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第235話 謁見

ビュレガンセのトップと謁見です!

晴れてBランク冒険者へと昇格する事になった俺達【トラストフォース】。

いつもの冒険者生活を送る中、ビュレガンセ王国騎士団東方支部のトップであるナターシャさんらと共にビュレガンセ王国第二王女のリリーネ・デュ・ビュレガンセ様を護衛し、王都ファランテスまで辿り着いた。

そして、リリーネ様の計らいで王宮まで通される事となったのだが……。


「ビュレガンセ王国の女王陛下と謁見!?」

「あぁ。リリーネ様がシーゾスに着いてから王宮に戻るまでの経緯をお伝えしたところ、襲って来たモンスターの討伐によって守っていただいた冒険者達に今一度会っておきたいとアイリーン様が仰ったようなのだ。現時点では幸いな事に女王陛下、第一王女と第二王女も急くべき公務等もなく、暇を持て余しているようなので、叶うならば是非にとの事だ」

「「「「「……」」」」」


俺達はナターシャさんから伝えられた突発的で仰天するような話を聞いて驚くしかない気持ちとなった。

だって、あれだよ。ビュレガンセ王国第二王女であるリリーネ様の護衛のお手伝いみたいな感じで参加したんだけど、そのリリーネ様とお近づきになってお礼を言われただけでなく、ビュレガンセを治めているトップとその王女殿下御二方との謁見だよ。

これを晴天の霹靂と言わずして何と言うの?他の表現があるならば教えて欲しいくらいなんだけど!

……って考える俺達だった。

俺はセリカ達と集まって、どうするかを考えて話し合った。

それから一分ほど……。


「承知しました。女王陛下と王女殿下らの謁見、引き受けさせていただきます」

「ありがとう。謁見の間まで私が案内する」


俺達はその謁見の間に行く事を決意した。

正直に言って、国の頂点に立つ人物の前に立つのは想像もできないプレッシャーに襲われるのは必然だ。

だが、このような機会を無駄にしてしまいたくない自分もいる。

緊張感が高まっているのは確かだけど、同時にワクワクもしているから。

しばらく廊下を歩いていると、一つの扉の前に辿り着いた。


「お待ちしておりました」

「女王陛下が謁見の間にて、お待ちしております」

「は、はい……」


謁見の間に続くだろう扉の前に立つ2名の兵士がそう言うと、緊張感が更に高まった。

貴族の娘であるエレーナはともかく、俺やセリカ、ミレイユやクルスは身構えてしまいそうなくらいになっている。

軽くではあるが、エレーナから王族と向き合う際の礼儀作法を教えられたものの、いざその状況となれば問題なく実行できるかどうか内心不安になる自分がいるのもまた事実。

さっきまでワクワクしていたんだけど、今はハッキリ言って、心臓がバックバクだ。

だが、いっその事、好奇心に身を委ねて踏み込もうって気持ちもあったりする。

そんな考えを他所に、扉が開かれた。


「こちらだ……」

「はい」


俺達はナターシャさんの先導によって、導かれるように入っていく。

入ったその先には……。


「お、おぉお……」


シンプルながらもところどころに絢爛な装飾品が施された洗練された広大な部屋だった。

扉から奥まで伸びたふかふかの赤い絨毯は歩くと足が沈んでしまいそうな感触を与え、靴のまま踏んづけるには若干の抵抗感がある。

天井には大きくも煌びやかシャンデリアが吊るされ、部屋の端には動物を象った石像が数ヶ所置かれている。

入り口から玉座まで伸びる絨毯の左右には規則正しい間隔で騎士や『魔術師』らしき人物が十数人ほど立っており、いずれも実力者である事を悟らせる。

中にはビュレガンセの統治に携わっているであろう為政者らしき豪奢な貴族服に身を包んだ人物も数名いる。


「トーマ・クサナギ。セリカ・ブレンフィア。ミレイユ・パプリフォス。クルス・ロッケル。エレーナ・ハイレンド。前へ」


驚きの表情を押し殺しながら、奥にある玉座の数メートル前まで進み、丁度いいポジションまで着いたらその場で傅く。

俺の前にナターシャさんら騎士数名。横にはセリカとエレーナ、すぐ後ろにミレイユとクルスがおり、全員同じ姿勢を取っている。


「面を上げよ」


その沈黙を破ったのは……。俺達の目の前にいるのは……。


(あの方が……)


腰よりも伸びた輝く様な白銀色のロングヘアーにエメラルドのように輝く吸い込まれそうな澄み切った瞳、銀世界に広がる雪にも負けないほどに白く滑らかな肌をしている女性は身を包む豪奢なドレスやティアラ等のアクセサリーさえも引き立て役にしてしまうほどに美しく、威厳を感じさせる。

その女性こそ……。


「此度の護衛でリリーネを救っていただき、心より感謝します。アイリーン・デュ・ビュレガンセが代表して、お礼を申し上げます」

「勿体なきお言葉、恐縮でございます」


俺が飛ばされた異世界で最初に降り立った国、ビュレガンセを治める女王陛下であり、リリーネ様の実母である、アイリーン・デュ・ビュレガンセ様そのお方だ。

正真正銘、国のトップなだけあって、纏うオーラや気配も圧倒されずにはいられない物であり、跪かずにもいられなかった。

アイリーン様の隣には二人の女性が立っており、内一人がリリーネ様であり、もう一人は彼女と似たような容姿をしており、恐らく姉妹なのだろう。

リリーネ様が第二王女と言う事は、第一王女であり、姉なのではと推測できる。

謁見の間に合わせる為か、リリーネ様を含めたその両名は華やかで爛々としたドレスを着ており、宝石で着飾っているその姿は絵画から飛び出たような女性と言っても褒めすぎではないほどに綺麗だった。

ファンタジーに憧れる者ならば、夢とロマンが詰まった存在が俺の目の前にある。

心が躍らずにいられなかった。


「そちらのトーマ達。Bランクパーティー【トラストフォース】でありますね?」

「はい!」


アイリーン様に声を掛けられるだけで緊張が走る。

エレーナは慣れているのか、俺ほどカチコチになってはいなかった。


「其方らの活躍は耳にしている。特に印象深かったのはウェシロスで起きたビュレガンセ王国騎士団西方支部の汚職事件。その事件の解決や同調していた腐敗貴族を一掃する事にも大きな貢献をしてくれた件について、改めて感謝を申し上げます」

「勿体なきお言葉、恐悦至極に存じます」


大丈夫かどうかをエレーナに視線を向けると、どうやら問題なしのようだ。

俺もゲームやアニメ、漫画で見聞きした王族との会話について記憶に残っている限りの情報を搔き集めながら話すのに必死だった。

変な言葉遣いをしてしまったせいで大変な目に遭うのは避けたいからね。


「其方達がいなければ、騎士団の腐敗が知らず知らずのうちに進んでいた可能性が大いにあった。それを防ぎ解決に繋げた一助を担った功績は大きい。お陰で、ビュレガンセ王国騎士団全体の見直しをする明確なきっかけを得る事ができて、今もそれを推進させる事が叶いました。感謝しています」

「有難きお言葉、嬉しく存じます」

「国の治安を守る筈の騎士団の膿や阿漕な貴族の浄化に大きく貢献したのだ。誇ってよい」


そう言うアイリーン様の表情は優美ながらも穏やかであり、素直さが伝わって来る。

もっと高飛車なのかなって勝手に思っていたところはあったけど、向き合うだけでもその誠実さと真心が籠っているのが分かる。

ビュレガンセという一国を統治する女王陛下と言う名の……最高権力者としての威厳とオーラは伊達ではないと言う訳だ。


「改めて申し上げるが、ナターシャら東方支部の騎士達、【トラストフォース】の5名よ。此度のリリーネを護衛する任務を全うしていただき、心よりお礼を申し上げます」

「ハッ!勿体なきお言葉でございます」


アイリーン様の労いの言葉に、ナターシャさんが答える。


「今夜は我が王宮に泊まっていく事を認め、宴席の場を開きたく存じます。リリーネの護衛を担い、モンスターから守ってくれたお礼をします」

「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきます」

「リリーネ。トーマ達を客間へ案内させなさい。あなたもお話したい事が多くあるでしょう」

「ありがとうございます。お母様。トーマさん達。皆様もこちらへ……」

「は、はい……」


何とアイリーン様からお城に泊まる許可と食事の用意まで約束してもらえる事になった。

ヤバイ。緊張感が半端ではないけど、俺の中のロマンがそれ以上に膨れ上がってきている。

俺達はリリーネ様に案内される形で客間に案内していただける事になり、一礼して謁見の間を去っていく。


「……」

(アイリーン様。さっきから俺の方をじっと見て……)

「フフッ」


心なしか、アイリーン様は俺の方にやたらと視線を置き、それに気付くと僅かに口角を上げて微笑んでいたのが気になったけど、俺も思わず少しお辞儀をしておいた。

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