第234話 王宮へ!
ファンタジーの世界では外せない王宮に踏み入ります!
晴れてBランク冒険者へと昇格する事になった俺達【トラストフォース】。
いつもの冒険者生活を送る中、ビュレガンセ王国騎士団東方支部のトップであるナターシャさんらと共にビュレガンセ王国第二王女のリリーネ・デュ・ビュレガンセ様を護衛し、王都ファランテスまで辿り着いた。
そして、リリーネ様の計らいで王宮まで通される事となった。
「さぁ、皆様。王宮の中へ……」
「は、はい!」
俺達はリリーネ様に促されながら、王宮へと入っていく。
城内に足を踏み入れると、まずは広大な石畳の中庭が目に飛び込み、周りには緑豊かな自然を感じさせるほどに美しい植物があり、その中心には直径5メートルはあるだろう清らかな噴水が設置されている。
噴水から放たれる清らかな水と水面に落ちた事で出てくるサーッと言う音がリラックス効果をもたらしているように思えた。
中庭を取り囲むように立ち並ぶ建物はすべて頑丈な石造りであり、ティリルにある街の中心の広場がちっぽけに感じざるを得ないくらいの広さだった。
「ただいま戻りましたわ」
「「リリーネ様。お帰りなさいませ」」
王宮の入り口まで行くと、大きな扉の両脇には番兵を担う騎士2名が立っており、リリーネ様の姿を見るや否やピシッとした敬礼を見せた。
「リリーネ様。そちらの方々は……?」
「わたくしを護衛して下さった冒険者の皆様であり、ここまで向かう道中で助けていただいたの。お礼をするために王宮へご招待したいから、通していただけないかしら?」
「ハッ!承知しました」
状況を理解した騎士達は速やかに扉を開け、俺達は中へと入っていく。
「す……」
((((スゲーーーー!))))
中へと踏み入った瞬間、玄関と呼ぶには余りにも美しく雄大な空間と内装が俺達の目の前に広がった。
美しくも硬い大理石で敷き詰められた床には細長い赤のカーペットが敷かれており、壁には華やか装飾品が施されており、壁付近には頑丈に作られた数本の柱がそびえ立っている。
更に進んでいくとこれまた広い空間の中に大階段があり、周囲にはどこかへと続くだろう通路が何本もあり、様々な部屋に繋がっているだろう扉がいくつもある。
王宮自体がとんでもない規模であるため、部屋の数も半端ではないだろうとは想定していたが、いざ目の当たりにすると驚愕を覚えてしまう。
それからは擦れ違う騎士や従者、メイド達と擦れ違いながら、リリーネ様は俺達を一つの部屋の前に案内していただいた。
「「「「「オォオオオオ!」」」」」
扉を開けると、王宮に招待された客人をお待たせしていただくための客間である。
日頃からメイドさん達が掃除や手入れをしてくれているからか、とても清潔であり、驚くべきなのは広さと絢爛さだ。
客間に置いとくには勿体ないと思いそうなタペストリーや動物の剥製も飾られているだけでなく、3人掛けのソファが3つに長方形のテーブルが置かれており、これだけでも9人は座れるのに、もう5人ほど入ってきても全く窮屈に思わないスペースの部屋になっている。
「皆様。こちらのお部屋で休憩なさって下さい。わたくしはナターシャ達と共に済ませたい要件を済ませてからもう一度お伺いさせていただきますね」
「ありがとうございます!」
そう言うとリリーネ様は護衛の騎士にナターシャさん達と共にその場を後にした。
俺達がソファに腰を掛けると、メイドさん達が手早くお茶菓子を用意してもらえる事になったが、クーフェやハーブティー等の数種類から選べるくらいにバリエーションも豊富だ。
クッキーやマカロン等のお菓子も普通の物より格段に美味しく、思わずバクバク食べたくなりそうだったが、それはどう考えてもみっともないので止めとくとしよう。
「ふぅ……。まさかリリーネ様から王宮の中までご招待されるとはな……」
「私も門まで送り届けたらティリルに帰るとばかり思っていただけに尚更ですよ」
「私は護衛対象がビュレガンセ王国のお姫様だって知った時でも驚きだったのに、まさかお城の中まで入るなんて思いもよらなかったです」
「僕も同感です。手作りなのか、買って来たのかは分かりませんが、このお菓子や紅茶も貴族が好む高級品ですからね」
「これは手作りですよ。マカロンは通常の作り方ですけど、生地はそれ以上にふんわりとしていますし、クリームも上質なミルクを使っていますね。紅茶もリラックス効果のある“カームハーブ”を素材としていますね。心なしか、落ち着きます」
「分かるのか?」
「何度も飲んだ事がありますので」
「へ~……」
((((そう言えば君は伯爵家のご令嬢だったよね?))))
「?」
エレーナ以外は揃ってそう思うのだった。
俺とセリカ、ミレイユとクルスは高級感を感じさせる空間と飲食物に恐れ多さを抱きながらいるものの、エレーナは食材や飲み物の目利きは確かな上に堂々かつ淑やかに振舞っている。
実際、この王宮に入ってからは少しの緊張感を抱きつつも、立ち振る舞いや礼儀作法は完璧であり、むしろ小声で俺達にそのアドバイスをしてくれたくらいだった。
そう考えると、戦闘以外の要素や状況においても、エレーナが味方で良かったと心から思っている。
だからこそ、俺達もそれ以上にその場で正しい振る舞いをしていかなければと気を引き締め直すのだった。
振舞われたお茶菓子や護衛に勤しんでいる時の状況を中心に会話に華が咲いてきた頃合いの時、扉のノック音がした。
「はい?」
「失礼する」
扉を開くと、ナターシャさんと部下の騎士達が入って来た。
「待たせてしまって申し訳なかった。リリーネ様が女王陛下に帰還と公務の内容についてご報告を終えられたのに伴い、今回の護衛任務における感謝の念を伝えるため、貴殿らに謁見の間まで同席してもらいたいとの事だ」
「はい。……え?えっ……えっ……けん……?」
ナターシャさんから伝えられた言葉を聞いてすぐに返事したのはいいものの、その中に漢字2文字、平仮名4文字しかないけど、俺にとって、いや、セリカ達にとっても衝撃的と言っても大袈裟ではないワードが飛んで来た。
「謁見……と言う事は……もしかして、もしかしてですけど……?」
「その、もしかしてだ。ビュレガンセ王国を治める女王陛下でおられる……。アイリーン・デュ・ビュレガンセ様がお待ちになっておられる謁見の間まで来て欲しいのだ」
改めて俺が確認すると、ナターシャさんはビュレガンセを治める王族にして、国で一番偉いお方との謁見を求めていると言う内容だった。
俺達は【氷魔法】による凍結でも受けたかのように、その場でフリーズした。
「「「「「え?」」」」」
(((((え~~~~~~~!?)))))
大声を出さないようにしていたものの、俺達もその場で驚きを隠せなかった。
上流階級と接する経験のあるエレーナも程度は抑えめであるが、余裕な表情が消えていたくらいだった。
ファンタジーの世界に飛び込んだならば、一度でも叶えばもう満足と言っても不思議ではない存在と相対するのだから……。
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