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第237話 宴席からの……

お話の後半に衝撃展開が……。

晴れてBランク冒険者へと昇格する事になった俺達【トラストフォース】。

いつもの冒険者生活を送る中、ビュレガンセ王国騎士団東方支部のトップであるナターシャさんらと共にビュレガンセ王国第二王女のリリーネ・デュ・ビュレガンセ様を護衛し、王都ファランテスまで辿り着いた。

何とビュレガンセ王国を治める女王陛下であるアイリーン・デュ・ビュレガンセ様と謁見する機会を得ただけでなく、宴席にまで招待され、ビュレガンセ王国の第一王女リリーネ・デュ・ビュレガンセ様を紹介される事となった。


(うわ~。美しさと気品が迸る~~!)


並んで立っていると若干の違いはあるものの、血の繋がった家族だなって一発で分かるし、何よりも揃っているだけで絵になりそうだ。

成人している娘二人の母であるアイリーン様もそれを感じさせないくらいに若々しい美貌をしており、実子であるミーシャ様とリリーネ様も負けず劣らずである。


「有難きお言葉、恐悦至極でございます」

「そう固くならないで下さい。今回の宴席もお礼と感謝の意味で開いておりますので、皆様も心ゆくまでお楽しみいただければ幸いです」

「では……。お言葉に甘えて……」


俺は再び感謝の言葉を伝えると、アイリーン様は優しく微笑んだ。

それからはアイリーン様、ミーシャ様、そしてリリーネ様も参加された。


「まぁ。そのような凶暴なモンスターを倒してここまで来たと……」

「はい。皆と協力し合ったお陰で乗り切る事ができました」

「主にやったのはトーマさんとクルス、エレーナなんですけどね。私はどちらかと言えば、立っていただけのようなものでしたので……」

「セリカさんが守る姿勢を取って下さったからわたくしも安心して援護できたのですよ」


宴席が進むと、少し酒も入ったとは言え、俺達の緊張も解れていった。

俺とセリカ、エレーナはミーシャ様と。ミレイユとクルスはリリーネ様と会話に華を咲かせている。

アイリーン様はナターシャさんと何か話しているようだが、機会があれば伺うとしよう。

冒険の話をしていたら、ミーシャ様は興味深く聞いている。


「羨ましいですわ。お仲間と一緒に様々な場所を冒険して、誰かの役に立って伸び伸びと動き回れるのは……」

「やはり、余り自由な時間が取れないのでしょうか?」

「わたくしはビュレガンセ王国の第一王女であり、王位継承権は最優先となっております。故に、国家統治や他国との外交を始めとする公務や視察、それに付随する勉強やお見合い等に追われておりますので……」

「そうですか……。王族も大変なのですね」

「ふふっ。いつもそうとは限りませんから。それに、時々トラブルに見舞われる事はあっても、わたくしはビュレガンセと言う国を愛しています。今の国家の状況も、お母様やその先代、更に先々代が弛まぬ努力によって築いてきたからだと信じておりますし、わたくしはそれに応えたい。もっともっと素晴らしい国にしていきたい。そう思っています」

「ミーシャ様……」


そう言うミーシャ様は希望に満ちているようにも見えた。

ミーシャ様はビュレガンセの第一王女であり、言ってみれば、現在の女王陛下であるアイリーン様の後を継ぐ可能性が最も高いって意味だ。

国を治め、発展させていくのが王族の務めである以上、そのための勉強は欠かせないのも事実であり、王女としての責務を果たすと言うのは、俺達のような普通の人間の想像力で収まる事ではない。

だが、ミーシャ様はそれを苦労と捉えずに活力に変えようとしていける人だと分かった。


「私も……この国が好きですよ」

「私もです」

「わたくしも同じく」

「ふふっ。そう言っていただけると嬉しく存じますわ……」


ミーシャ様は綺麗な花のような笑顔を浮かべた。

ミレイユとクルスもリリーネ様と今まで経験してきた冒険や今回の護衛についての話題で盛り上がっているようだ。

聞いているリリーネ様も興味深そうに聞いている辺り、楽しんでもらえているのが分かる。

それからしばらく時間が過ぎた頃だった。


「あら。ミーシャと仲良くやっているようですね」

「アイリーン様!」


俺の下にアイリーン様がやってきた。

その場ですぐに立ち上がって頭を下げようとしたら、アイリーン様に手で制された。


「今回の宴席は其方達のために開いたのです。逆に気を遣わせてしまっては本末転倒でしょう」

「は、はぁあ……」

「お母様もこう申しておりますので、トーマさん達もお気になさらないで下さい。好きで振舞っているだけですので……」

「ありがとうございます」


確かにこれだけ豪勢な料理や飲み物を振舞われたら、悪戯に断るのも却って失礼だろう。

そう思って俺は料理に一口付けた。


「ミーシャ。少しの間だけで構わないから、トーマと二人だけで話をさせてもらいたいのだけど……」

「私と?」

「えぇ」


何とアイリーン様との二人きりの会話に誘われた。

おいおいおいおいおいおい、何かとんでもない展開になったような気がしてきたぞ。


「あら。せっかく盛り上がってきたのに……」

「少しだけよ。後で戻すから、その時に存分にお話しなさい」

「かしこまりました」

「私達でよろしければお相手になりますよ」

「わたくしも王室について色々とお伺いしたく思っておりますので……」


ミーシャ様は少しだけ不満げな表情をしているが、それもまた可愛らしい。

俺はアイリーン様と話をするために一旦席を立ち、セリカとエレーナがミーシャ様の話し相手役を買って出てくれた。

二人がいるなら大丈夫だろう。


「ふう……。夜風がいつになく心地良いわ……。トーマもそう思わない?」

「はい。仰る通りでございます」


俺達がいた部屋には少し広めのテラスがあり、気持ちの良い風がそよいでいる。

すると……。


「【付与魔法LV.3】『サイレントヴェール』!」

「ッ!?」

(アイリーン様?)


何とアイリーン様が【付与魔法】を発動し、俺は驚いた。

まさか魔法が使えるとは?


「驚いた?私のギフトは『付与術士』。この魔法は強い遮音効果のあるヴェールで周囲を包み込むの。内密なお話をするには持って来いなのよ」

「は、はぁあ……。そのような魔法を使うと言う事は、他者に知られるのはマズイ事をお話するって意味でしょうか?」

「マズいと言うよりも、できるだけ内密にして欲しいお話よ」


俺は今日だけで何度ビックリしたか数える事を放棄した。

間を置いて冷静になってアイリーン様と向き合う。


「まずはいくつか質問をさせてもらいたいのですが、其方のギフトは『何でも屋』で間違いないでしょうか?」

「は、はい!」

「腰に携えているのは“ヴァラミティーム”で間違いないでしょうか?」

「間違いございません」

(何が聞きたいんだろうか?)


俺は少しの警戒感を抱きながら、アイリーン様からの質問に対して素直に答えた。


「そう……。やはり……」

「アイリーン様?」


アイリーン様は納得がいったような表情を見せた。


「結論から言わせてもらうとトーマ。其方はこの世界と違う異世界からやって来たのでしょう?」

「え……?」


その言葉に俺は絶句した。

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