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第221話 帰って来ました!

ティリルへと帰還し、先達のBランクパーティーの皆様と飲み明かします!

いつもの冒険者生活を送る中、【アテナズスピリッツ】のギルドマスターであるカルヴァリオさんからBランクの昇格を懸けたクエストに挑む事を進言された。

Bランクパーティー【ウォールクライシス】のリーダー格であるリカルドさん達から監督される形で森林型のダンジョン攻略に挑む事となり、ダンジョンのボスモンスターである“レッドブルーバイコーン”と激しい戦闘の末に俺達は勝利し、ダンジョン攻略を成し遂げる。


ノイトレオを発ってから2日後……。


「帰って来たぜ~~!」


俺達は約一週間ぶりにティリルへと戻って来た。

緊張感のあるクエストや仕事に赴いてしばらく離れて再び訪れると、一種の懐かしさを感じてしまう。


「まずはギルドに戻って、今回の昇格を懸けたクエストについて報告しに行こうか!」

「そうですね」

「夕方になりかけているので、報告を終えたらどこかでお食事に行きませんか?」

「私は願わくば……」

「僕もできれば……」

「よし!じゃあ、やる事やったらお疲れ様でしたって意味で飲みに行くか!?」

「「「「は~い!」」」」


まずは拠点にしている冒険者ギルド【アテナズスピリッツ】へ戻り、クエストの終了を報告する事にした。


「トーマさん。皆様。お疲れ様でした!」

「ありがとうございます」


俺達は馴染みの受付嬢であるナミネさんに帰還とクエストの完了報告をすると、労う言葉を掛けられた。

そこでナミネさんは……。


「マスターも幸いな事にいらっしゃいますが、いかがなさいますか?」

「お時間が取れるならば、是非……」

「承知しました」


ナミネさんは迅速に対応してくれた。

何も言わずに的確な処理をしてみせるナミネさんの仕事ぶりは見ていて安心する。

それから俺達はギルドマスターの執務室まで案内された。


「本当にお疲れ様だな。トーマ。皆」

「いえ、とんでもございません……」


【アテナズスピリッツ】のギルドマスターであるカルヴァリオさんと向き合い、Bランクの昇格を懸けたクエストに関係する結果の報告と内容を話した。


「なるほど……。今回のダンジョン攻略のボスモンスターがあの“レッドブルーバイコーン”だったとはね。さぞ大変だっただろう」

「はい。お察しの通り、とんでもない戦いになりました。一つの判断ミスで誰かが大怪我していた、いえ、下手をすればそれで収まらないかもしれない事態になっていたと思っております。皆の協力がなければ、どうなっていた事か……」

「そうか……。だが、その戦いを乗り越え、こうして帰って来れた。本当に素晴らしい事だから誇っていい」

「恐縮です」


労いと称賛の言葉を与えるカルヴァリオさんの表情は清々しかった。


「それはそうとして、今回のクエストの結果なんだが……」

「「「「「……」」」」」


「正式な発表は数日後になるが、【トラストフォース】をBランクに昇格する事が決定した」

「え?」


サラッと結果が伝えられた。

俺達は数秒の間、呆気に取られた。


「当然だろう。ベカトルブでのダンジョン攻略の時よりも規模は小さかったとは言え、ダンジョンのボスモンスターとして現れた“レッドブルーバイコーン”を倒して攻略して見せたんだ。客観的に見ても、Bランクに昇格させるに相応しい実力と実績を持っていると認めるには十分過ぎるくらいだ。胸を張っていい」

「はい!ありがとうございます!」

「「「「ありがとうございます!」」」」


カルヴァリオさんから伝えられた結果に俺達は最敬礼でお辞儀をしながら感謝した。

こうして、俺達【トラストフォース】はBランクの昇格が決まったのだった。

それから俺達は執務室を出た。


「いや~!こうして決まると達成感がじわじわと湧いてきたよ」

「そうですね!」

「じゃあ、この後飲みに行きますか!?」

「いいですね!」

「行きましょう!」

「久しぶりだね」

「随分と嬉しそうだ」

「あ……」


ギルドを出ようとした俺達に聞き覚えのある声と絶妙な間でやり取りをする男性二名の声が届き、その方角を向いた。


「イアンさん、イオンさん。エリーさんとサーシャさんも!」

「しばらくぶりね!」

「また会ったね~!」


俺達と同じく【アテナズスピリッツ】に所属しているBランクパーティー【デュアルボンド】のイアンさんとイオンさん、エリーさんとサーシャさんだった。

様子を見るに、クエストから帰って来たばかりのようだ。


「手紙で知ったが、Bランクの昇格を懸けたクエストに挑んだようだね」

「結果は芳しかったと知っている」

「あ、ありがとうございます。皆様も既にご存じで……」

「Bランクの昇格を懸けたクエストに関連する情報は所属しているギルドのBランク以上のパーティーにもいくらか知らされる仕組みなのよ。どんな内容だったのか、その結果も概ねだけど知っているわ!」

「ケインさん達やウィーネスさん達、ウルミナさん達も今回のクエストについて情報が届いていると思う」

「そうだったんですね……」


どうやら結果も知っているようだった。

程々に会話をした後……。


「トーマ達。この後時間は無いか?」

「今から皆で飲みに行かないか?」

「え?」

「いい機会だし、どうかしら?」

「私は行きたいな……」

「どうします?」

「元々どっかで食事する予定だから、いいかもしれないな!行こう!」


こうして俺達はイアンさんやイオンさん達と飲みに行く事となった。


「「トーマ達のBランク昇格の祝いとこれからの活躍を願って……」」

「「「「「乾杯~~!」」」」」


俺達は手に持ったエールの入ったグラスを持って乾杯した。

イアンさんとイオンさん達に案内された酒場はカジュアルでいつつも清潔感も備えた隠れ家的な要素を感じさせ、料理も飲み物も美味しかった。


「やはり、クエスト終わりで飲むエールは格別だな!」

「そうですね!」

「それにしても、ティリルにこんな雰囲気の良いお店があったんですね」

「私達がBランクに昇格した時のお祝いで利用したお店もここだったのよ」

「ここは肉のソテーが一番人気なの」

「じゃあ、それをいただきます!」


それから俺達は宴席を楽しみながら、クエストやリカルドさん達について話した。


「ダンジョンで“レッドブルーバイコーン”とは、とんでもないケースだな」

「あのモンスターはCランクパーティーが勝つのは相当厳しいとの事だ」

「魔法攻撃が厄介でしたね」

「加えて『ヌルマナ』を練り上げた破壊光線も脅威でした」

「うわ~。それはとんでもない強敵ね」

「ダンジョンの魔力を享受しているとなれば、尚更だわ」


イアンさんやイオンさん達は話を聞いただけで俺達が経験してきた事の過酷さを察したようだった。

特に『魔術師』であるサーシャさんはそれが顕著だった。


「今回、Bランクの昇格を懸けたクエストの監督を担ったのがリカルドさん達【ウォールクライシス】の皆様だったんですよ」

「リカルドさん達はBランク冒険者の中でも上位に位置すると聞いている」

「あの人達ならば適切な判断を下してくれるだろう」

「はい。お二人が言うように、ゴツイ人が多い印象はありましたけど、見る目は確かだと思っています」

「リカルドさん達はBランクパーティーの中でもAランクに最も近いパーティーの一つと言われている」

「その方々が認めているならば、お墨付きと言ってもいいだろう!」

「そんなに凄い方々なんですね……」

「半年くらい前、Aランクの昇格を懸けたクエストに挑んだんだけど、惜しくも失敗してしまったらしく、その間にクエストに勤しんでは合間を縫って鍛錬を重ねてきたって話よ」

「後一歩ってところだったらしいよ……」

「へ~」


どうやらイアンさんとイオンさん達がBランクの昇格を懸けたクエストを審査したのも、リカルドさん達であった事が明かされた。

初めて会った時、他のBランクパーティーの冒険者達に劣らない、下手をすればそれ以上の覇気を感じ取った。

改めて思い直すと、“レッドブルーバイコーン”の姿を見ても怯む事無く向き合い、咄嗟の攻撃にも反応して見せた事から、猛者だと認識するには充分な要素もあった。

同時に一つの考えも過った。


(Bランクの昇格を懸けたクエストもかなりキツかったのに、Aランクの昇格を懸けたクエストってどんだけ難易度高いんだろ……?)


何て当たり前な事を考えたりもしてみた。

Aランクパーティー【ノーブルウィング】のウルミナさん達を始めとするAランク冒険者の凄さも相対的に感じていたから。

それから宴席は終わりへと近付き……。


「あ~。楽しかった~!」

「ここのお店の料理もお酒も最高よね~~!」

「ですね~~!」

「こらこらミレイユ」

「サーシャ!しっかりしなさい!はい、お水!」

「「ありがとう~~!」」


縁もたけなわになって帰ろうとしたが、ミレイユとサーシャさんは随分と酔っている様子だった。

クルスがミレイユを、エリーさんがサーシャさんを介抱している。


「この子ったら……」

(エリーさんも大変だな~)


俺はエリーさんがサーシャさんを介抱する姿を見て、腹違いとは言っても、二人は姉妹なんだなって改めて思った。


「ほら、お水だよ。しっかり飲んで、今日はもう寝よ」

「は~い!」

(こっちもだけどな!)


酔い潰れているミレイユをセリカとクルスが介抱している。

俺とエレーナは苦笑いしていた。


こうして、Bランクの昇格を懸けたクエストから戻り、俺達は楽しい一夜を存分に過ごせたのだった。

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