第222話 更なる高みへ!
大晦日なので公開します!
トーマ達がBランクへと昇格します!
いつもの冒険者生活を送る中、【アテナズスピリッツ】のギルドマスターであるカルヴァリオさんからBランクの昇格を懸けたクエストに挑む事を進言され、受け入れた。
Bランクパーティー【ウォールクライシス】のリーダー格であるリカルドさん達から監督される形で森林型のダンジョン攻略に挑む事となり、ダンジョンのボスモンスターである“レッドブルーバイコーン”と激しい戦闘の末に俺達は勝利し、ダンジョン攻略を成し遂げる。
「来てくれてありがとう」
「いえ、滅相もございません」
俺達【トラストフォース】の5人は所属している冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】のギルドマスターであるカルヴァリオさんの執務室にいる。
そこにいるのは俺達だけではなく……。
「では……」
「はい……」
同じギルドに所属しているBランクパーティー【ウォールクライシス】のリーダー格であるリカルドさん達もいる。
そして……。
「トーマ。皆……。改めて言わせてもらう。Bランクの昇格、本当におめでとう!これからの活躍と健勝を祈っている」
「「「「「ハイ!」」」」」
それは、Bランクの昇格を懸けたクエストの成功を意味しており、本当の意味でそれが現実となった瞬間だった。
俺達は晴れてBランク冒険者へと昇格した。
それからリカルドさん達が前に出た。
「リカルド。皆……」
「そんじゃ、今から渡すぜ。Bランク冒険者の証であるこれをな……」
リカルドさん、ウォードさん、ブラゴスさん、レミーさん、アリエスさん達が手に持っているのは銀色に輝いたステータスプレートであり、Bランク冒険者である事の証明である。
エレーナの前にはアリエスさん。
クルスの前にはレミーさん。
ミレイユの前にはウォードさん。
セリカの前にはブラゴスさん。
そして、俺の前にはリカルドさんが立っている。
「この度はBランクの昇格おめでとう。今後とも精進するようにね」
「はい。常に自分を磨いていく心構えを忘れないように研鑽していきます!」
「同じギフト持ちとして、アンタには目に掛けているんだから、しっかり頑張りなよ!」
「ありがとうございます。僕も成長していきます」
「今以上に頑張らねぇと、Bランク冒険者は名乗れねえぞ。Aランク冒険者を目指すならば、尚更な……」
「勿論です。私も現状に満足してしまわないように努力は惜しみません!」
「これからも頑張れよ。俺達すら追い越しかねないくらいの勢いでな」
「ハイ!高みを目指せるように精進します!」
エレーナはアリエスさんに。クルスはレミーさんに。ミレイユはウォードさんに。セリカはブラゴスさんに応援と更なる飛躍を願う言葉を受け取っていた。
そして……。
「トーマ。これから先、様々な困難やシビアな現実を突き付けられるかもしれねえ。けど、それでも簡単に折れない心を持っている事が何より大事だって俺は思っている。だから……負けんじゃねえぞ」
「ハイ!貴重なお言葉、ありがとうございます!」
俺はリカルドさんから激励の言葉を貰った。
次のステージに上がったからこそ、しっかりと気を引き締めていかなければって話だ。
俺達はBランク冒険者の証である銀色のステータスプレートを授かる事となった。
それを手に取った俺達はようやく、Bランクまで駆け上がった事を実感するのだった。
「改めて言わせてもらうが、本当におめでとう!これはギルドよりBランクに昇格をした餞別だ。装備の新調等に充てるといい」
「ありがとうございます!」
(凄い!いくらあるんだ?)
俺達はカルヴァリオさんからお金の入った革袋を渡された。
中身を確認すると、見るだけで重厚感すら抱いてしまうほどの量の金貨が入っており、俺達は驚愕した。
「これなら今以上に良い装備が買えますよ!」
「あぁ。そうだな」
「トーマさん。早速新調しに行きましょうよ!」
「分かった分かった」
俺達のテンションは否応なしに上がった。
リカルドさん達も微笑ましい様子で見ている。
「それからトーマ達にもう一つ送りたい物があるんだ」
「え?」
「リカルド……」
「はい。既に確認は終えてます」
するとリカルドさんは一つの箱を取り出す。
(あれは……。先の森林型のダンジョン攻略の奥で発見された……)
「トーマ達と別れてすぐ、ビュレガンセ冒険者ギルド連盟本部に赴いてたんだ。トーマ達が挑んだダンジョンの奥で見つかった武具や魔石について解析してもらったんだ。武具の方は済んでいるから、まずはこっちからと思ってな……」
「「「「「オォオーー!」」」」」
Bランク昇格を懸けたクエストを終えた後、ビュレガンセ冒険者ギルド連盟本部がある王都ファランテスに赴いていた。
ダンジョンの最奥で発見された武具や魔石について謎なところが多かったため、連盟本部でその解析をお願いしていたのだ。
魔石については後日分かるとの事だが、武具の方は早く分かったため、まずはそっちからって意味だった。
「改めて見ると、鮮やかな翠色が神々しさを感じさせますね」
「特別な剣って思わせてくれるな~」
「じゃあ、感想もそこそこに、解析してもらって分かった事を伝えさせてもらうぞ」
俺達は少し感想を言った後、リカルドさんは畏まった様相を見せた。
「この剣の名前は“シルフェリオス”。『清風の宝剣』と言われているらしい」
「“シルフェリオス”……」
「『清風の宝剣』……」
リカルドさんの口から出たのは剣の名前と異名だった。
言われて見れば、宝剣と言う名前の通り、宝石のような煌めきもある。
「極秘とされている特殊な製法と非常に特殊でレアな素材、熟練された技量を持つ『鍛冶師』と『錬金術師』が一人ずついてようやく完成された代物って聞いたんだ。ダンジョン攻略で“シルフェリオス”が確認されたケースは今回で2例目のようでな……」
(ダンジョン攻略で確認されたケース?)
「では、その……ダンジョン攻略以外で……。それこそ、人工的に作られたってケースは……」
「人工的に作られた物を含めれば、10本もあるかないかって数だと聞かされた」
「そうなんですね……」
ダンジョン攻略の達成で手に入るのは今回のような特殊な魔道具のパターンもあれば、貴重ではあるが、ダンジョンに潜らなくても手に入るような素材やアイテムが見つかるパターンがあるのは知っている。
今回の“シルフェリオス”や俺が持つ“ヴァラミティーム”はどちらかと言えば、前者に該当するようだ。
同じく見つかった魔石は後者だ。
「『清風の宝剣』と言う異名通り、【風魔法】や【雷魔法】を使える近接戦がメインとなる者、特に【軽戦士】のギフトを授かった者の力を存分に引き上げると言う記録が多く残っている。故に……」
「……」
リカルドさんが視線をやったのはセリカだった。
俺達の中で【軽戦士】のギフトを持っているのはセリカだけだ。
それは即ち……。
「私が受け取るべきって事でしょうか?」
「そうなるな……。ウチのパーティーに【軽戦士】はいないからな。それに……」
セリカは察したように発すると、リカルドさんはそう答えた後……。
「あの“レッドブルーバイコーン”を倒してダンジョン攻略をしたのはお前達だ。これはその報酬だ」
「ッ……」
「「「「……」」」」
リカルドさんは気さくな笑顔を見せながら、“シルフェリオス”をセリカに差し出す。
セリカはフッと俺達の顔を見るが、答えは決まっている。
それからすぐにセリカは一歩前に出た。
「ありがとうございます。この“シルフェリオス”と言う宝剣を振るうに相応しい人物となれるよう、一層の努力を重ねていきます」
「よく言った!」
更なる精進を目指す事を決めたセリカは澄んだ瞳をしながら、“シルフェリオス”を受け取った。
すると……。
ポワァ……。
「あ?光った!」
「やっぱりセリカが持つに相応しいよ!」
「ギフトの事もありますからね」
セリカが握ると、“シルフェリオス”は淡い翡翠色の光が輝いた。
やはり、セリカが使うのが一番だろう。
「そうそう、魔石の方だが、近日中に結果が来るらしいから、もう少し待っていてくれ」
「ハイ!」
「話は以上かな?ここで私から一つ提案があるのだが……」
するとカルヴァリオさんが声を掛けてきた。
「トーマ達がこうしてBランクに上がった事は実に喜ばしい事だ。今夜はギルドでその祝勝会をしたく思うのだが、如何かな?もちろん、リカルド達が久々に戻って来た慰労会も兼ねてね……」
その提案に対して真っ先に答えを出したのは……。
「それは良いっすね!やりましょう!」
(この人が一番積極的じゃないか!?)
リカルドさんだった。
初めてお酒を飲んだ時から思ったけど、宴とか飲みの席とか大好きなんだなって、このテンションの上がりようから見てそれを確信した。
「よ~し!今から楽しみだ!」
「おぉ。今日はとことん飲むか!」
「ブラゴスさんも乗り気だ」
「あの二人は酒好きだからね~。後、腕っ節は勿論、酒も強いからね」
「あははは……」
リカルドさんとブラゴスさんは早くも楽しみな様子であり、レミーさんは二人が酒豪である事もカミングアウトした。
でも、俺はそんなリカルドさん達を好ましく思っているから何て事はない。
(でも……。俺達、本当になれたんだな……。Bランク冒険者に……)
手に握る銀色に輝いているステータスプレートを見ながら、俺はその喜ばしい気持ちを目一杯に噛み締めていた。
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