に打って出る事を決断する。

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