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第239話 【セリカ視点】女の裸の付き合い

女性メンバー同士でお風呂に入ります!

晴れてBランク冒険者へと昇格する事になった私達【トラストフォース】。

いつもの冒険者生活を送る中、ビュレガンセ王国騎士団東方支部のトップであるナターシャさんらと共にビュレガンセ王国第二王女のリリーネ・デュ・ビュレガンセ様を護衛し、王都ファランテスまで辿り着いた。

何とビュレガンセ王国を治める女王陛下であるアイリーン・デュ・ビュレガンセ様と謁見する機会を得た後、宴席の場まで招待されたのだった。


アイリーン様の計らいで開かれた宴席も終わった後、私とミレイユ、エレーナはある場所に来ている。


「「「おぉお~~~!」」」


そう、ビュレガンセの王宮にあるお風呂だ。

白を基調とした大理石を中心に豪華さを感じさせるような内装になっており、私が所属している冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】の一階と同じくらいの広さだった。

浴槽も十数人が入って足を伸ばしてたとしても、全く窮屈に感じないほどに広い。

こう言ってはあれだけど、エレーナの実家のお風呂やヒライト子爵家の屋敷にあるお風呂よりも広くて絢爛であり、王族とそれ未満の貴族階級の差をまざまざと感じざるを得なかった。

リリーネ様から「遠慮なく使って下さい」と言われはしたものの、いざそうなると緊張を抱かざるを得なくなっている。


「せっかくの機会なので、入るとしましょう」

「そ、そうね……」

(流石はエレーナ。高級感のある空間への耐性が凄い……)


エレーナの胆力と言うか、適応力と言うかは分からないけど、こういうところの頼もしさは時折覚えざるを得ない。


「ふぅう。確かに湯加減は最高ね……」

「癒される~」

「心地の良い香りも漂って来るので、リラックス効果も上がっている気がします……」


いざ湯船に浸かってみると、広大で清潔感も抜群な空間が醸し出す雰囲気に加え、絶妙な温度と芳しいフレグランスもあって、最高に癒された。

トーマさんとクルスも男風呂のお風呂に入っているのだが、多分似たような意見が飛んで来るのはイメージできるだろう。


「にしてもリリーネ様の護衛をする事になっただけじゃなくて、あんなに豪勢な食事を振舞ってもらえたばかりか、こんなに豪華なお風呂にまで入れてもらえるなんて、本当に人生って何があるか分かったもんじゃないわね」

「そうですね。こんな経験ができるのも、冒険者ならではかもしれませんわね」

「花びら入りのお風呂なんて初めて入ったわ。どこかで買えないかな?」

「王都のショップだったら多分あると思いますよ。前に来た時に見た事があるので……」

「マジ!?」


存分にリラックスできているお陰で、会話にも華が咲き始めていった頃だった。


「我々も湯船に浸からせてもらうぞ」

「「「ッ!?」」」


声を掛けてきたのは、ビュレガンセ王国騎士団東方支部の隊長を務めているナターシャさんであり、部下の女性騎士数名も追随する形で入ってきた。


「ナターシャさん。それはいいんですけど、お仕事は一段落着いた感じでしょうか?」

「あぁ。今日中にすべき事も終わったからな。アイリーン様から入浴する許可を貰った」

「そうなんですね」


どうやら仕事終わりの入浴らしかった。


(にしてもナターシャさん……)

「どうしたセリカ?」

「いえ、何でも!」

(スタイル凄く良い!)


お風呂に入る時に使う湯浴み着越しでも分かるくらいにナターシャさんのスタイルは抜群だった。

ナターシャさんもその辺の女性よりも身長は高く、両手脚もすらりと伸びたスレンダーな体型でいながらも、筋肉質でいつつ肉付きもほど良かった。

Bランクパーティー【ブリリアントロード】のリーダー格であり、私が憧れる女性冒険者の一人であるウィーネスさんに負けないくらいと言っても不思議じゃない。

他の女性騎士の皆様も鍛え引き締まった身体つきをしている。


「ふぅう」

「お疲れ様でした」

「あぁ。ありがとう」


ようやく一息ついたように振舞うナターシャさんに私は労いの言葉をかけた。

普段は東方支部の隊長として気を張っているナターシャさんだけど、お風呂の癒され効果もあってか、その表情は穏やかだった。

凛としている時も美しかったけど、ゆったりした様子もまた美しかった。


「セリカ。ミレイユ。エレーナ。今回はリリーネ様の護衛に協力してくれた事、心から感謝する。ビュレガンセ王国騎士団東方支部の隊長の私が代表して礼を申し上げる」

「そ、そんな。当たり前の事をしたまでですよ」

「そうか……。随分と謙虚だな」

「……」

「エレーナ。どうかした?」


ナターシャさんは礼儀正しく私達に頭を下げている。

その様子をエレーナは凝視しており、ミレイユが確認を取った。


「こうしてナターシャさんを見ていると、あの騎士とは全然違うなって思うんですよ」

「あの騎士って、もしかして、ウェシロスの事件に関わっていた……」

「ノージンの事か?」

「はい」


ミレイユやナターシャさんの質問にエレーナはそう答えた。

それはかつてウェシロスで起きた汚職事件に関わっていたビュレガンセ王国騎士団西方支部の前隊長だったノージン・メノオの事だった。

確かエレーナって、今の西方支部の隊長であるエルヴォス・ブレドランさんとノージンの決闘をトーマさんと見たとか言ってたね。


「そのノージンとナターシャさん、本当に同じ騎士なのかって疑うくらい、実力はともかく人間性が真反対ですので……」

「あんなあくどい事をしでかしていたくらいだったからね」

「ノージンか……」


エレーナとミレイユがノージンについての話題を出すと、ナターシャさんは少し儚い表情を見せた。


「定期的に開かれる騎士団会議でも何回か顔を合わせた事はあったが、確かにあの男とは私と価値観が合わないところが多かったな。考え方もそうだが、騎士にしては損得勘定や打算的な面に加え、野心家な要素が強かった。上を目指す騎士も一定数いるが、ノージンはその典型例だったな」

「思い返せば、お金がどうのとか必死で働いているのに何とか言ってましたね」

「腐敗した貴族と裏で繋がっていた事を知った際には、驚くしかなかったよ」


予想はしていたが、ナターシャさんとノージンは不仲であった。

まぁ、貴族と癒着しては悪事を働くような騎士がナターシャさんと仲良くやるような真似ができるとは思えないしね。


「それをセリカ達が協力してくれたお陰で、騎士団の腐敗の蔓延を防げたんだ。本当にありがとう」

「そんな事は……」


最初に出会った時、西方支部の腐敗を解決する事に貢献した件について感謝されたが、改めてお礼の言葉を言われた。

守るべき人のために戦い、助けになる事をしてくれたらしっかりと感謝の意を示すその姿勢は正に騎士としての姿だった。

ナターシャさんは騎士として模範的な人物である事が改めて分かる。


「本当にナターシャさんって真面目で誠実な人柄していますね……」

「そうね。ティリルがナターシャさんの管轄している東方支部で本当に良かったわ」


っと、エレーナとミレイユがボソッと呟いていた。

本当にその通りだと思う。

硬い話はそこそこに、ゆったりした雰囲気で私達は色々なお話をした。

その中で驚いたのは……。


「え?ナターシャさんって貴族家系の生まれなんですか?」

「あぁ。セリカ達にはまだ言ってなかったな」

「確か、セルロイテ家はビュレガンセの中でも古くからの名家で知られる子爵の爵位を授かっており、王都ファランテスからより南に位置している領地を治めていると記憶しているのですが……」

「その通りだ。私は三人兄妹の末っ子で唯一の女性でな。家督を継ぐのとは縁遠い立場だから、自分が進みたい進路を進んでいるって訳なんだ」

「なるほど……」


何とナターシャさんは貴族階級の出身であり、私に続く形でエレーナが追うように質問したところ、正解のようだった。

初めて会った時から騎士としての振る舞いもそうだが、凛としつつもどことなく上品な雰囲気を醸し出していたから良いところのお嬢様ではと予想していたけど、当たっていた。

同時に家柄を知った時、私は思った。


(私……。とんでもない方と懇意になっちゃたの~~!でも、嬉しい!)


そんな気持ちを抱きながらお風呂を楽しむ私だったのだ。

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